扶桑社、検定規則を破って検定合格前の見本本を事前配布

「新しい歴史教科書をつくる会」が主導した歴史教科書を出版する扶桑社が、検定規則に違反して、検定合格前の見本本を教職員に配布していたことが、国会の場で、文科省によって明らかにされました。

実は、こうした見本本の流出は、4年前の検定のときにもありました。要するに、たままた外部に漏れ出たなどということではない、ということです。

扶桑社が検定規則違反 中学教科書を合格前配布(共同通信)

扶桑社が検定規則違反 中学教科書を合格前配布(共同通信)

 文部科学省の銭谷真美初等中等教育局長は6日午前の衆院文部科学委員会で、「新しい歴史教科書をつくる会」が主導した中学校の教科書をめぐり、出版社の扶桑社が教科用図書検定規則実施細則に違反し、検定合格前に教職員らに配布していたことを明らかにした。中山成彬文科相は「ルール違反することは問題だ」と遺憾の意を示した。
 銭谷氏は、扶桑社に対し、配布した検定合格前の「申請本」の回収を命じるとともに管理を徹底するよう三度にわたって指導したことも明かした。
 中山文科相は「きちっと管理することは当然の前提。指導されること自体おかしい。自覚を待ちたい」と述べた。
 民主党の川内博史氏への答弁。
[2005年4月6日12時43分]

実は、本来外に出してはいけない見本本が流出している事実は、すでに3月11日に琉球大の高嶋伸欣教授らが記者会見して指摘していました。そのとき産経新聞は、3月12日付の記事「扶桑社教科書 流出の検定申請本配布 教授ら内外報道陣に(産経新聞)」で、「入手先を明らかにできない白表紙本の全文コピーを内外のメディアを集めて配るという乱暴な行為は、終盤で外圧導入を狙う検定妨害であり、わが国の教科書検定制度そのものを破壊しようとする危険な政治活動といえる」と強圧的な非難を浴びせましたが、実際には、産経新聞もその一員であるフジサンケイグループの扶桑社が自分で見本本を流していた訳です。

こういうことを、日本では、「盗っ人猛々しい」といいます。

扶桑社教科書 流出の検定申請本配布 教授ら内外報道陣に

 新しい歴史教科書をつくる会のメンバーらが執筆している扶桑社の中学校歴史・公民教科書を批判している高嶋伸欣琉球大教授らが十一日、文部科学省が検定中の同社の白表紙本(検定申請本)が流出しているとして東京都内で記者会見し、入手した全文のコピーを「貸与」名目で報道陣に配布した。会見には中国や韓国のメディアも出席しており、内容は両国政府に伝わるとみられる。
 高嶋教授らは「研究者などから見せてほしいという要請があれば応じる」と公表を続ける意思を表明。入手先について「各地の教育委員会に流出しているものを手に入れた」とした。
 現在行われている教科書検定は来春から中学校で使われる教科書に対するもので、歴史と公民はそれぞれ扶桑社など八社が申請。作業は終盤を迎えており、今月下旬以降に結果が発表されるとみられる。
 公表について文科省幹部は「白表紙本が明らかにされたとすれば遺憾だ」と語った。
 扶桑社書籍編集部の話「検定中なのでコメントできない」

     ◇

 ■外圧を促す政治活動

 検定申請された教科書は、教科書調査官や教科用図書検定調査審議会委員に予断を与えないため、どの会社の教科書か分からないように表紙を白くしていることから「白表紙本」と呼ばれている。
 教科用図書検定規則の実施細則が検定結果発表まで白表紙本の公表を関係者に禁じていることも、公正さを守るための措置だ。
 中学校教科書の検定をめぐっては、扶桑社が初めて参入した前回の平成十二年度も同社の白表紙本を入手した朝日新聞と毎日新聞が内容を報道。中国と韓国が検定不合格を求める内政干渉を行った。今回も近現代史や拉致事件の記述をめぐり中韓や北朝鮮が白表紙本の内容に注目している。
 入手先を明らかにできない白表紙本の全文コピーを内外のメディアを集めて配るという乱暴な行為は、終盤で外圧導入を狙う検定妨害であり、わが国の教科書検定制度そのものを破壊しようとする危険な政治活動といえる。(教科書問題取材班)
[産経新聞 2005年03月12日]

結局、産経新聞の「教科書問題取材班」って、まともに取材して調べたりはしていない、ということです。(?_?;)

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

2件のコメント

  1. 扶桑社と産経新聞と自民党は友好団体と言うことでしょうか
    教科書問題 不可解なところがたくさんあります、、
    TBします.
    読売新聞の社説はどうなの 2
    http://love.ap.teacup.com/kouhei2/

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください