首都圏で感染確認さらに

東京、埼玉でさらに感染が確認されました。気になるのは、それに対する行政の対応で、東京でも埼玉でも、「感染が広がる恐れは少ないから、特別な措置はとらない」と、判で押したように同じ説明をしていることです。

しかし、少なくとも埼玉の男性は、発症までの2日間、出勤しパチンコにも行っています。決して「感染が広がる恐れは少ない」とはいえないはずです。インフルエンザは発症1日前から感染の危険があると言われており、「症状が出てからの行動は限られている」というのは「恐れが少ない」理由にはなりません。

もちろん、効果のほどが疑わしい学校の全面休校などをせよというつもりは毛頭ありません。しかし、首都圏でも本格的に感染が広がる危険性が高まっているのに、「大したことがないから安心していればいい」というような対応は、やはり正しくないと思います。

埼玉 2人目の感染確認 : NHKニュース
東京 3人目の感染者 : NHKニュース
新型インフル:埼玉で2人目の感染者 関西旅行同行の男性 : 毎日新聞
新型インフル:東京で3人目感染 三鷹市の25歳男性 : 毎日新聞

埼玉 2人目の感染確認

[NHKニュース 5月23日 7時52分]

 新型インフルエンザに感染した埼玉県の男性といっしょに関西に旅行をしていた男性も、新型インフルエンザに感染していることが確認されました。埼玉県内の新型インフルエンザの感染者は2人となりましたが、県は「感染の症状が出たあとは行動が限られている」として、特別な対応は取らない方針です。
 新たに感染が確認されたのは、埼玉県久喜市に住む29歳の会社員の男性です。埼玉県によりますと、この男性は、すでに感染が確認されている埼玉県鷲宮町の29歳の男性といっしょに、今月17日から19日にかけて大阪や京都を旅行していて、22日、発熱の症状を訴えました。男性は38度の熱があり、埼玉県衛生研究所でウイルスの遺伝子検査をした結果、23日未明、新型インフルエンザに感染していることが確認されました。23日は熊谷市の「県立循環器・呼吸器病センター」に入院していて、容体は安定しているということです。
 男性は、発熱の症状が出る前の2日間、JR東北線の久喜駅から赤羽駅までマスクをせずに通勤し、赤羽駅の近くにあるパチンコ店に行っていたということです。埼玉県は「発熱など感染の症状が出る前のことであり、症状が出たあとは行動範囲が限られている。感染が広がるおそれがあるとは認められない」として、特別な対応は取らないことにしています。埼玉県内の新型インフルエンザの感染者は2人となり、首都圏で、空港の検疫以外で感染が確認されたのは6人となりました。

東京 3人目の感染者
[NHKニュース 5月22日 23時44分]

 大阪を旅行した東京・三鷹市の男性が、新型インフルエンザに感染していることが確認されました。東京都内の感染者はこれで3人となりました。
 新たに感染が確認されたのは、東京・三鷹市に住み、映画制作の仕事をしている25歳の男性です。東京都によりますと、この男性は、今月14日から20日まで大阪を旅行しましたが、途中、38度5分の熱が出て、19日に大阪の医療機関でへんとう腺炎と診断されました。20日に新幹線で東京に戻ってから自宅で静養していましたが、22日になっても熱が下がらず、近くの医療機関で簡易検査を受けたところ、A型のインフルエンザと判定されました。このため、都の研究所でウイルスの遺伝子検査を行った結果、新型インフルエンザに感染していることが確認されました。現在、武蔵野市内の指定医療機関で治療を受けていて、せきや関節の痛みはあるものの、熱は36度台まで下がり、症状は重くないということです。また、男性の家族については、今のところ、健康状態に異常はないということです。
 東京都によりますと、男性は、大阪からはマスクを着けずに帰ってきたということですが、移動中はせきも少なく、不特定多数の人と密接に接触したわけではないことから、新たに特別な対応は取らない方針です。東京都内で感染が確認されたのは、これで3人となりました。

新型インフル:埼玉で2人目の感染者 関西旅行同行の男性

[毎日新聞 2009年5月23日 2時30分(最終更新 5月23日 3時17分)]

 埼玉県は23日未明、新型インフルエンザに感染していた埼玉県鷲宮町の飲食店従業員の男性(29)と一緒に関西を旅行した久喜市の運送会社員の男性(29)についても感染が確認されたと発表した。埼玉県では2人目の感染者。22日午前7時ごろから発熱し、県が遺伝子検査をしていた。県は国を通じ、2人が搭乗した航空機で近くの座席にいた乗客のリストアップを進めている。
 県によると、久喜市の男性は22日午前、発熱外来で簡易検査を受け、結果は陰性だったが、38度の熱があったため遺伝子検査をしていた。現在熱は下がり、容体は安定している。
 2人は17?19日、大阪と京都を旅行し、2泊とも同じ部屋に宿泊した。17日は大阪市の京セラドーム大阪でプロ野球を観戦し、18日は京都を観光。19日午後、伊丹発羽田行き全日空40便で戻った。同便では、間に空席を挟み、「45A」と「45C」に座っていた。
 久喜市の男性は20、21日に東京都北区の会社に電車通勤した。21日に車で約6?7時間同乗した60代の同僚に異常は出ていないが、東京都を通じて健康観察する
 2人は共に両親と3人暮らし。それぞれの両親は22日に簡易検査を受け、陰性だった。
 県は、関西滞在中に感染していたと考えられることや、自宅周辺での行動時間や範囲が限定的などとして、学校などの休校措置は行わない。【山崎征克】

新型インフル:東京で3人目感染 三鷹市の25歳男性

[毎日新聞 2009年5月22日 21時44分(最終更新 5月22日 23時39分)]

 東京都は22日、三鷹市在住の男性(25)が新型インフルエンザに感染していたと発表した。都内で感染が確認されたのは3人目。成田空港での検疫で見つかった5人を含め、日本の感染者は317人となった。男性は14?20日、大阪に滞在していた。都は都内で感染したケースではないとみて、学校などの休校や集会自粛要請はしない
 都によると、男性は映画製作関係の仕事に従事。大阪へは観光目的で出かけ、1人でお笑いライブや水族館にいった。大阪滞在中の18日夜から発熱などがあり、19日午前に大阪市内の医療機関を受診し、抗生物質を処方された。20日午後7時半ごろに新大阪発の新幹線に乗り、午後10時半ごろに東京駅に到着。JR中央線で帰宅した。
 21日は39度の熱があったため、自宅で過ごした。22日午前、三鷹市内の診療所を受診した際、簡易検査でA型インフルエンザと判定されたため、診療所が発熱相談センターに連絡。武蔵野市内の発熱外来を受診し、都健康安全研究センターの遺伝子検査で新型感染が判明した。
 男性は武蔵野市内の感染症指定医療機関に入院中で、熱は36.6度に下がった。家族の健康状態に問題はないという。【江畑佳明】

そんななか、昭和大病院が大阪、神戸を旅行した人については、7日間程度様子を見るあいだは面会を控えてほしいとの張り紙を出しました。

都感染症対策課は「聞いたことがない」と対応を疑問視していますが、埼玉の事例のように、関西を旅行中に感染する危険がある以上、病院が必要な制限を加えるのは当然でしょう。

新型インフル:昭和大病院、関西旅行者の患者面会を禁止(毎日新聞)

新型インフル:昭和大病院、関西旅行者の患者面会を禁止

[毎日新聞 2009年5月23日 2時30分(最終更新 5月23日 2時30分)]

 昭和大学病院(東京都品川区、飯島正文院長)が18日から、兵庫県と大阪府に一定期間滞在した人の患者面会を禁止していることが22日、分かった。
 同病院は18日、新型インフルエンザの発生地域に兵庫県と大阪府が追加されたため、院内での2次感染を防ぐためと、両府県からの来院者の面会禁止を決定。玄関など6カ所に「兵庫県(神戸市、芦屋市)、大阪府(豊中市、吹田市、茨木市)に7日以内に行かれた方のご面会は、ご遠慮下さい」と掲示した。
 同病院管理課は「国内の感染経路が特定されていない現状では、兵庫と大阪からの来院者がウイルスを持ってくる可能性がある。院内の患者を守るためには面会を控えてもらうしかない」と説明する。
 毎日新聞の22日の取材の後、掲示を特定の地名を外し「新型インフルエンザがまん延している国または地域に滞在された方は、入院患者への感染を予防するため、面会をご遠慮下さい」などの文言に差し替えたが、面会禁止の方針は変えないという。
 都感染症対策課は「面会禁止は聞いたことがない」と対応を疑問視している。
 一方、厚労省新型インフルエンザ専門家会議委員の林茂樹・国立病院機構災害医療センター院長は「関西へは観光旅行に行って感染した人も出ている。病院側がなるべく感染を阻止したいと考えるのは過剰反応とは言えないのではないか」と話した。【福永方人、真野森作】

ところで、WHOが新型インフルエンザの治療の手引きを発表しました。そのなかでは、「慢性の病気の人や妊娠中の女性など、重症になるおそれがある人には、早めにタミフルなどの抗ウイルス薬を与えることが有効である」と指摘されています。

現在、日本では、慢性の病気を持つ人や妊娠中の女性など、重症化する恐れのある人だけでなく、それ以外の発症者にも広くタミフルが処方されています。しかし、タミフルをむやみと使えば、耐性をもつウイルスを生み出す危険も大きくなります。こうした点でも、WHOの指針にそって、日本の治療指針を改めていく必要があるのではないでしょうか。

NHKニュース WHO 感染患者治療の手引き

WHO 感染患者治療の手引き

[NHKニュース 5月23日 7時7分]

 WHO=世界保健機関は、これまでに明らかになった新型インフルエンザの患者のデータを基に初めて治療の手引きをまとめ、慢性の病気がある人や妊娠中の女性など、重症になるおそれのある人には、早めにタミフルなどの抗ウイルス薬を与えることが有効であるなどとしています。
 WHOは、今月20日までにメキシコで確認された新型インフルエンザの患者、3700人余りのデータを分析しました。それによりますと、死亡したのは全体の2%に当たる74人で、そのうちの半数近くは、ぜんそくや糖尿病など慢性の病気がある人や妊娠中の女性でした。また、メキシコでは、重症になった人の多くは肺炎から呼吸不全を起こしていて、アメリカに比べ、発症してから治療を受け始めるまでに長い時間がかかる傾向があったということです。WHOは、アメリカをはじめ世界各国のデータが数多く集まり、患者の症状の傾向が明らかになってきたとして、新型インフルエンザの治療の手引きを初めてまとめました。
 この中では、慢性の病気の人や妊娠中の女性など、重症になるおそれがある人には、早めにタミフルなどの抗ウイルス薬を与えることが有効であるとしています。その一方で、子どもが感染した場合、脳症になるおそれがあるとして、解熱剤の使用はできるだけ避けるよう求めています。WHOでは、今後も新たな情報が明らかになれば、手引きを随時見直していくことにしています。

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

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