個人情報保護法を口実に機密保持の誓約書強要

個人情報保護法を口実に、企業が、従業員に機密保持の誓約書を強要していると、連合が告発。

顧客情報を保護するのは当然だけれども、退職後も経営、営業上知り得た情報を漏洩しないと制約させるのは、明らかに“やりすぎ”です。さらに、損害賠償まで約束させるのは、労働基準法違反。

機密保持の誓約書強要 「企業で続発」 連合が指摘(東京新聞)

機密保持の誓約書強要 「企業で続発」 連合が指摘

 企業が個人情報保護法の施行を理由に、企業情報の漏えいを防止するとして、個人情報を扱っていない従業員からも誓約書や同意書を取るケースが相次いでいることが19日、連合に寄せられた相談で分かった。連合は、労働組合などに注意を呼び掛ける。
 同意書の項目には、個人情報と関係がない企業の財務情報などが含まれているほか、漏えいした場合、従業員に損害賠償を求める記述もあり、労働基準法の「あらかじめ損害賠償を決めた契約は無効とする」との条文に違反する可能性も高い。
 経済産業省は「目的や情報内容があいまい。保護法に便乗しているのではないか」とし、厚生労働省は「法律に反する項目もあり、関係省庁と連携し指摘していきたい」としている。
 連合が入手した外資系企業の同意書は「退職後も経営、営業上の情報や内部資料を不正に使用し、第三者に漏えいしないことを誓約します」とし、商品、顧客情報のほか、財務情報、企業の規定やマニュアルも対象としている。
 一方で「営業上やセキュリティー対策の範囲で私および親族の個人情報を取得し、利用し、第三者に提供することに同意します」「会社が私の電子メールをモニタリングすることに同意します」と従業員に求めている。
 このほかにも運送会社や服飾会社などの従業員から同様の相談を受けている。
 関係者によると、こうした同意書は会社で上司に呼ばれ、サインや押印を求められ、応じない場合、解雇をちらつかされることもあるという。
 個人情報保護法は同意書や誓約書を求めていない。厚労省などによると、従業員の個人情報は提供先を具体的に示し本人の了解を取ることが必要。電子メールのモニタリングは、事前に労使協議で目的や責任者などを定めることを指針で求めている。

<メモ>個人情報保護法

 4月に施行。住所や氏名、電話番号など個人を容易に識別できる情報を個人情報と規定した。不正流用などを防ぐため、5000件を超える個人情報を扱う事業者などを対象にした法律。個人情報を利用するには目的を本人に明示することや本人の了解を得ていることが要件とされる。違反した場合、監督省庁が中止や是正を勧告し、悪質な場合は懲役刑や罰金が科せられる。[東京新聞 2005/05/19夕刊]

で、損害賠償契約を禁止した労働基準法の条文はこれ↓

労働基準法第16条【賠償予定の禁止】

 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

1件のコメント

  1. はじめまして。
    実は、少し前から拝見しておりました。
    この記事を、TBさせていただきたかったのですが、技量が足りないためTBできず、自分のブログの中で、紹介させていただきました。
    私が勤める派遣会社でも、ずっと前からこういったたぐいの誓約書を書かせていたので、ずっと労基法違反なのではないかと思っていたのですが、ここにきて、明らかになって見直しの動きがでてくれるといいなと思っています。

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