アイスランドの銀行 円建て債務がデフォルトに

とうとうやっちゃいました。アイスランド最大の銀行が発行した円建て外債(いわゆるサムライ債)が、27日、債務不履行(デフォルト)になったことが明らかに。

アイスランドは通貨クローネの暴落で、外貨準備の流出が続き、IMFから21億ドル(約2000億円)の緊急融資を受けることになっているが、はたして今後デフォルトが広がるのかどうか。金融恐慌は新しい局面に向かうのかも知れない。

アイスランド最大手銀、円建て外債不履行の状態(NIKKEI NET)
国家破たんの危機、アイスランド(TBS News-i)
カウプシング銀サムライ債が780億円デフォルト、9月リーマン債に続く異常事態 | Reuters

アイスランド最大手銀、円建て外債不履行の状態

[NIKKEI NET 2008/10/27 21:56]

 アイスランドの最大手銀行カウプシング銀行が発行した円建て外債(サムライ債)が27日、債務不履行(デフォルト)条件に該当したことがわかった。債券の元利払いの代理人である三井住友銀行が、利払い猶予期間の最終日である同日までに利息が支払われなかったことを認めた。発行企業側が債務不履行を宣言すれば、米証券大手リーマン・ブラザーズに続き今年2件目で、海外企業の起債が相次いでいた日本のサムライ債市場に影響を与えそうだ。
 対象の債券はカウプシング銀が2006年10月に発行した500億円。償還期限は3年で、主に機関投資家や企業が購入した。昨年7月にも3本で合計280億円のサムライ債を発行しており、これらも債務不履行になる可能性がある。
 同行は世界的な金融危機で経営が行き詰まり、今月9日にアイスランド政府の管理下に入った。20日の利払い日に利息を支払えず、27日まで7日間の猶予を与えられていた。危機は同国全体にも広がっており、国際通貨基金(IMF)から最大21億ドルの緊急融資を受けることで暫定合意している。

国家破たんの危機、アイスランド

[TBS News-i 最終更新:2008年10月27日(月) 18時51分]

 アメリカが震源地となった今回の金融危機をめぐって、新たにウクライナがIMF=国際通貨基金から緊急融資を受けることが決まり、近くハンガリーも支援を受ける見通しです。こうした中、ヨーロッパの小国アイスランドは国家が破たんしかねない厳しい状況に追い込まれています。
 「今、わが国の経済は非常に危機的な状況にある。最悪の場合、国家が破たんしかねない状況だ」(アイスランド ハーデ首相)
 一国の首相が放ったこの言葉は、世界を驚かせました。人口32万人。漁業が主な産業だったアイスランドは、近年、金融部門に力を入れ1人当たりのGDPは、世界でもトップクラスになりました。しかし・・・
 アメリカ発の金融危機は津波となって、アイスランドに襲いかかりました。通貨のクローナは半値近くに暴落。金融機関の資金繰りは、急激に悪化しました。
 アイスランド政府は、三大銀行をすべて国有化するなど、対応策を打ち出しました。
 「(カウプシング銀行だけで)おそらく100?200人が解雇されるでしょう。国有化されたほかの2つの銀行でも同様です」(国有化されたカウプシング銀行 ジョンソン調査部長)
 国家破たんの危機は、人々の暮らしの危機にも直結しています。
 「私は殺されるよ!」(グジョンソンさん)
 グジョンソンさん(48)は、2年前に現在の自宅を購入。およそ4000万円の住宅ローンを外貨建てで組んでいました。
 「円建てです」(グジョンソンさん)
 彼が選んだのは、日本円とスイスフランで支払うローン。月々の返済は、為替の変動に合わせてアイスランド・クローナで支払います。毎月支払っていくには有利なローンのはずでした。ところが・・・
 今回の金融危機の影響で、クローナが暴落。今年初め頃まで、1か月12万クローナだったローンの支払いが、今月から2倍以上にはね上がったのです。さらに、投資していた株まで大暴落しました。
 「老後のために20年間蓄えたものが、すべてあるいはほとんど消えてしまいました」(グジョンソンさん)
 人々の暮らしを破壊しつつある国家破たんの危機。JNNのインタビューに応じたグリムソン大統領は、こう率直に述べました。
 「あまりに短期間に、多くのことをやろうとしすぎた結果でしょう。今回の経験で我が国はより強くなり、確固たる基盤を作ることができると確信しています」(アイスランド グリムソン大統領)(27日18:15)

カウプシング銀サムライ債が780億円デフォルト、9月リーマン債に続く異常事態

[ロイター 2008年 10月 27日 20:01 JST]

 [東京 27日 ロイター] 政府の管理下に置かれているアイスランドの銀行最大手カウプシング銀行が発行した4銘柄・発行総額780億円のサムライ債(円建て外債)がデフォルト(債務不履行)となった。
 カウプシング銀行が2006年10月20日に発行した第1回固定利付き債(償還2009年10月20日、発行額500億円)が今月20日に利払いがなく、猶予期限とされた27日までに利払いが実行されなかったことから、発行要項上のデフォルト事由に該当した。財務代理人の三井住友銀行は27日に利払いされなかったことを確認した。この結果、カウプシング銀行が発行した他の第2回固定利付き債(2010年7月5日、100億円)、第3回固定利付き債(2012年7月5日、50億円)、第1回変動利付き債(2012年7月5日、130億円)もデフォルトになったものとみなされる
 9月に米リーマン・ブラザーズの5銘柄・発行総額1950億円のサムライ債がデフォルトになっており、短期間に金融機関のサムライ債が相次いでデフォルトになる異常事態となっている。
 サムライ債が相次いでデフォルトになったことについて、ある国内大手証券のクレジットアナリストは「世界規模で深刻な信用収縮が起きていることがわかる。新興国のソブリンのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムが急拡大していることは気がかりで、今後、新興国の発行した債券のデフォルトリスクが高まることも想定できる」と述べた。複数のクレジット市場関係者は、買い手がつかないほどサムライ債への不信感が強まる可能性が出てきたとみている。
 カウプシング銀行債の弁済に関しては、ある銀行系証券のクレジットアナリストは「アイスランドの場合、国自体が大混乱しているため、カウプシング銀行債の弁済内容が確定するまでには、かなりの時間がかかる」とみている。(ロイター日本語ニュース 伊藤 武文記者)

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

1件のコメント

  1. アイスランドとコスタリカは軍隊のない国だったはずで、親近感を覚えます。
    世界に20カ国ぐらいこういう国があるはずで、日本でも、もっと知られるべきだと思います。そうすれば、軍隊などなくてもやってゆけることがわかるというのに。
    デフォルトといえば、アルゼンチンを思い出します。米国の裏庭と呼ばれ、シカゴ学派を利用した強欲者たちに弄ばれた南米。しかし、そのデフォルトしたアルゼンチンは、今、政権が交代し、新自由主義を捨て去り、再び立ち上がる最中ですね。もっと南米のことが紹介されてよいとおもいます。銀行に税金をくれてやって、銀行を建て直すより、アルゼンチンやブラジルのような選択をして、新自由主義に決別する方が根本治療で、よいと思います。銀行に税金をくれてやる日本方式は、アメリカでは、それなりに抵抗を受けているようですね。もっとこういう声が紹介されてもいいと思います。

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