またもやJRの2階建て高速バスが全焼

炎上したバス=静岡県牧之原市(県警高速隊提供)

東名高速で、JRバスの高速バスがエンジンから火を噴いて全焼。さいわいけが人などなかったそうだが、JR高速バスは昨年も高速を走行中に火を噴いて全焼している。どちらもドイツ・ネオプラン社製の2階建てバスだという。構造的な欠陥があることは明白だろう。

走行中の高速バスから出火 78人避難 静岡・東名高速(朝日新聞)
静岡県でバス全焼、けが人なし 東名高速、乗客77人避難(共同通信)

走行中の高速バスから出火 78人避難 静岡・東名高速

[asahi.com 2009年3月16日11時1分]

 16日午前4時15分ごろ、静岡県牧之原市の東名高速上り線で、走行中のジェイアールバス関東(本社・東京都)の大阪発東京行きの高速バスから出火。バスは近くの牧之原サービスエリアに緊急停車したが、全焼した。乗客77人と男性運転手(43)は避難してけがはなかった。
 牧之原署によると、走行中に運転手がサイドミラーでバス後部から火が出ているのを見つけたという。エンジンルームから出火したと見られる。
 バスは、ドイツのバス車体メーカー「ネオプラン」社製の2階建てバス。08年5月には、西日本ジェイアールバスの同社製バスが大津市の名神高速道路上り線を走行中、エンジン付近から出火して全焼している。
 バスは15日午後10時40分にJR大阪駅を出発、16日午前8時9分にJR東京駅に着く予定だった。ジェイアールバス関東によると、乗客はJR静岡駅まで別のバスで移動後、新幹線に乗り換えたという。

静岡県でバス全焼、けが人なし 東名高速、乗客77人避難

[2009/03/16 14:13 共同通信]

 16日午前4時15分ごろ、静岡県牧之原市の東名高速上り線の牧之原サービスエリアで、JRバス関東(東京都渋谷区)の大阪発東京行き高速夜行バスから火が出ていると119番があった。バスは間もなく全焼したが、男性運転手(43)と乗客77人は避難して無事だった。
 牧之原署は、エンジンルームから出火したとみて原因を調べている。
 同署によると、バスは2階建ての「青春メガドリーム号」(定員86人)。走行中にバス後部から煙が出ているのに運転手が気付き、すぐに直近のサービスエリアに入った。乗客を避難させた後、火の勢いが強くなり全焼したという。
 JRバス関東は同日、火災の起きた同型バスの運行を当面見合わせることを決めた。出発直前の点検で異常は見つからなかったという。
 同社によると、火災の起きたバスはドイツのネオプラン社製。昨年5月には、西日本JRバスの同型バスが大津市の名神高速道路を走行中にエンジン付近から出火、全焼した。

共同通信の記事によれば、運転手が煙が出ていることに気づいて、最寄りのサービスエリアに緊急に停車して全員が避難した、ということだが、もし発見が遅れていたら、2階建てバスの構造から考えれば、大変な惨事になっていただろう。また、近くにサービスエリアがあったからよかったが、そうでなくて路肩に停車していたら、80人近い人間が路上に避難したところに後続車が突っ込むなどという事態になったかも知れない。そう思うと、今回、ケガもなく全員が避難できたのは、本当に幸運だったと思う。

こちら↓が、JRバス関東が「青春メガドリーム号」導入を発表したときの告知。これによれば、ネオプラン社製の同型バスは2002年につくば行きの長距離バスとして運行が始まったようだ。
青春メガドリーム号
青春メガドリーム号別紙1

※JRバス関東が、火災事故を起こした2階建てバスの紹介ページを削除してしまったので、同型バスの構造については、西日本JRバスのページをご覧ください。(3/19追記)

2階建てバスの構造(西日本JRバス)
高速バス・夜行バスのJRバス「青春メガドリーム号」東京・大阪

ちなみに、昨年の事故の後、西日本JRバスはこんな報告書↓を公表していた。(PDFファイルが開きます)

青春メガドリーム号使用の超特大車の運行再開について : 西日本ジェイアールバス株式会社(2008年7月17日)

これによれば、エンジンルーム内に温度感知器を設置したとのことだが、今回の事故では、火災に気づいたのは運転手がバックミラーで煙りが出ているのに気づいたからで、どうやらJRバス関東が所有する車両には、エンジンルーム内の温度感知器は設置されてなかったのだろう。事故は西日本JRバスが所有する車両で起こったので、JRバス関東はうちには関係ないと、何の措置もとらなかったのだろうか。それでは無責任だと思うのだが。

そう思って、JRバス関東のホームページをのぞいてみたが、昨年5月29日の事故を受けて同型車両の点検をおこなったとか、安全対策をしたという記事は見つからない。事故に関係するのは、5月30日付の「青春メガドリーム号使用車両の変更について 5/29?」と7月18日付の「青春メガドリーム号の運行について」という記事の2つしかなく、しかもその中身は、5月29日の事故にともなう運行車両の変更と、それを元に戻したことの告知だけで、事故の内容にはまったく触れていない。

【追記】

この↓共同配信記事によれば、ネオプラン社製バスの火災事故は過去6年間で3件起きていたそうだ。そのうちの1件は西日本JRバスの炎上事故だが、その他にも2件事故が起きていたと言うことだ。

バス火災、6年で130件 ネオプラン製も3件(山陽新聞)

バス火災、6年で130件 ネオプラン製も3件

[山陽新聞 3月16日22時14分]

 バス事業者が運行する高速、観光バスの車両火災が昨年10月までの約6年間で130件発生し、このうち、全焼したジェイアールバス関東の夜行バスと同じネオプラン製で3件起きていたことが16日、国土交通省のまとめで分かった。
 出火原因は半数近くが点検整備の不十分やミスだった。ネオプラン製の3件は2004年5月に横浜市金沢区、05年11月に山梨県上野原市で発生したほか、昨年5月に大津市で発生した西日本ジェイアールバスの事故。いずれもけが人はなく、出火原因は不明。
 ジェイアールバス関東の全焼事故を受け、国交省は16日、輸入代理店の日本ネオプラン(大阪)に事故調査を指示。業界団体を通じ、全国約5000のバス事業者に対し、点検整備を励行するよう通達を出した。

それにしても、観光バスの火災事故が6年間で130件も起きていたというのは、ちょいとオドロキ。1年20件、およそ3週間に1度は、どこかで観光バスが火を噴いている計算になる。

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作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

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