読売日響第440回定期演奏会 スクリャービン交響曲第5番「プロメテウス―火の詩」

読売日響第440回定期演奏会チラシ

今日は、井上道義氏が振るというので、読売日響の定期演奏会に行ってきました。
読響の演奏会は、確か2度目? 客層などが、ビミョーに日フィルや都響と違うのがおもしろかったです。(^_^;)

プログラムは以下の通り。

  • ペンデレツキ:広島の犠牲者に捧げる哀歌
  • 武満徹:カトレーン
  •    休憩
  • スクリャービン:交響曲第5番 “プロメテウス―火の詩”

最近、何かの雑誌で、どこかの誰かが映画「トーク・トゥ・ハー」にふれて、映画の中で、コーマとなった若い女性(アリシア)に、バレエの先生が「広島の犠牲者に捧げる哀歌」を聴かせるシーンが出てくることを書いていました。僕がはじめてペンデレツキという名前を知ったのも、「広島の犠牲者に捧げる哀歌」(の一部)を聴いたのも、この映画でしたが、その印象は強烈でした。

ということで、今日はぜひこの曲をナマで聴きたいと思ってやってきました。

この作品は、弦楽器だけで演奏される曲ですが、どちらかというと神経質そうなギリギリギリ、キリキリキリという感じの音を重ねて重ねて構成されています。今日のプログラムでは、「作曲者が広島の被爆者に思いをはせて書いた作品」と紹介されていますが、前述の文章では、すでにでき上がっていた作品を広島の犠牲者に捧げたと書かれていました(だから、どこの誰の、何という雑誌にのった論文だったかを思い出して確かめたいのですが、僕のぼんくら頭は、思い出してくれそうにありません)。いずれにしても、この曲は、「哀歌」と書かれていても、泣かせるようなメロディが出てくるわけでなく、むしろ、そうした悲しみとか痛みとか苦しみとかいう人間的な情感とは隔絶したようなところで、しかし、絶対的に失われてしまったものの大きさをあらわしているように感じました。わずか9分の短い曲ですが、いろんな思いをうちに秘めたかのような井上道義氏の指揮と、厳格に抑制され、統制された弦の響きは、原爆が投下された後の、被爆者たちが聴いたであろう“静けさ”を感じさせてくれました。

※この何かの雑誌に載ったどこかの誰かの論文の正体が判明。詳しくは、 ペンデレツキ「ヒロシマの犠牲者に捧げる哀歌」 を参照してください。

3曲目は、今日の目玉。プログラムに「照明演出付き」とあって、休憩時間の間に、舞台の上の空間に、グランドピアノの半面を切り取ったような直角とカーブをえがく白い吹き流し?が登場。舞台の照明も落とされ、演奏が始まると同時に、プロメテウスの牛らしきものが映し出されます。そしてスクリャービンの指示に従って、赤や青などさまざまな光があてられたり、ヴァイオリンパートやチェロパートの足下でチューブが光ったり…と、ど派手な演出。さすが、道義氏です。(^_^;)
プログラムと別に、「今宵一晩、皆様を骨抜きにしてみせます!」という井上道義氏のサイン入りのペーパーが。それによれば、スクリャービン自筆のスコアには「600余の小節すべてにライラック色、鉛色、赤い閃光、さざ波のような月光の色、死んだような鈍い血の赤、にんじん色、緑の炎などなど」書き込んであるそうで、それを見て、道義氏は「頭に閃光が走った」そうです。演奏終了後、舞台の上を覗いてみれば、ぎっしり並べられたオケの間に、演劇の舞台で使うような赤や青、緑のフィルムをはったライトが所狭しと並べられていて、足下は電線だらけ…。こりゃ裏方さんの準備だけでも大変だわ…と妙な感心をして帰ってきました。
で、演奏の方はというと、正直言って、演出の派手さに目を奪われて、あんまりじっくり聴いてませんでした。いずれにしても、井上道義様、その他スタッフの皆々様、本当にご苦労さまでした。m(_’_)m

ところで2曲目ですが、これまでコンサートで武満徹氏の曲が演奏されると、僕はいつも眠くなってしまって、これまでまともに作品を聴いたことがないのですが、今日も、しっかり寝てしまいました。どうしてなんでしょうねぇ…(^_^;)

【演奏会情報】指揮:井上道義/ピアノ:高橋アキ/ヴァイオリン:デヴィッド・ノーラン/チェロ:嶺田健/クラリネット:四戸世紀/コンサートマスター:デイヴィッド・ノーラン/映像美術:網代将登/照明:山本高久/シンセサイザー:鈴木隆太/サントリーホール 19時開演

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作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

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  1. ピンバック: えすどぅあ

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