ゆる〜〜いストーリーで… 「長江哀歌」

長江哀歌(エレジー)ポスター

今日は「映画の日」ですが、実は、昨日、中国映画「長江哀歌(エレジー)」を日比谷のシャンテシネで見てきました。久しぶりの映画でした。(今年9本目)

舞台は、中国の長江・三峡ダムでやがて水没してゆく街・奉節(フォンジェ)。そこに、16年前に別れた妻と娘を訪ねて、山西省から1人の男韓三明(ハン・サンミン)がやってくる。しかし、16年前に教えてもらった住所はすでに川の底。男は、仕方なく奉節の街で解体作業で働きながら妻と娘を捜すことに…。他方、沈紅(シェン・ホン)は、三峡の工場に働きに来て2年間も音信不通になっている夫を探しに、やはり山西省からやってきた。しかし勤めているはずの工場にはすでに夫の姿はない…。

と、こうかくと何かストーリーがありげですが、実際には、ストーリーは大して重要性はなく、なんとなくゆる??い雰囲気で話が流れていくだけ。それにそって描かれていく奉節の街の人々の暮らしぶりこそが、実は、この映画の主題です。

立ち退きになってボロ船で暮らす男たち。ビルやアパートの解体作業をやっているドカチンの人たち。そんな男を相手に売春をしている主婦たち。出稼ぎの連中を1泊1.5元で泊めている宿屋の主人。閉鎖になった国営工場の経営者。住民を無理矢理立ち退かせているらしいやくざ風な連中。チンピラふうの若者。そうした底辺の人々の一方で、長江に巨大な橋を架け、それをライトアップして自慢しているビジネスマンが登場したりもします。取り壊しの進む街で、したたかに生きる人々がえがかれてゆきます。

ということで、「長江哀歌」というタイトルから何かを期待して見に来たお客さんたちは、途中から、大あくびをしたり、いびきをかいて寝込んだり…。まあ、ちょっとだまされたといえばだまされたようなところもありますが、中国の「今」がよく分かる作品でもあります。せっかくの名勝、惜しむらくは、もう少し画面がきれいだったら、そして三峡の景勝を眺めることができたら良かったんですが…。

監督は賈樟柯(ジャ・ジャンクー)。これまで、「プラットホーム」(2000年)を見たことがありますが、この作品も文革時代の文工隊の青年たちを通して、文革から改革開放の時代にいたる庶民の暮らしを描いていました。

公式サイト→TOP < 長江哀歌

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【映画情報】
邦題:長江哀歌(エレジー)/原題:三峡好人/英題:Simple Life/監督・脚本:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)/出演:韓三明(ハン・サンミン)、趙濤(チャオ・タオ)/制作:2006年、中国

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

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