マエストロ ジャン・フルネ ラストコンサート

ジャン・フルネ(月刊都響12月号から)

今夜の都響第618回定期演奏会は、都響名誉指揮者で現役最高齢の指揮者ジャン・フルネ氏のラスト・コンサートでした(厳密に言えば、明日の文化会館での公演が最後ですが)。サントリーホールはほぼ満席で、開演前から、普段と少し違った盛り上がりを見せていました。

プログラムは、以下の通り。

  • ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 作品9
  • モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491
       ≪休憩≫
  • ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 作品73

満場の拍手をうけて登場したフルネ氏は、ゆっくりと舞台中央へ。少し左足を引きずるようにも見受けられ、さらに足下を確かめるように指揮台にのぼられました。1曲目のベルリオーズの序曲『ローマの謝肉祭」は、フルネ氏のチャーミングな?演奏がぴったりの曲です。

2曲目は、フルネ氏の愛弟子ともいえる伊藤惠さんとのコンチェルト。ゆっくりとしたテンポで始まってゆきました。

休憩の後は、ブラームスの交響曲第2番。僕には、ブラームスの交響曲は明るい土色というイメージなのですが、それでも不思議なことに、どこかちょっともの悲しく、寂しくなるような要素が含まれていて、ブルックナーの交響曲のように陶酔した感情に引き込まれるということはないのですが、不思議と気持ちが惹かれるところがあります。それが、フルネ氏の引退コンサートにぴったりのように思いました。

あ〜、残念だなぁ…と惜しんでいるうちに、曲が終わると、本当に満場の拍手とブラボーの喝采がいつまでも続きました。

しかし正直に書けば、今日の演奏はちょっとスローテンポで、オケを統率しきれなかったというところもちらほら見受けられ、やはり衰えを隠せないという感じがしました。とくに、2曲目のモーツァルトの協奏曲では、出だして弦の音がそろわず、痛々しくもあり、残念でなりませんでした。

それに第1楽章が終わったところで、カッツン、カッツンとホール中に足音を響かせて退席していったお客さんが約1名。その人がホールから出て行くまで、舞台の上でじっと待っているマエストロの背中が、私には寂しく見えてなりませんでした…。演奏に不満だったのかも知れませんが、なんという無礼な男なんでしょう! ほかにも、時計のアラームが鳴ったり、会場入り口で配られるチラシのたぐいをばっさり落とす人がいたり、後半のブラームスが始まったところでも、シャリシャリと飴の包み紙をむくオバサン…。あ〜、なんとかしてくれませんか!

帰りの電車の中では、プログラムに載った楽団員のみなさんなどのフルネ氏の思い出をつづった文章を読ませていただきました。僕自身は、フランスものよりドイツものが好きだったのと、都響との相性があまりよくなかったこともあって、フルネ&都響の演奏会はあまり聴いていません。その他に、日フィルとの演奏会などでも拝聴したことがありますが、そのころは、重厚長大がいいと思い込んでいた僕は、ふわ〜と優しくチャーミングな感じのフルネ氏の指揮の良さをあまり分かってなかったように思います。あのころもっとよく聴いておけばよかったと残念に思いました。

マエストロ・フルネ、ご苦労さまでした。そして、ありがとうございました。m(_’_)m

【12/23追記】
12/21の東京文化会館のコンサートに行ってきた友人の話を聞いたり、いろんなブログの書き込みを読んでみると、文化会館のコンサートは、本当にラストコンサートと言うことで感動的だったようですね。く〜〜〜っ、僕も文化会館にすれば良かった…
後もう1つ。コンサートの後、僕はもう目が真っ赤で涙が半分こぼれだしてて、正直相当恥ずかしかったのですが、ブログの記事を読んでいると、結構他にもそういう人がいたということが分かって安心しました。音楽は、本当に“一期一会”。20日のサントリーと21日の文化会館だって同じ演奏じゃないし、ジャン・フルネ氏があまりにも度々来日して日本のオケを振るものだから、つい「いつだって聴ける」と思ってしまう浅はかさ…。やっぱり、今でないと聴けない音楽は、今聴いておかなければいけないという、極々当たり前のことを強く感じました。

【関連ブログ記事】…どんどん増えてます。(^^;)
水瓶座2丁目: フルネのラストステージ
東京へ単身赴任中
フーゾクDXの仕事の合間に小一時間 フルネさんの最後のコンサート
山下幸一のバイオ通信: ジャン・フルネのラストコンサートを聴く
善福寺シンプルライフ
The Rest of My Life – Suntry Hall
Grazie del Fagotto:フルネ氏
LINDEN日記:フルネ指揮都響の「ラストコンサート」
ジャン・フルネのさよなら公演を聴いて kazuの音楽室/ウェブリブログ
三流マニア日記: 12/21フルネラストコンサート
即評: 東京都交響楽団第619回定期演奏会
あれぐろ・こん・ぶりお – 幸せな時間。ジャン・フルネのラストコンサート?都響定期演奏会
しまっていこー!:マエストロ・フルネ ラストコンサート – livedoor Blog(ブログ)
ただいま音楽無茶修行中…:ラストコンサート
Aki☆Dualis:ジャン・フルネ氏引退!!
Thunder’s音楽的日常: 終わった。
kawayo☆music:はじめまして☆都響♪ジャン・フルネ ラストコンサート
facciamo la musica!:ジャン・フルネ ラストコンサート
天浪堂日乗
ぶるろぐ:ジャン・フルネ

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

9件のコメント

  1. ピンバック: LINDEN日記
  2. GAKUさん、はじめまして。
    TB、ありがとう御座いました。
    フルネのラストコンサート、とても好かったですね。
    ヨーロッパでは、ブラームスの1番より2番の方が好まれるそうで、
    フルネが人生最後の曲に選んだのも、この曲を愛していたからなのでしょう。
    そうそう、あの2階席の人は常識がないですね。
    演奏が気に入らなかったとしても、それはその人のかってですから。
    あの一人を除いて、演奏に聞き入っている人にとても失礼な行為だと会場のみんなが思った事でしょう。
    それに第一に、マエストロと演奏者に失礼だと思います。
    まあ、日本人のモラルの質を思い知ってしまいましたね。
    そんな事より、もうフルネの演奏が聴けないと思うと、残念でなりません。
    翌日の文化会館も聞きに行きたかったのですが、
    サントリーでの演奏が最後になってしまいました。。。

  3. 度々、すみません。
    投稿者のAlohaをAlihaと間違えてしまいました。
    こちらも、TBさせて頂きますね。
    これからも、よろしくお願いします。。。

  4. GAKUさん、うちのブログへのTBありがとうございます。フルネのラストコンサートの関連ブログ記事を紹介してくださっているので、いろいろな方の感想が読めて良いです!うちのブログにも情報を追加しましたが、21日の公演の模様は年明けに「芸術劇場」で放送されるそうで、見逃せませんね。

  5. TBありがとうございました。
    私は、フルネ氏を聴いたのが初めてだったのですが、やはり、お年を感じた所もありました・・・。でも、全体的には素晴らしかったと思います。色々と、不愉快なこともありましたが・・・。

  6. GAKUさん、こんばんは。
    ご感想拝見しました。
    何でも途中で残念なことがあったご様子…。
    そのようなマナーは本当にいただけませんね。

    それにしてもフルネはこれまで都響でたくさん楽しませてくれました。
    その功績は偉大とさえ思います。
    ラスト・コンサートに立ち会われて、本当に羨ましいです!

  7. GAKUさん、初めまして。TB、どうもありがとうございました。ブログを立ち上げてから、初めてのTBでしたので、とてもうれしいです。

    フルネのラストコンサート、本当に感動しました。
    演奏後、みんな舞台のそばまで近寄って、ずっと拍手をしていました。フルネの投げキッスがかわいらしかった。
    泣いている人もいて、ジャン・フルネという指揮者は本当に、愛されていたんだな。と感じました。

    演奏中のマナー、色々とありますね。
    21日もアラームが鳴ったりしていました。静かな曲だったので残念です。
    1月22日にNHKで放送され、発売日未定ですが、DVDも発売されるそうです。楽しみです。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください