日本会議がめざすもの

「日本会議」(日本を守る国民会議)がどういう団体か調べてみました。

まず、彼らの運動目標を示した「日本会議がめざすもの」という文書です。これはホームページからも読むことが可能です。

まず分かるのは、この団体が、超アナクロな団体だということ。「私たち日本人は、皇室を中心に民族の一体感をいだき国づくりにいそしんできました」とか「私たちは、皇室を中心に、同じ歴史、文化、伝統を共有しているという歴史認識」が大事だ、などなど、言葉は柔らかく言い換えているけれども、「天皇は神聖にして侵すべからず」「大日本帝国は万世一系の天皇、これを統治す」という明治憲法そのもの。

こういう立場から、「わが国の歴史、伝統にもとづいた理念に基づ」いた憲法の制定を要求するのだから、どういう憲法をめざしているか分かるというものです。同時に、そういう主張のそこここに「家族制度の軽視」とか「家庭秩序の混乱」というスローガンが混じり込んでいます。ここにいわれている「家族」が、いま僕たちが考えているようなアットホームなファミリーをいうのでないことも分かると思います。彼らのいう日本の「伝統」にもとづいた家族=戦前の「家」制度であることは明白です。いま問題になっている300日問題も、もとはといえば、戦前の「家」制度にもとづいた民法の古い規定が戦後も変えられずにきたことにあります。男女平等など、まったく意に介す様子はありません。

そんななかで、唯一、戦前と違っているのは、「鬼畜米英」に代わって、「わが国が、憲法の制約を理由に集団的自衛権を行使しないならば、日米の防衛協力は画に書いた餅にすぎなくなり、アジア・太平洋の軍事的危機はますます高まっていくでしょう」として、日米同盟様々という態度をとっていることです。アナクロニズムと、最新のアメリカ一国覇権主義への追従――この不思議な共存物が、「日本会議」なのだということです。

日本会議のめざすもの

1.美しい伝統の国柄を明日の日本へ

 皇室を敬愛する国民の心は、千古の昔から変わることはありません。この皇室と国民の強い絆は、幾多の歴史の試練を乗り越え、また豊かな日本文化を生み出してきました。多様な価値の共存を認め、人間と自然との共生を実現してきたわが民族は、一方で伝統文化を尊重しながら海外文明を積極的に吸収、同化して活力ある国を創造してきました。
 125代という悠久の歴史を重ねられる連綿とした皇室のご存在は、世界に類例をみないわが国の誇るべき宝というべきでしょう。私たち日本人は、皇室を中心に民族の一体感をいだき国づくりにいそしんできました。
 しかし、戦後のわが国では、こうした美しい伝統を軽視する風潮が長くつづいたため、特に若い世代になればなるほど、その価値が認識されなくなっています。私たちは、皇室を中心に、同じ歴史、文化、伝統を共有しているという歴史認識こそが、「同じ日本人だ」という同胞感を育み、社会の安定を導き、ひいては国の力を大きくする原動力になると信じています。国際化が進み、社会が大きく変動しようとも、常に揺るがぬ誇り高い伝統ある国がらを、明日の日本に伝えていきたいと思います。私たちはそんな願いをもって、皇室を敬愛するさまざまな国民運動や伝統文化を大切にする事業を全国で取り組んでまいります。

2.新しい時代にふさわしい新憲法を

 現行憲法が施行されてすでに50数年?。わが国の憲法は、占領軍スタッフが1週間で作成して押し付けた特殊な経緯をもつとともに、数々の弊害ももたらしてきました。自国の防衛を他国に委ねる独立心の喪失、権利と義務のアンバランス、家族制度の軽視や行きすぎた国家と宗教との分離解釈、などなど。しかも今日、国際協力や環境問題、新しい人権など50数年前には想定できなかった諸課題にも直面しています。
 我が国では、長く憲法問題自体を論じることがタブーとされていましたが、湾岸戦争をきっかけに憲法を見直す声が各方面から提唱され始め、今や憲法改正を支持する国民世論は常に過半数に達しています。21世紀に入った今、新たな時代に対応した国家ビジョンを提唱して、世界に”顔の見える日本”を示すことが、問われているのです。
 そもそも憲法とは、歴史的に形成された国柄を反映した国の基本法です。私たちは、外国製の憲法ではなく、わが国の歴史、伝統にもとづいた理念に基づき、新しい時代にふさわしい憲法の制定をめざし、平成5年に「新憲法の大綱」を発表し、平成13年には有識者による「民間憲法臨調(三浦朱門代表)が設立され、共に新憲法制定の世論喚起につとめています。日本人自らの手で誇りある新憲法を創造したい、これが私たちの願いです。

3.国の名誉と国民の命を守る政治を

 近年は、国政選挙が実施されるたびに投票率が低下しつづけています。国民の政治への関心と信頼が低下しているためだと指摘されています。
戦後一貫して保守政治を担って来た自民党が金権政治と非難を浴び、その自民党の分裂後は政治理念や歴史観のちがう政党同士の連合があいつぐなど、国民の政治不信はつのる一方です。また最近の官僚の汚職は、行政への信頼をおおきく失墜させています。国民の政治への無関心は民主主義そのものの危機です。
 特に、先の大戦を一方的に断罪するわが政府の謝罪外交は、国の歴史や国難に尊い命をささげた戦没者をないがしろにするものであるとして、国民の大きな非難をうけています。いっぽう阪神大震災や北朝鮮による拉致犯罪にみられる危機管理の不在が、国の存立を揺るがしています。国の名誉や国民の命を守るべき政治の使命がおろそかにされていることに、多くの国民が危機感を抱いています。
 今こそわが国は、独立国としての名誉と国益を重んじ、国民の生命と財産を守る確固とした政治の再生が求められています。
 そのために私たちは、日本的伝統の価値を大切にし、多数の国民意思を尊重する責任ある真正保守の政治の実現をめざし、広く国民運動を推進します。

4.日本の感性をはぐくむ教育の創造を

 いじめや自殺、非行の増加や援助交際といわれる性道徳の乱れなど、いま学校教育は崩壊の危機に直面しています。また家庭秩序の混乱や物欲主義の社会風潮、低俗な風俗の流行など、青少年をとりまくこれらの精神的、物理的な社会環境の悪化は、教育荒廃を助長する大きな原因ともなっています。健全な教育環境の創造は、私たち一人ひとりの務めでもあるのです。
 特に行きすぎた権利偏重の教育、わが国の歴史をあしざまに断罪する自虐的な歴史教育ジェンダーフリー教育の横行は、次代をになう子供達のみずみずしい感性をマヒさせ、国への誇りや責任感を奪っています。
 かつて日本人には、自然を慈しみ、思いやりに富み、公共につくす意欲にあふれ、正義を尊び、勇気を重んじ、全体のために自制心や調和の心を働かせることのできるすばらしい徳性があると指摘されてきました。長年の国民運動の甲斐もあって、平成11年には国旗国歌法が制定され、平成18年にはようやく教育基本法改正案が国会に提出されました。平成15年には各界有識者が結集した「民間教育臨調(西澤潤一会長)が設立され、教育基本法改正の国民世論を盛り上げています。
 教育は国家百年の計といわれます。私たちは、誇りあるわが国の歴史、伝統、文化を伝える歴史教育の創造と、みずみずしい日本的徳性を取りもどす感性教育の創造とを通じて、国を愛し、公共につくす精神の育成をめざし、広く青少年教育や社会教育運動に取りくみます。

5.国の安全を高め世界への平和貢献を

 国なくして私たちの生活も基本的人権も守ることはできません。私たち国民は、他国に平和と安全を依存してきた「一国平和主義」の幻想から目覚めて、まず自らの手で自らの国を守る気概を養わなければなりません。国のため尊い命をささげられた戦没者の追悼も、忘れてはなりません。
 年々増強される中国の軍事力や北朝鮮によるミサイル発射事件は、東アジアの平和にとって大きな脅威となっています。わが国が、憲法の制約を理由に集団的自衛権を行使しないならば、日米の防衛協力は画に書いた餅にすぎなくなり、アジア・太平洋の軍事的危機はますます高まっていくでしょう。早急に防衛体制の整備を図らねばなりません。
 資源のないわが国は、世界の平和が成り立ってはじめて生存できる国家です。最近は各国に起こっている紛争解決のため、国連PKO活動に自衛隊の海外派遣がおこなわれ、任地で大きな評価を受けています。このように、国際社会の平和建設に積極的に汗を流してこそ、世界の中の日本としての責務が果たせるのです。
 私たちは、政府に国際社会に通用する安全保障政策の確立を求めるとともに、戦没者を追悼する心を広く国民の中に涵養し、平和と安全のため国を守る世論を喚起していきたいと思います。

6.共生共栄の心でむすぶ世界との友好を

 東西冷戦が終わるやいなや、今度は民族紛争や地域紛争、宗教紛争がひんぱんにおこっています。かつて冷戦時代に、米ソ2大国におさえられていた各民族、各地域の間の利害や価値観、宗教観がいっせいに表面化し対立してきたからだと指摘されています。今日ほど、多様な価値や文化の共存を認め合い、各国・各民族が共に繁栄する共栄の世界の創造が求められている時はありません。
 わが国は、古来、外国からの多様な文明や価値観を同化・吸収して国際交流につとめ、神々の共存といわれるように様々な宗教は対立することなく人々の信仰を集めてきました。また、和を尊ぶ国民精神は、脈々と今日まで生き続けています。
 わが国は、こうした民族の精神文化を大切にしながら、いっそうの国際理解を深め、それぞれの国の伝統・文化を相互に尊重しあう友好親善を進めて、各国同士の共生共栄の実現に努力すべきでしょう。私たちは、国民運動を通じて世界の国々との友好事業をすすめ、わが国の文化を世界に発信するとともに、世界各国の文化を尊重する心を育んでいきたいと思います。

「民間憲法臨調」や「民間教育臨調」といった団体が、「日本会議」の別働隊であることも分かる。

実は、数日前、「自民、民主で仲良く、アナクロ改憲案づくり?!」で、「新憲法制定促進委員会準備会」が発表した時代錯誤な「新憲法大綱案」のことを紹介したけれども、これも「日本会議」の別働隊。そういう目で眺めてみると、「新憲法大綱案」の中身が「日本会議のめざすもの」と重なっていることがよくわかります。

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください