『蟹工船』、ついにテレビに登場!!

「めざましテレビ」で『蟹工船』(2008年5月27日放送)
フジテレビ系「めざましテレビ」で『蟹工船』が取り上げられました(2008年5月27日放送)

今朝のフジテレビ系「めざましテレビ」に、小林多喜二の『蟹工船』が登場。午前7時20分からの「ココ調」で、「80年前の小説『蟹工船』今ブームの理由」のタイトルで約7?8分間にわたって取り上げられました。

「めざましテレビ」で戸部洋子アナが『蟹工船』を紹介(2008年5月27日放送)
戸部洋子アナが『蟹工船』について紹介しました。

新聞では、全国主要紙を総なめにした『蟹工船』が、いよいよテレビにも進出です。(^_^;)

「めざましテレビ」で『蟹工船』(2008年5月27日放送)

番組では、なぜいま『蟹工船』がブームなのか、戸部洋子アナウンサーが新潮社や都内の書店を取材。新潮社の担当者によれば、今年に入っての増刷はついに15万部になったとか。また、大型書店だけでなく、都内の書店50店舗のうち、49店舗で平積みになっているというデータも紹介されていました(「めざましテレビ」調べ)。

さらに、実際に『蟹工船』を買った人や、まだ買って読んでないけど興味ありますっていう若者にもインタビュー。ゼミの課題になっているという人もいましたが、もはや『蟹工船』そのものに興味を持って「読んでみたい」という人だけでなく、「なんか、最近話題になってるらしいから、読んでみたい」という人が出るほどのブームになっているようです。

番組では、そのなかの1人に実際に読んでもらい、数日後、その感想を聞いていました。現在派遣で働いているというこの青年は、「共感を持てました。行動を起こすことによって状況の変化が起きたので、自分で行動していくことが正しいことなんだなと学びました」と語っています。

「めざましテレビ」で『蟹工船』(2008年5月27日放送)

ほかにも、20歳前後のころ(40年ぐらい前に)読んだが、また最近読み返したという「団塊世代」のオジサンも登場。「むちゃくちゃな働かされ方をされているという点では、21世紀はこれではまずいと思います」と語っていました。

紹介の最後は、「いま日本を取り巻いている厳しい労働状況が変わるきっかけとなるかも知れません」という言葉で結ばれていました。

そのあと、戸部アナと、キャスターの大塚範一氏、高島彩アナがこんなふうにコメントしていました。

高島アナ 「境遇が似ているって思う方が多いんですね」
戸部アナ 「若い方が支持しているということのようです」
大塚氏 「働く環境が厳しいということですか。そう思っている人が多いんですね」
戸部アナ 「初めは、文体がちょっと難しい表現だったりするんですが、だんだんと中味にはまっていくという方が多いようで、いまの若者世代が置かれている厳しい環境とマッチするのかな、ということがありました」
大塚氏 「小林多喜二は警察からにらまれて、特高警察に捕まって、確か29歳4カ月か5カ月 ((あらためて調べてみると、小林多喜二は1903年10月13日生まれで、1933年2月20日に殺されているので、29歳と4カ月と1週間になります。さすが“年の功”、多喜二にたいする“敬意”を感じました。))の若さで亡くなる訳ですよね。そういった過去もしっかり勉強しなければいけませんね」

動画を見たい方は、ここ↓をクリック。
めざましテレビ:80年前の小説「蟹工船」今ブームの理由(2008年5月27日放送)
↑wmvファイルで再生します。

ところで、見逃してましたが、5月25日付の「産経新聞」に、北海道出身の作家・佐々木譲氏が、こんなことを書いてました。

【断 佐々木譲】蟹工船の次に読むもの(MSN産経ニュース)

【断 佐々木譲】蟹工船の次に読むもの
[MSN産経ニュース 2008.5.25 03:30]

 小林多喜二『蟹工船』が売れているという。意外に感じるが、じっさい大手書店には平積みのコーナーまでできている。
 新しい読者は若いフリーター層、ワーキング・プア層が中心らしい。とすればこれまで、プロレタリアという言葉も知らなかったひとたちなのではないか。彼らが『蟹工船』の労働者たちに共感し、自分たちの境遇が「自己責任」などのせいではないと知るのは喜ばしいことだ。
 わたしが『蟹工船』を読んだのは、40年近くも昔、20歳前後のことだったろう。短期の肉体労働を繰り返していたころだ。それでもそのころすでに『蟹工船』は遠い時代の物語だった。労働3法は、たとえばわたしの体験した自動車工場の内部でも、とりあえず機能していた。日産京都工場の大争議など、『蟹工船』を連想させる事例は散発していたにせよだ。
 しかし、いまの派遣社員やワーキング・プア層の労働環境を見ると、事態は40年前よりもずっと小林多喜二の時代に近くなっているようだ。わたしの身近にいる若いひとたちの例を聞いても、その悲惨さは理解できる。現在は管理のシステムが洗練されただけだ。
 いまの『蟹工船』の読者は、次に何を読むのだろう。そこが問題だという気がする。かつて、わたしのまわりにいた底辺労働者たちは、小林多喜二などまったく読んでいなかった。いくらか知的好奇心のある労働者は、大藪春彦を読んでいた。わたしは最近の『蟹工船』読者たちに勧めたい。船戸与一はよいと思うぞ。(作家)

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

3件のコメント

  1. ピンバック: +++ PPFV BLOG +++
  2. おはようございます。
    「未来の小林多喜二」から新入しました。
    とでもすてきなブログですね。特に「蟹工船」や夕刊記事(実はこちらは夕刊は発刊しておらず、図書館に行っても読む事が出来ないのです。
    これからもよろしくお願いします。
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  3. 遅くなって済みません。「蟹工船」についてですが、読んだことはないものの、タイトルだけは聞いたことがあります。後世に残すべき書籍です。

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