先制核攻撃の選択肢を明記

在日米軍を含む米軍の各地域統合軍司令官が、戦術核兵器の先制使用の要請を大統領におこなうことができるとする「運用指針」を作成していたことが明らかに。

同時に、現在も横須賀や佐世保、沖縄に寄港している攻撃型原潜に核弾頭を再搭載できる状態になっていることも判明した、と報じています。

先制核使用の選択肢明記 米軍文書で判明(中国新聞=共同通信)

先制核使用の選択肢明記 米軍文書で判明

 【ワシントン1日共同=太田昌克】「ならず者国家」やテロ組織が大量破壊兵器を使い、米国や日本などの同盟国を攻撃する危険が迫った場合に、在日米軍を傘下に置く太平洋軍など各地域統合軍の司令官が、ブッシュ大統領に戦術核兵器の使用許可を要請できるとの方針を統合参謀本部が策定、先制核攻撃の選択肢を温存していることが1日、最新の米軍文書などから明らかになった。
 北朝鮮やイランなどによる生物・化学兵器攻撃の脅威への対抗策。実際の核使用には大統領の承認が必要だが、米軍が朝鮮半島など東アジアや中東での有事を念頭に「限定核戦争」のシナリオを堅持している実態をあらためて示した。
 多くの非核保有国は米国に核兵器の先制不使用を公約、条約化するよう求めているが、方針はこれを真っ向から拒否する内容だけに、2日からの核拡散防止条約(NPT)再検討会議にも暗い影を落としそうだ。
 文書は、米軍制服組の最高機関である統合参謀本部の命令に基づき、3月15日付で作成された「統合核作戦のためのドクトリン」(草案)。2002年に一部が公表された米核戦略「核体制の見直し」を下敷きに、地域統合軍などの司令官向けにまとめた「運用指針」となっている。
 米軍は冷戦後の1991年、アジア、欧州配備の地上戦術核や空母、潜水艦搭載の戦術核を撤去したが、文書は既に米本土に戻した海上型戦術核について「有事に備え、配備可能な状態にしてある」と明記。現在も横須賀や佐世保、沖縄に寄港している攻撃型原潜に核弾頭「W80」を再搭載できる状態になっていることも判明した。
 また地域統合軍司令官が核使用許可を要請できる事例として(1)敵が米国や同盟国に大量破壊兵器を使用したり、使用を企てている(2)敵の生物兵器攻撃が迫り、核兵器だけが安全に生物兵器を破壊できる(3)大量破壊兵器を貯蔵した地下拠点を攻撃する――などを挙げた。
 統合参謀本部当局者は「文書は草案段階」としながらも「陸海空軍が横断的に作戦を遂行するために用意された」と言明した。[中国新聞 05/05/01]

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