規制機関が推進の「やらせ質問」要請とは…

今日、衝撃的なニュースが流れました。原子力安全・保安院が、2007年8月にひらかれた浜岡原発のシンポジウムで、中部電力にたいして参加者が反対派だけにならないように質問を作成し、地元参加者に質問させるよう依頼していたというのです。

原子力安全・保安院は、建て前上は、原発の規制機関のはず。それが、推進のための「やらせ質問」を組織しようとしていたとは……。共産党は、以前から、規制機関とされる保安院が推進機関である経済産業省のもとにあるのはおかしいと指摘してきましたが、それが単に形式上の問題ではなく、実態としても保安院が推進機関になっていたということです。

もはや、原発の規制を保安院に任せることはできません。まず保安院を根本的に改組して、政府から独立した、権限と能力のある規制機関をつくるところから、日本の原発行政の切り替えを始めなくてはなりません。

保安院:中部電に「やらせ質問」要請 プルサーマルシンポ:毎日新聞
保安院 中電に質問依頼を要請:NHKニュース
四国電も「保安院から動員要請」 06年のシンポ:日本経済新聞

おもしろいのは、今回の問題は、中部電力が記者会見してみずから発表したということ。だから、中部電力の発表をうけておこなわれた保安院の記者会見は、まったく虚を突かれたような感じでした。おそらく、どこかのメディアが情報をつかんで中部電力に取材をかけたりしたのではないでしょうか。それで、中部電力の側が先に社内調査をして、とっとと公表したという感じですね。中部電力は、一応「断った」としていますが、実際には社員や関連会社に参加の呼びかけをやっています。

保安院:中部電に「やらせ質問」要請 プルサーマルシンポ

[2011年7月29日 11時57分 更新:7月29日 13時31分]

 中部電力は29日、07年8月に静岡県御前崎市で開かれた浜岡原発のプルサーマル計画をめぐる国主催シンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院から同社に対し、シンポジウム参加者を集めたうえで、参加者がプルサーマル反対派だけにならないよう質問を作成し、地元参加者に質問してもらうよう口頭依頼があったと発表した。中部電は社員らに出席要請はしたが、「やらせ質問」は拒否した。九州電力の「やらせメール」問題を受けた調査で判明した。電力会社側だけでなく、保安院も「意見操作」に加担していたことが明らかになった。
 同社によると、保安院からの依頼を受け、中部電本店原子力部グループ長が、地元参加者の質問想定文を作成した。しかし、同社の関係部署で検討した結果、「特定意見を表明するよう依頼することはコンプライアンス(法令順守)上問題がある」として、保安院の依頼には応じられないと決定した。
 やらせ質問の想定文は保存され、自然エネルギーとプルサーマルのコストを聞いたり、化石燃料があと何年もつのかという内容だった。文案が使用されなかったことは確認したという。
 一方、中部電側はシンポジウム参加者を集めるようにとの保安院からの依頼や、会場に空席が目立つのは適切ではないという判断から、社員や関連会社などに参加を呼び掛けた。参加の強制はしていないとしている。
 中部電は「直ちにコンプライアンスに反しないが、議論を誘導する意思があったとの誤解があったことを深く反省している」としている。
 シンポジウムには524人が出席し、周辺住民ら12人が質問したが、計画推進や耐震性を懸念する内容が中心だった。中部電は、同社の要請による出席者数は不明としたうえで「発言者に関係者はいなかったことを確認した」としている。
 参加者アンケートには357人が回答し、うち、プルサーマルの必要性を「理解できた」「だいたい理解できた」との回答は59%に達した。中部電は「アンケートをよく見せる意図はなかったが誤解を招いた」と述べた。【丸山進】

◇保安院自身の総点検を

 経済産業省が主催したプルサーマルについてのシンポジウムで、原子力安全・保安院が質問が反対派に偏らないよう中部電力に「やらせ質問」の作成を依頼していたことが事実とすれば、原発の安全性を規制するはずの官庁が、推進に「加担」していたと言われても仕方ない極めて深刻な事態だ。規制官庁としては自殺行為に等しく、早急に事実関係を明らかにし、責任を明確化することが求められる。
 推進側の資源エネルギー庁と規制側の保安院が経産省内に同居していることについては以前から批判が出ていた。中部電のシンポジウムでは07年の中越沖地震を受け、プルサーマルの安全性や耐震性について懸念する質問が上がっていたという。住民の安全性の懸念にきちんと答えるための説明会になっていたのか改めて詳細な調査が必要だ。
 東日本大震災後、保安院内部からも「原発の稼働率を上げるための安全規制になっていたのではないか」と反省する声が出ている。九電の「やらせメール事件」で、同省は電力会社の体質の見直しを指示した。細野豪志原発事故担当相は保安院の分離独立など組織再編の試案を8月上旬にも示すことにしているが、その前に保安院自身の総点検が求められる。

保安院 中電に質問依頼を要請

[NHKニュース 7月29日 12時39分]

 静岡県御前崎市で4年前に開かれた、原子力に関する国主催のシンポジウムの際に、経済産業省の原子力安全・保安院が、質問が反対派に偏らないよう、あらかじめ質問を作成し、地元の人に質問してもらうよう、中部電力に要請していたことが明らかになりました。
 中部電力が29日、国に報告した調査結果によりますと、4年前の平成19年8月、静岡県御前崎市で開かれた国主催の原子力に関するシンポジウムに際し、原子力安全・保安院から、会場に空席が目立たないようシンポジウムの参加者を集めることや、質問が反対派に偏らないよう、あらかじめ質問を作成し、地元の人に質問してもらうことなどの依頼があったということです。この依頼に対し、中部電力はコンプライアンス上問題があるため依頼に応じられないとして、保安院にその旨報告したものの、浜岡原発の幹部が社員にメールを送ったり、関連会社を直接訪問したりして参加を働きかけていたということです。中部電力の寺田修一法務部長は、保安院から依頼を受けたことについてコメントする立場にないとしたうえで、「シンポジウムに空席が目立つと印象が悪いという考えから、参加の呼びかけを行った。法令順守上、直ちに問題があったとは思わないが、議論を誘導する意思があったと誤解を招くおそれがあり、深く反省している。改めておわびする」と陳謝しました。
 これについて、原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は、29日午前中の記者会見で、「あってはならないことだと思うが、保安院として、まだ報告書の内容を把握できておらず、自分も何も聞いていないため、今の段階では答えることができない。いずれにしても、よく内容を確認したうえで対応させてほしい」と話しています。また、このシンポジウムには、森山対策監自身が当時、パネリストとして参加していましたが、森山対策監は「説明者の1人として参加していたが、指摘されているようなことがあったことは全く記憶してない」と話しています。
 玄海原発の運転再開に向けて、先月、佐賀市で国主催の説明会が開かれた際、九州電力の社員が原発の運転再開に賛成する意見を説明会に送るよう、社内や子会社にメールで指示していて、経済産業省が中部電力など全国の電力会社6社に対し、不正な働きかけがなかったか調査するよう指示していました。

四国電力の場合は、もっと深刻。保安院が出席者を集めるよう要請したうえ、四国電力が社員や関連会社に参加を呼びかけ、当日15人発言した中の10人が関係者だったというのだから、シンポジウム全体が「やらせ」だったということになります。

四国電も「保安院から動員要請」 06年のシンポ

[日本経済新聞 2011/7/29 14:12]

 四国電力は29日、2006年に愛媛県で開いた伊方原子力発電所(愛媛県伊方町)のプルサーマル計画に関するシンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院から、出席者を集めるよう要請があったことを明らかにした。同日開いた記者会見で発表した。
 四国電は会見で、同社が当時、社員や関連会社にこのシンポジウムへの参加を呼びかけ、質問や意見についても依頼をしていたと公表。当日のシンポジウムでは15人が発言したが、そのうち10人が四国電もしくは関連会社の関係者だったとしている。
 ただし四国電はプルサーマル発電を誘導するような発言はさせていないと説明。「第三者を装って特定の意見を表明するよう要請した事実はない。シンポジウムも理解を深めるためのもので賛否を問う形の内容ではない」(広報担当者)としている。
 その一方で「社会の誤解を招きかねない行為で大変申し訳ないと思っている。プルサーマル発電の実施に影響を与えたとは思っていないが、社会の目線から見てご批判、誤解を受けることがないよう適切に対処していきたい」(同)とした。

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

1件のコメント

  1. 結局相撲の問題がスッキリしない形で幕引きを図ったのも、監督してる人たちがこういう人間だからこうなっちゃったんだとつくづく思いました。

    大臣さんは泣いてる場合じゃないし、追求してる馬鹿共もお門違いも甚だしい。今野党面してる連中がこれまでやってたことなんだから。

    こりゃ、2年後の衆院選でも今の野党になんか政権を渡すべきじゃないとつくづく思いました。渡したとしたら国民全部を一生軽蔑する。

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