沖タイは「発言撤回せず」と報道

「操縦上手」発言についての町村外相の釈明について、沖縄タイムスは「発言を撤回しなかった」と報道。琉球新報は、事実上の撤回と報じましたが、はたしてどちらの方が沖縄の人たちの気持ちに近いでしょうか。

「操縦上手だった」/発言撤回せず(沖縄タイムス)

もともと「操縦が上手だった」というのは、ワスコー在日米軍司令官の発言。現地のことは知らなくても、米軍側の首長や見解はよく知っているということ自体が、日本の外相として資格を問われるものなのですが…。

「操縦上手だった」/発言撤回せず

 町村信孝外相は十六日、沖縄国際大学のヘリ墜落事故現場を視察した際、「被害が重大にならなかったのは(パイロットの)操縦技術が上手だったのかもしれないが、よく最小限の被害にとどまった」などと発言した。乗員の操縦技術を称賛し、批判が集中した在日米軍司令官のトーマス・ワスコー中将と同趣旨ともとれる外相発言は、県民感情への配慮を欠いたものとして物議をかもしそうだ。
 視察後の記者会見で、発言の趣旨を問われた町村外相は「操縦した人の技術レベルをうんぬんというのは確かに不適切かもしれない」と一部非を認めながらも、「本当に上手だったのかどうかは率直に言って分からない。そういう印象をあの瞬間思ったから、素人考えで言ったまでだ」と説明。「よくあれだけ大きな機材を、あの狭いスペースにもっていったのはすごいなと思ったという印象論」と発言を撤回しなかった。
 ワスコー発言が県民感情を逆なでしたことについて町村外相は「司令官の発言はまったく承知していない」と答えた。
 町村外相は沖国大を訪れた際、渡久地朝明学長に対し、「学生たちは事故に影響なく、勉強に励んでいるか」と声を掛けた。
 ワスコー中将は八月二十六日の東京都内での講演で「(事故機の乗務員は)被害を最小限に食い止める素晴らしい功績があった」と発言した。
 九月六日の衆院沖縄・北方特別委員会の閉会中審査でも質疑に取り上げられ、川口順子前外相は「日本や沖縄県民が置かれた状況、気持ちに対しての思いが、もう少し言葉に表れても良かったと個人的な感想は持っている」と答弁している。

住民感情を無視、あまりに非常識/外相発言に反発相次ぐ

 ヘリ墜落事故の惨状が生々しく残る校舎の黒い壁を前に十六日、町村信孝外相がもらした「パイロットの操縦がうまかった」という発言。被害を受けた住民や墜落現場の沖縄国際大学などの関係者は「被害があった住民や県民感情を無視し、非常識だ」と強く反発した。トーマス・ワスコー在日米軍司令官に続く、パイロットを称賛する言葉に、「予備知識がないままの視察ではないか」「外務大臣とは思えない」と町村外相の姿勢に疑問や批判が相次いだ。
 破片などが自宅や店舗に直撃し被害を受けた宜野湾市宜野湾の中古車販売の男性(35)は「外務大臣とは思えないような発言だ。住民感情を無視している」と怒りをあらわにし、「事故の悲惨さや危険と隣り合わせの住民生活を視察に来たのではないのか。パイロットの操縦を褒めるとはばかげている。何のために来たのか理解できない」とあきれ返った。
 米軍属による女性暴行事件で、那覇防衛施設局などへ抗議した衆議院議員の照屋寛徳さんは「被害があった住民やヘリ墜落の恐怖にさらされた県民感情を考えていない、あまりにも非常識」と批判、週明けから始まる予算委員会で外相の責任を追及するとした。
 一方、町村外相が普天間飛行場の名護市辺野古への移設を促進すると発言したことに、名護市民投票当時から地元で移設反対に取り組んできた名護市議の宮城康博さんは「世論調査で県民の八割が反対している辺野古移設を、この期に及んでも進めようというのは民意への挑戦だ。一日も早くといいながら、最短で十年かかる方法しか選択肢を検討しないのはおかしい」と訴えた。操縦を評価したことには、「知事が日米両政府に強い姿勢で臨まないから、こんな発言が次から次へと出てくるのでは」と憤った。

本当に上手なら普天間飛行場へ/沖国大の事務局長

 町村外相の発言を伝え聞いた沖国大の黒島安武事務局長は「現場で事故時の写真を見せて、爆発のことも説明した。その場で(発言を)聞いていたら、抗議していた」と反発。「自民党を含め各党の国会議員が視察に来て、国会でも事故のことが論議されている。外相は何の予備知識もないままに来ていたのか。アリバイづくりに大学に来たのだろう」と批判した。
 黒島事務局長はヘリ墜落の瞬間を至近距離で目撃。「本体が横回転しながら、きりもみ状態で落ちてきた。とても操縦可能にみえない。操縦士の腕が上手なら普天間飛行場の中に落とすべきだ」と皮肉った。
 在日米軍のトーマス・ワスコー司令官が同様な発言をしたことに触れ、「外相は司令官発言を後押ししたかったのでは」といぶかった。

伊波市長も批判/「実態受け止めてない」

 伊波洋一宜野湾市長は十六日夕、「外務省のブリーフィング(説明)の問題かもしれないが、物理的にも精神的にも被害が出ている事故の実態が受け止められていない」と批判。「沖縄を見たいという意欲は評価するが、それを支える外務省が県民サイドの見方をしてもらわなくてはならない」と注文をつけた。
 伊波市長は「パイロットの主観的証言はどうあれ、実際には機体そのものが回転しながら落ちてきた目撃証言がある。外務大臣が相手の言うことにのみ込まれて、こういう発言をするのは対米交渉上も問題だ」と、在日米軍のトーマス・ワスコー司令官発言を踏襲するような発言に疑問を呈した。外相が普天間飛行場の辺野古移設を促進する考えを示したことには「危機感の問題だ」と危機意識の薄さを指摘した。

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