安倍「温暖化対策」はやっぱりごまかし

安倍首相がサミットでぶちあげた「美しい星50」。2050年までに世界の温室効果ガスの排出量を半減させるというものですが、それはあくまで「現状に比べて」。

日本は京都議定書で、2013年までに1990年比で6%削減の義務を負ったはず。しかし、現実には、温室効果ガスの排出量は逆に増加していて、京都議定書の責任をまったく果たしていません。

でも、新しい削減目標が「現状からの50%削減」になれば、この京都議定書の目標は事実上棚上げされてしまいます。つまり、日本が、ちっとも国際約束を守らず、温室効果ガスをますます大量に排出し続けている責任をごまかして、まるで日本が温室効果ガス削減をリードしているかのように見せるごまかしでしかありません。

先日の、昭恵ちゃんとのツーショット全面広告も、このごまかしの一環であり、こんなものに1億円もかけるのは国民の血税の私物化以外の何ものでもありません。

安倍首相、「2050年までに温暖化ガス半減」を提言(AFPBB News)
安倍提案では不十分 温暖化防止で独研究所所長(中日新聞)

安倍首相、「2050年までに温暖化ガス半減」を提言
[AFPBB News 2007年05月25日 17:05 発信地:東京]

【5月25日 AFP】安倍晋三首相は24日、都内で開かれた国際会議の晩さん会で演説し、「世界全体の地球温暖化ガス排出量を現状から2050年までに半減する」などを、国際的な共通目標とすることを提言した。
 首相は演説で「美しい星50(Cool Earth 50)」と題した戦略を発表。技術革新と社会の変革を通じて 「世界全体の温室効果ガスの排出量を、現状と比べ2050年までに半減する長期目標を、全世界の共通目標として提案する。長期目標と実現手段について、国際合意を得るよう各国に働きかける」と述べた。
 また、賛否両論のある原子力発電も含め、発展途上国における温暖化ガス低排出の技術確立を支援するため、日本を含む各国に援助を求めた。
 また、6月にドイツで開かれる主要8か国(G8)首脳会議で参加国に提案し、2012年に満了する「京都議定書」後の新しい枠組みを作り、地球温暖化対策に取り組むことを呼びかける意向を表明した。拘束力のない京都議定書に反対している米国や中国などの参加を促したいとしている。
 米国とオーストラリアは、中国など経済が急成長している国に対する拘束力がないことを理由に、京都議定書の批准を拒否している。中国は米国を追い抜き、世界第1位の排出国になりつつある。
 日本は国際的な影響力を拡大するために、温暖化に対して積極的に取り組む姿勢を示してきた。京都議定書は温室効果ガス削減を規定した世界初の議定書で、1997年に採択された。

安倍提案では不十分 温暖化防止で独研究所所長
[中日新聞 2007年5月27日 朝刊]

 【ポツダム(ドイツ東部)=三浦耕喜】地球温暖化対策でメルケル独首相の科学顧問を務めるポツダム気候影響研究所のハンス・シェルンフーバー所長は25日、本紙の取材に対し安倍晋三首相が提案した温室効果ガス排出半減への新戦略について「次善の極み」と述べ、同案では温暖化のリスクは高いとの見方を示した。
 安倍首相は24日、来月にドイツ北東部ハイリゲンダムで開かれる主要国首脳会議(G8サミット)に提案する新戦略として、温室効果ガス排出量を2050年までに現状から半減させることを目標とする案を発表。
 これについて、同所長は「産業革命以降の気温上昇を2度以下に抑えるには、1990年を基準とする必要がある」と、現状からの半減を目指す点を問題点として指摘。「2度上昇でも顕著な海面上昇は避けられないのに、今を基準とすれば3度の気温上昇を招くだろう」と温暖化への影響を推測した。
 同所長は「政治的な交渉技術としては理解できるが、科学的見地からは次善の極みだ」と述べ、目標とすることに否定的な考えを示した。

税金1億円で新聞“占拠” 安倍首相 「温暖化」より支持率?(しんぶん赤旗)

税金1億円で新聞“占拠” 安倍首相 「温暖化」より支持率?
2007年6月6日(水)「しんぶん赤旗」

 5日付朝刊各紙に安倍晋三首相と昭恵夫人の写真を大きく配した1ページ全面を使っての広告がいっせいに掲載されました。かかった予算は約1億円(環境省)。参院選まで1カ月余のこの時期に、支持率低迷に苦しむ安倍首相が税金を使ってアピールしようとしたものの、かえって国民の批判をよびそうです。
 広告が掲載されたのは「朝日」「毎日」「読売」「日経」「産経」の全国紙5紙と「中日」「北海道」「西日本」のブロック紙3紙で、ほぼ全国ネットの大規模なものです。
 広告の内容は、小泉内閣時代につくられた地球温暖化問題での官製国民運動組織「チーム・マイナス6%」名で家庭の省エネ対策を求めるものです。「電球から日本を明るくしよう」という大見出しで、サマールックに身を包んだ首相が、部屋の電球を白熱電球から電球型蛍光ランプに付け替えるというものです。
 しかし、二酸化炭素など温室効果ガスの国内の排出量は家庭が5%なのにたいしてエネルギー・産業部門が65%。もっぱら家庭の省エネばかりを訴えるというのはお門違いです。首相にいわれるまでもなく、相次ぐ増税、負担増で苦しい家計の庶民は、電気はこまめに消す、風呂の水も節約するという「省エネ」生活を余儀なくされています。
 首相おすすめの電球型蛍光ランプは、量販店の安売りでも1本2000円以上する高価なものです。100円ショップでも買える白熱球とどちらを選ぶかは消費者個々が考えることで、政府が押し付けがましくいうような話ではありません。
 広告を企画した環境省地球温暖化対策課によれば、費用は年間30億円の同チーム予算から支出されたもので、過去の同様の広告の費用からみて今回の広告費は1億円程度と考えられるといいます。(竹)

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

2件のコメント

  1. 環境省のウェブサイトによると、2005年は1990年対比で+7.8%なのだそうですね。仮にここを起点として、「2050年までに現状と比べ半減」を実行するとしても、目標は2050年ですから、削減量は毎年平均Δ1.2%にしかならないんですね。そうすると、本来の目標だった2013年では、現状からあと8年しかないことになりますから、せいぜいΔ9.6%。90年対比では、わずかΔ1.8%しかないことになりますね。

    こんなゴマカシを絶対許しちゃいけませんよね!

  2. ピンバック: かわうそ実記

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