これは見るべし! NHK-ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」

先日の日曜日夜に放送されたNHKのETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」。東京電力福島第一原発の事故直後から、自主的に現地に入って放射能汚染の実態を調査してきた木村真三さん(放射線医学研究所の元研究官)ら研究者たちを追ったドキュメンタリーです。

【ETV特集】「ネットワークでつくる放射能汚染地図―福島原発事故から2か月―」

ショックだったのは、20km圏外の浪江町赤宇木や飯舘村で高い放射線がでていることは、文科省のモニタリング調査でも分かっていたにもかかわらず、その事実が地元にはまったく伝えられていなかったこと。その間、赤宇木地区の集会所には、20km圏内から避難してきた人たちが避難生活をしていたのです。その人たちは、木村さんが放射線の実態を詳しく話して、ようやく3月30日に他所へ移ってゆきましたが、汚染の事実をつかみながら、「風評被害を招くから」という理由で、それを現地につたえない態度は犯罪的でもあります。

餌が届かなくなり、3万羽の鶏が餓死した養鶏農家の悔しさ、米作りをあきらめざるをえなかった農家の「もみにはなんの罪はない」という言葉、葉タバコの苗を「雑草だと思うしかない」と言って捨てる農家の言葉は、事故の被害の深刻さを実感させてくれます。

飯舘村では、京都大学と広島大学のチームが村内の汚染状況を調査。結果はかなり深刻で、研究者の「現実とは思えない」「いまここで起きている汚染を測定して記録する。そして歴史に残す。それが僕の仕事」という言葉がずっしり響きます。そこで無農薬・安全を売り物に米作りをしていた農家の悲嘆はあまりに大きいものがあります。

政府の発表をオウム返しにして、テレビでも「ただちに健康に影響はありません」と繰り返していたNHKですが、こうしたしっかりした番組づくりもやっていたのだと感心しました。

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