TPP、世論はまだまだ模索中

「毎日新聞」の世論調査。野田内閣の支持率が下がったというのは当然として、TPPにかんしては70%が「関心がある」と答えながら、参加すべきかどうかについては39%が「分からない」と回答。相対立する結論だけが報道され、世論は困惑しているということだろうか。

毎日新聞世論調査:TPP参加「わからない」最多4割 「関心ある」は7割:毎日新聞
毎日新聞世論調査:衆院選「抜本改革を」52% 民・自案支持は16%:毎日新聞

復興増税については、賛成52%反対45%で、賛成が反対を上回った。しかし、その内容はほとんど男性の賛成が増えたためで、女性では賛否は48%ずつと真っ二つに割れている。

橋下前大阪府知事の「大阪都」構想については、設問が「二重行政をなくす」となっているから、賛成の答えが増えるのは当たり前。「大阪市、堺市の権限を取り上げる『大阪都』構想」と質問すれば違った結果が出ただろう。

毎日新聞世論調査:TPP参加「わからない」最多4割 「関心ある」は7割

[毎日新聞 2011年11月7日 東京朝刊]

◇内閣支持率、8ポイント減の42%

 毎日新聞は5、6両日、全国世論調査を実施した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉について「参加すべきだ」が34%で、「参加すべきではない」(25%)を上回った。ただ、「わからない」も39%に上った。外国への原発輸出については「反対」が65%に達し、「賛成」は31%にとどまった。政府は10月末、ベトナムへの原発輸出で合意したが、福島第1原発事故後の輸出再開には慎重論も根強い。
 TPP交渉を巡り、野田佳彦首相は12日から米ハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)での参加表明に意欲を示している。TPP交渉参加問題について「関心がある」との回答が70%を占め、「関心がない」(28%)を大きく上回った。関心が高い一方で、参加の是非は「わからない」との回答が多く、政府が十分情報を提供できていない現状がうかがえる。
 支持政党別でみると、民主支持層は「TPPに参加すべきだ」が47%に上り、「参加すべきではない」の17%を大きく上回った。一方、自民支持層は「参加すべきだ」(32%)と「すべきではない」(37%)が拮抗(きっこう)した。
 東日本大震災の復旧・復興財源として所得税や法人税を増税することには「賛成」が52%に上り、「反対」の45%を上回った。復興増税の期間については「なるべく長くして単年度の負担を減らす」が54%を占め、「なるべく短くして現在の世代で負担する」(40%)を上回った。
 内閣支持率は42%と、10月の前回調査を8ポイント下回った。支持率が50%を割ったのは、9月の野田政権発足後初めて。逆に不支持率は前回から9ポイント増え、31%になった。支持政党別にみると、民主支持層の内閣支持率も前回85%から、今回77%に下落している。
 政党支持率は民主21%、自民19%だった。民主党は前回調査から5ポイント増加した。【小山由宇】

    ◇

 福島第1原発事故で警戒区域などに指定されている福島県の一部地域は、調査対象に含まれておりません。

毎日新聞世論調査:衆院選「抜本改革を」52% 民・自案支持は16%

[毎日新聞 2011年11月7日 東京朝刊]

 毎日新聞が5、6日に実施した全国世論調査で、衆院小選挙区の「1票の格差」を是正する選挙制度改革のあり方について尋ねたところ、「選挙制度を抜本的に変える」との回答が52%に上った。衆院選挙制度改革に関する与野党協議会で、民主、自民両党は2大政党に有利な現行の小選挙区比例代表並立制を維持するよう主張。しかし、「今の制度のまま、小選挙区の区割りを見直す」との回答は16%にとどまった。
 衆院選挙制度で抜本改革が必要と回答した人を支持政党別にみると、民主支持層で50%、自民支持層でも48%を占めた。与野党協議会で抜本改革を主張する公明支持層では53%が抜本改革を求めている。ただ、「分からない」との回答も31%に上り、多くの有権者を巻き込んだ議論になっていない。
 次期衆院選の時期を尋ねた設問では、「再来年の任期満了まで行う必要はない」とした人が33%と最多。「来年中に」とした人の18%とあわせると、過半数が早期の衆院解散・総選挙を望んでいない結果になった。一方で、「来年度予算案が成立したらすぐ」は31%、「今年末までに」は12%だった。
 国会での憲法論議についても関心があるかを尋ねた。衆参両院は憲法改正案の審査などを行う憲法審査会の委員を選任。今後の国会の憲法論議に「関心がある」は61%、「関心がない」は36%だった。

◇大阪都構想「評価する」67%

 橋下徹前大阪府知事が掲げる「大阪都構想」については「評価する」が67%となり、「評価しない」の27%を大きく上回った。大阪都構想は二重行政の解消に向け、大阪府と大阪、堺の2政令市などを再編するのが柱。27日投開票の大阪府知事・大阪市長のダブル選挙でも争点の一つとなっている。
 支持政党別では、民主支持層の69%、自民支持層の72%が大阪都構想を「評価する」と回答した。民主、自民両党は選挙戦で橋下氏と対立する構図だが、既成政党の支持層にも都構想の評価が広がっていることがうかがえる。
 一方、市郡別にみると、政令市・東京23区で構想を評価する人は69%に上った。それ以外の市部は67%、町村部は62%だった。【須藤孝】

◇全国世論調査の質問と回答◇
◆野田内閣を支持しますか。
全体 前回 男性 女性
支持する 42 (50) 42 41
支持しない 31 (22) 33 28
関心がない 27 (27) 24 31
◇〈「支持する」と答えた方に〉支持する理由は何ですか。
民主党の首相だから 12 (9) 12 12
指導力に期待できる 14 (20) 13 15
政策に期待できる 17 (14) 23 12
政治のあり方が変わりそうだから 54 (54) 50 58
◇〈「支持しない」と答えた方に〉支持しない理由は何ですか。
民主党の首相だから 14 (18) 12 16
指導力に期待できない 15 (11) 14 17
政策に期待できない 31 (28) 33 29
政治のあり方が変わりそうにない 40 (41) 42 37
◆どの政党を支持していますか。
民主党 21 (16) 22 20
自民党 19 (18) 20 19
公明党 3 (5) 2 4
みんなの党 6 (7) 7 5
共産党 2 (2) 2 2
社民党 0 (1) 1 0
国民新党 0 (0) 0
たちあがれ日本 0 (0) 1 0
新党改革 (-)
新党日本 (0)
その他の政党 1 (0) 1 0
支持政党はない 46 (49) 44 48
◆野田内閣は太平洋沿岸国で、参加国の関税を撤廃する「環太平洋パートナーシップ協定」(TPP)の交渉に参加するかどうかの検討を進めています。TPP参加問題に関心がありますか、ありませんか。
関心がある 70 80 62
関心がない 28 19 37
◆TPPに日本が参加すべきだと思いますか、思いませんか。
参加すべきだ 34 46 24
参加すべきではない 25 27 22
分からない 39 25 53
◆東日本大震災の復旧・復興の財源として所得税や法人税などを増税することに賛成ですか、反対ですか。
賛成 52 (39) 56 48
反対 45 (58) 42 48
◆復旧・復興のため増税をする場合、増税の期間をなるべく長くして単年度の負担を減らすのと、なるべく短くして現在の世代で負担するのと、どちらがよいと思いますか。
なるべく長くして単年度の負担を減らす 54 52 56
なるべく短くして現在の世代で負担する 40 43 37
◆野田内閣はベトナムに原発を輸出することで、ベトナム政府と正式に合意しました。日本が外国に原発を輸出することに賛成ですか。
賛成 31 44 19
反対 65 53 76
◆衆院の小選挙区の「1票の格差」を是正するため、与野党の協議が始まっています。あなたはどうすべきだと思いますか。
今の制度のまま、小選挙区の区割りを見直す 16 21 11
選挙制度を抜本的に変える 52 57 48
分からない 31 20 40
◆衆参両院で憲法審査会の委員が選ばれ、国会で憲法改正を審議する舞台が初めて整いました。国会での憲法論議に関心がありますか。
関心がある 61 68 55
関心がない 36 30 42
◆今月末の大阪市長選に出馬する、橋下徹・前大阪府知事は、大阪府と大阪、堺両市を再編し、二重行政をなくす「大阪都」構想を掲げています。この構想を評価しますか。
評価する 67 70 65
評価しない 27 27 27
◆次の衆院選はいつ行うべきだと思いますか。
今年末までに 12 13 12
来年度予算案が成立したらすぐ 31 34 28
来年中に 18 20 17
再来年の任期満了まで行う必要はない 33 30 35

(注)数字は%、小数点以下を四捨五入。0は0.5%未満、-は回答なし。無回答は省略。カッコ内の数字は前回10月1、2日の調査結果。調査の方法5、6日の2日間、コンピューターで無作為に数字を粗み合わせて作った電話番号を使うRDS法で調査した。この際、福島第1原発事故で警戒区域などに指定されている市町村の電話番号は除いた。有権者のいる1546世帯から、981人の回答を得た。回答率は63%。

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