自衛隊機の派遣話の顛末

四川大地震の救援物資を運ぶために、自衛隊機を派遣するという話は見送られることになった。

そもそも、この手の話は各方面の根回しがすんでから公表されるべきものなのだが、今回は、話が本決まりになる前に、日本側が「自衛隊を派遣する」と大きく公表してしまった。そこから、すれ違いが始まってしまったようだ。

しかし同時に、自衛隊の輸送機(C-130)は、実は意外と荷物がつめないという問題もある。民間輸送機の方がたくさんつめるのだ。そういう点でも、わざわざ自衛隊機の派遣に固執する理由はなかったといえる。

中国への空自機派遣見送り、発表 数日中に民間機第1便(朝日新聞)

中国への空自機派遣見送り、発表 数日中に民間機第1便
[asahi.com 2008年05月30日15時11分]

 政府は30日、中国・四川大地震の被災者支援物資を運ぶための自衛隊機派遣を見送ることを発表した。中国国内で自衛隊機受け入れに反発があることを考慮した。物資は民間機をチャーターして輸送する。第1便として数日中に、兵庫県など所有のテントを関西空港から成都(四川省)に運ぶ方針だ。
 町村官房長官は同日午前の記者会見で「今回は自衛隊機派遣を行うことはない。中国国内で一部慎重論が出始めていることを考慮し、日中間で協議した結果、自衛隊機による輸送は見送ることにした」と述べた。
 自衛隊機による救援物資の輸送は、中国政府が27日、北京の日本大使館にテントなどの支援を要請したことで浮上した。中国側が輸送手段として自衛隊機も受け入れる考えを示したことから、日本政府は迅速に派遣が可能な自衛隊機を使用する方向で検討に入った
 自衛隊の部隊が中国国内に入るのは初めてで、実現すれば、日中関係進展のシンボルになるとの見方がでる一方、中国国内ではインターネット上に反対意見が書き込まれるなど、世論が二分されていた。町村氏は会見で「摩擦を起こしてまでやるような話ではない」と述べた。
 一方、石破防衛相は30日の記者会見で、中国国内で根強い自衛隊への拒絶反応について「日本に対する信頼を獲得するための努力を今後も地道にやっていかねばならない」と述べ、日中間の防衛交流については、「淡々と進める」と語った。
 兵庫県によると、チャーター機で運ぶテントは200張り(2千万円相当)。災害備蓄用として県内の倉庫に保管しているもので、1張りに約10人が入れるという。第1便には、兵庫県以外にもう1県のテントも積まれる見通しだ。
 自衛隊機派遣について、政府は国際緊急援助隊派遣法に基づき、愛知県の航空自衛隊小牧基地所属のC130輸送機3機でテントや毛布などを運ぶ派遣計画の原案を作成、早ければ週末にも第1便を出発させる態勢を整えつつあった。自衛隊機の受け入れについて、中国側の最終的な確認を待っていたが、両政府間の協議の結果、自衛隊機の活用は今回見送ることになった。

インターネットには流れていないようだが、「朝日新聞」の本日付夕刊では、次のように報道されている。

 (前略)
 今回中国側から寄せられた要請の主眼は、あくまでも被災地で不足するテント。自衛隊機への言及はあったが、輸送手段として触れられただけで、そこに関心が集まるとは予期していなかった節がある。だが、日本メディアで自衛隊機派遣がクローズアップされると、すぐに中国のインターネット上で批判的な書き込みが相次いだ。
 (中略)
 さらに、救援物資を運ぶ自衛隊輸送機は民間機よりも輸送量が限られる。外務省幹部は「せっかく派遣しても、なんだこれだけかと言われたら困る」と語った。派遣が逆効果になるリスクを恐れたことが、見送り決断の大きな理由だった。[朝日新聞 2008年5月30日夕刊2面]

報道の初発は、おおむね↓以下のとおり。町村官房長官の記者会見から考えても、中国側の要請は、テント、毛布などの支援物資を送ってほしいということと、それを日本側で輸送してほしいというもので、そのなかに自衛隊機で運ぶこともありうる、というものだったようだ。

中国が自衛隊機派遣を打診 四川大地震の物資輸送で(共同通信)
四川大地震物資輸送に自衛隊機使用を検討(日刊スポーツ)
中国が「自衛隊機含む支援」要請・官房長官(NIKKEI NET)

中国が自衛隊機派遣を打診 四川大地震の物資輸送で
[2008/05/28 13:44 共同通信]

 防衛省幹部は28日、中国政府が四川大地震の支援物資空輸のため、自衛隊機の派遣を日本政府に打診してきたことを明らかにした。政府内で派遣する方向で調整を進めている。実現すれば中国に自衛隊部隊が派遣されるのは初めてとなる。
 同省幹部は輸送量に応じ機種を選定するとしており、航空自衛隊のC130輸送機などが想定されている。支援物資は毛布、テント、食料などになる見通し。

四川大地震物資輸送に自衛隊機使用を検討
[日刊スポーツ 2008年5月28日15時1分]

 政府筋は28日、中国政府が27日に四川大地震でテントや毛布など物資援助とその輸送を日本政府に要請してきたことを明らかにした。これを受け、政府は自衛隊機かチャーター機のいずれかを使用する方向で外務、防衛両省などによる調整に着手した。自衛隊機の場合、中国に自衛隊部隊が派遣されるのは初のケースとなる。
 防衛省の徳地秀士運用企画局長、外務省の秋葉剛男中国課長は28日午後、首相官邸を訪れた。派遣時期や規模など具体的な協議をするためとみられる。
 中国の具体的な要請内容は明らかでないが、航空自衛隊のC130輸送機などが想定されている。中国はこれまで地震などを被災した場合も、海外からの人的支援はほとんど受け入れていなかったが、今回の地震で初めて日本を含めた海外の緊急援助隊を本格的に受け入れている。

中国が「自衛隊機含む支援」要請・官房長官
[NIKEKI NET 2008/05/28 16:23]

 町村信孝官房長官は28日午後の記者会見で、中国政府から27日、四川大地震の被災地支援のため、テントや毛布などの支援物資と、自衛隊の輸送機を含む輸送手段の提供の要請があったことを明らかにした。日本政府の対応については「検討中だ」と述べた。

なんにせよ、兵庫県が提供を申し出た200張りのテントが1日でも早く被災地に届くことを願う。

【追記】

この件でもう少し調べたら、産経新聞が次のような「検証」記事を流していた。見出しは「中国側のあいまいな『要請』に振り回された日本政府」と、中国側に責任があるような見出しになっているが、記事を読むと、中国側の要望は「救援物資を早く送ってほしい」というのが中心で、あるいは「自衛隊機でもいい」といったことを言ったのかも知れないが、そこを肥大化させていったのは、もっぱら日本側(「産経」では、町村官房長官だとされているが)だったというのが分かる。

【検証】中国側のあいまいな「要請」に振り回された日本政府 自衛隊派遣見送り(産経新聞)

【検証】中国側のあいまいな「要請」に振り回された日本政府 自衛隊派遣見送り
[MSN産経ニュース 2008.5.30 20:49]

 中国・四川大地震の被災者に対する救援物資輸送の手段として検討されていた航空自衛隊機の派遣?。30日、一転して見送りとなったが、中国側のあいまいな「要請」にふりまわされたドタバタ劇を検証する。(今堀守通 北京 野口東秀)

■怒りの電話

 29日、第4回アフリカ開発会議(TICADIV)が開催されている横浜市内のホテルで朝を迎えた福田首相は、携帯電話を取りだして町村氏にかけ、強い口調で指示を出した。
 「最優先なのは、救援物資を早く送ることであり、自衛隊機を出すことではない!!」
 同日付の各紙朝刊の1面がどれも「自衛隊機派遣」の大見出しが躍っているのを見て、怒りが込み上げた。「自分の真意と違う動きになっている」?。電話せずにはいられない状況にまでなっていた。
 首相官邸を留守にしていた福田首相と、留守を預かっていた町村信孝官房長官らとの意思疎通が図られていなかったのだ。首相の指示を受け、自衛隊機派遣の動きは急速にしぼんだ。

■突っ走る「留守番」組

 町村氏ら政府側のこれまでの話によると、27日に北京の日本大使館の駐在武官に中国国防省の「担当者」から緊急支援の要請が来た。「担当者」はこのとき「(輸送手段は)自衛隊機であっても構わない」とも発言したという。
 その報告を聞いた町村氏や二橋正弘官房副長官らは「中国は猫の手も借りたいほどの状況なんだ」(政府高官)、「日中関係進展のシンボルになる」(外務省幹部)と判断。直後から緊急援助物資をC130輸送機で輸送しようという動きが出始めた。
 中国側からの支援要請は、横浜にいた首相に町村氏から秘書官を通じて連絡が入った。
 アフリカ40カ国首脳との「マラソン会談」に追われていた首相は、支援を惜しむ必要はないとの思いを込めて「やってくれ」と返事をしたという。これで首相の「お墨付き」も得たと判断した町村氏は、28日午後の会見でこう言い切った。
 「自衛隊が現地で活動するという意味合いではないが、自衛隊機で中国の空港まで運んでもらいたい、という趣旨だと理解している」
 官邸内からは、「週内になるべく(輸送できるように)結論を早くしろと、関係者には言っている」「福田首相は、胡錦濤国家主席や温家宝首相に『できる限りのことをする』『何でも遠慮無しに言ってくれ』と伝えているんだ」という声が続出し、自衛隊機派遣が既定路線のようになっていった。首相の優先順位を理解しないままの「発進」でもあった。

■誤った「解釈」

 しかし、28日に外務省側が自民党外交関係議員へ説明した内容は微妙に異なっていた。
 同省側の説明では、「緊急支援物資を直ちに送ってほしい」という中国側の要請に、日本の外務省は「送るときの輸送手段は自衛隊機を使う方が早い」と応じ、中国側は明確な否定も肯定もしなかったという。
 出席した議員の一人は「中国政府が、中国国民の旧日本軍への感情を考えると、自衛隊機の応援を求めるはずがないのではないか」と、政府内の動きが「前のめり」になっていると警戒し、自衛隊機派遣には慎重な対応を求めた。
 この議員は、「自衛隊が中国へ行けば中国政府は今後、自衛隊批判をすることができなくなる、という期待は持てた。だが、中国政府が本当に自衛隊機派遣を望んでいるのかどうか。外務省側の説明だけではどうしても疑問符が取れず、同省が間違った解釈をしたのではないか」と振り返る。
 防衛省にも、中国側の要請に対し、「(自衛隊機を派遣してほしいという)特定の意思があったものでもない」(石破茂防衛相)との「疑問符」がつきまとっていたが、官邸サイドの指示を受け準備を進めるしかなかった。

■中国は…

 町村氏らは、首相の意図を誤っただけでなく、中国政府内の真相も把握し切れていなかった。
 「震災救援闘争に勝たなければならない」と号令をかけた胡主席は、各国の救援を受け入れることで難局を乗り切ろうと腐心していた。大地震で日本から緊急援助隊を受け入れたのもその一環であるが、同時に対日感情好転のきっかけにしたい思いもあったとみられる。
 しかし、日本のメディアの報道ぶりに、中国国内のネットが過敏に反応、「オオカミを部屋に入れるのと同じ」という反対論が相次いだ。
 「歴史の壁」もあった。被災地の重慶では、旧日本軍による爆撃があった都市であり、自衛隊機の運行先に挙げられていた成都も空爆の対象だった。
 中国国内の反対論だけでなく、胡政権内からも軍の一部などから反対論がわき上がり、29日昼には、北京を訪問していた外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長に対し、中国の武大偉外務次官が、「(国内事情を)忖度(そんたく)してほしい」「理解してほしい」などと述べたという。
 町村氏らは、中国政府の真相をようやく知り「後片付け」に取りかかった。29日の夕方になると、政府内からは「新聞の1面に中国政府がびっくりしたのではないか」(政府高官)と報道に「責任転嫁」する声が出る始末に。夜には派遣見送りを決断した。
 30日夕、TICADIVを終えて横浜から官邸に戻った首相は、記者団に対し「日中両国同士が話し合った結果、民間機が一番いい、ということになったのではないか」と他人事のようにこたえた。

さらに、こういう記事もあります。

四川大地震:自衛隊機派遣見送り 「成果」焦った?日本(毎日新聞)

四川大地震:自衛隊機派遣見送り 「成果」焦った?日本
[毎日新聞 2008年5月30日 23時36分(最終更新 5月31日 0時40分)]

 政府が中国・四川大地震の被災地への自衛隊機派遣を見送った背景には、中国側の「要請」をめぐるボタンの掛け違いがあった。その中で、政府内には歴史的な外交成果を狙う焦りも存在し、それが「自衛隊派遣」の独り歩きを招いた側面もありそうだ。
 「昨日、北京の日本大使館に中国政府から要請がありました」
 中国からテントや毛布などの物資の輸送のための自衛隊派遣を要請されたと発表したのは28日午後の町村信孝官房長官の会見。町村氏は「輸送手段について自衛隊によるものを含めて要請があった」と説明した。
 ところが、ある政府関係者は「要請したのは中国軍の少佐」と明かす。少佐は防衛省だと3佐に相当し、陸海空幕僚監部の課長にも満たないレベル。初の自衛隊派遣という歴史的な局面で、課長にも満たない軍人が要請してきたことになる。
 「少佐と聞いた時、この話は大丈夫なのかと感じた」と政府関係者。首相周辺も「中国政府が意思決定したものでも、権威あるものでもなかった。その意味では最初から自衛隊派遣の要請はなかったとも言える」と語る。
 つまり、単なる打診だった可能性があるのだが、中国軍の一部による一つのアイデアは日本政府に伝わる過程で要請に姿を変えていったようだ。
 そのころ、米軍はC17輸送機でハワイから支援物資を四川省・成都まで空輸し、中国軍関係者の出迎えを受けていた。「米軍も受け入れているわけで、過去の経緯からあまり自衛隊を特別扱いしすぎる必要はない」(外務省幹部)との楽観論が広がり、大々的に報道されたこともあって政府はどんどん前のめりになっていった。
 政府関係者は「中国から求められた」と口をそろえたが、実際には日本側が持ち出していた。12日の地震発生の直後、政府は(1)資金援助(2)物資援助(3)緊急援助隊の派遣(4)医療チームの派遣――の4提案とともに「自衛隊の派遣を要請してはどうか」と提案した。
 検討されたC130輸送機での支援内容は、数千万人規模という被害に比べ、テントや毛布の量がかなり限定的。外務、防衛両省には「実現すれば日中関係にとって画期的で、関係改善の象徴的出来事になる」と色めく幹部がいた。自衛隊派遣案がもともと人道支援ではなく、政治的意味合いから出発していたわけで、政府関係者からは「最終的に見送られたのは必然」との声も聞かれる。【古本陽荘】

こちら↓の記事によれば、C130輸送機3機で、運べるのはテント数十張りと毛布数千枚。また、C130の航続距離では成都に直行できず、途中で給油が必要になるそうです。

空自C130を3機、週内出発準備 防衛省が派遣原案
[asahi.com 2008年05月29日15時03分]

 中国・四川大地震の被災者支援に向け、防衛省は29日、国際緊急援助隊派遣法に基づき、航空自衛隊のC130輸送機3機でテントや毛布などを運ぶ派遣計画の原案を固めた。今後さらに中国側と必要な物資の量や輸送機数を調整し、早ければ週末にも第1便が出発できる態勢を取る。
 防衛省関係者によると、空自小牧基地(愛知県)に所属するC130輸送機3機を使い、3日間かけて陸上自衛隊が宿営用に使うテント数十張りのほか、陸海両自衛隊の毛布数千枚を運ぶ方向で調整している
 陸自はテント2万数千張りを所有しているものの、相当数は自らの部隊運営に必要で大規模な提供は難しいという。このため、自治体が所有するテントの提供を受け、自衛隊の輸送機で運ぶ案も検討している。
 中国側の今回の要請は、27日に中国軍関係者から北京の日本大使館の防衛駐在官に伝えられた。その際、輸送手段として「自衛隊機も含めて」との言及があった。その後、日本政府は、中国側が政府として自衛隊機の受け入れを認めるのかどうかの確認作業を急いでいるが、防衛省首脳は29日、「(受け入れの)確認は取れている」と語った。
 輸送先は成都と北京の空港が候補に挙がっている。成都の場合、小牧基地からの飛行時間が約9時間。途中給油のため、湖北省の武漢に立ち寄る必要がある。北京の場合は約5時間で直行できる。空自は物資を空港まで運んで中国側に引き渡し、被災地までは中国側が担当するとの想定だ。
 一方、町村官房長官は29日午前の記者会見で、自衛隊機派遣については「まだ結論が出ている段階にはない」と述べた。そのうえで町村氏は、国連平和維持活動(PKO)用のほか、国際協力機構(JICA)や民間企業、自治体が保有する物資の調達を検討していることを明らかにした。
 防衛省は、国際緊急援助隊派遣法に基づく政府の派遣命令が一両日中に出れば、週末にも輸送機を派遣できるよう準備を進めている。
 自衛隊による国際緊急援助活動は、昨年1月の自衛隊法改正で「本来任務」に格上げされてから初めて。政府が派遣命令を出す際には、首相を長とする安全保障会議に諮る必要がある。(山田明宏)

【さらに追記】

この↓日経新聞の記事によれば、「自衛隊機でもいい」というのさえ、実は日本側から持ち出したことだったようです(30日付夕刊)。

日本、民間機での支援表明 事前交渉詰め甘く(NIKKEI NET)

日本、民間機での支援表明 事前交渉詰め甘く
[NIKKEI NET 2008年05月30日 16:09]

 【北京=佐藤賢】自衛隊機の中国派遣が「幻」となった背景には、過去の歴史にかかわる中国での根強い「自衛隊アレルギー」がある。政府間の事前交渉の詰めの甘さも響いた。
 そもそも自衛隊機派遣が浮上したのは27日、北京での日本大使館の防衛駐在官と中国国防省担当者の協議。テントや医薬品の提供を求めた中国側に、日本側が「要望は東京に伝えますが、自衛隊機が運ぶことでもいいですか」と聞くと、中国側の回答は「それも念頭に置きます」。この担当者は局長級以上の幹部ではなく、中国政府の統一見解でもなかった。
 四川大地震後、周到に自衛隊派遣シナリオを練っていた日本政府にとって、国防省担当者の発言は「渡りに船」。日中関係改善の象徴にしようと、政府内での検討を急ピッチで進めた。

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

4件のコメント

  1. ■幻の日本軍中国救援は歴史上の転換点?
    こんにちは。今回の、中国側の反応は当然のことと思います。しかし、今までは一度もこのような大きなミスはありませんでした。おそらく、中国の外交に関する今までの最悪のミスだと思います。いずれにせよ最初の時点では、少なくとも自衛隊の中国内での活動は絶対反対という意向は示さなかったと思います。その意向を受けた日本が、自衛隊機で事をすすめて、今度は、都合がわるくなったから、断るというのですから、これが中国以外のまともな国家であれば、正式に相手に対して謝罪をするのが、国際儀礼というものです。中国側があれこれいうのは、ミスを隠蔽するために、後付で理屈をつけているに過ぎません。いずれにせよ、この出来事は現在の中国政府は迅速な意思決定ができない、リスク管理ができないことを如実に示していて、内部の混乱、分裂ぶりを示す査証になったと思います。その意味から、この一見当たり前のようにみえる事柄が、あとから振りかえってみると大きな歴史上の転換点になっている可能性がかなり高いと思います。詳細は私のブログをご覧になってください。

  2. yutakarlsonさん、初めまして。

    残念ながら、事態はまったくあべこべでしょう。

    最初の打診は、中国軍少佐からのものだというのですから、まさしく事務方の打診程度。しかも、実際には「できるだけ早く送ってほしい。そのために、もし自衛隊機で運ぶのが一番早いのであれば、それもありうる」という程度だったようです。

    ところが、それに飛びついて、官房長官が記者会見して「自衛隊機の派遣要請があった」と大々的に発表してしまったのですから、日本政府の外交的な失態というべきです。

    仮に、もっと高度なレベルで自衛隊機派遣の打診があったとしても、話が自衛隊機の派遣である以上、日中双方で話がもっと固まってから公表するのが当たり前。その詰めもせずに、一方的に発表してしまうのだから、外国からは「日本には、うっかり打診もできない」と思われても仕方ありません。

  3. 初めて書きます。よろしく。
     今回の、「自衛隊機派遣したい」騒動は、官邸サイドの勇み足だったようですね。特に、町村官房長官の。彼には、いろいろ官邸内のうわさ話もあるようですが…。
     それはさておき、今回の災害救援については、機種、容量、足の長さ、プロペラ機含めた小回り度、中国側の要望、中国側飛行場の状況、中国側の感情など、あらゆる問題を勘案したうえで、自衛隊機が要望に添うなら、自衛隊機でよかったと思います。現実はそうでなかったと言うことでしょう。いづれにしても、人道問題です。自衛隊機派遣に反対する側も、逆の政治的思惑は持たない方がよいと思いますが。

  4. Maburiさん、初めまして。

    私の考えも、まったく同じです。
    要するに、できるだけ早く、スムーズに必要な救援物資を運ぶこと。そのために、最良の方法を選択すべきだったのに、「まず自衛隊機派遣ありき」みたいな話になってしまったところに、一番の問題があったと思います。

    僕自身は、災害救援のために自衛隊機を派遣することはありうるし、相手国の要望で派遣することになった場合、反対する必要は何もないと考えています。

    今回についても、兵庫県がテント200張りの提供を申し出ている(すでに関空に運び込まれたそうです)のですから、一刻も早くテントが被災地に届くことを願っています。

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