日経連載「悪化する世界の若年雇用」

「日本経済新聞」で、先週1月19日から「悪化する世界の若年雇用」という連載が始まっています。

1回目には「2008年のリーマン・ショック後、多くの先進国で若年層の失業問題が深刻化している」ことや「非正規の増加が共通の背景」であることが前置き的に指摘されていたが、2回目以降、フランス、イギリス、アメリカと各国事情を紹介してきて、ようやく今日5回目のドイツで、ようやく初めて政府のまっとうな雇用対策が功を奏した例が紹介された。

悪化する世界の若年雇用(5) 独の職業訓練、ミスマッチ防ぐ:日本経済新聞

EU全体では、若い世代の失業率が21%と非常に高くなっているが、ドイツでは8.9%と低いだけでなく、10%を超えた2009年から減少している。

その背景として、日経新聞が紹介しているのが、働きながら学ぶ職業訓練制度。職業訓練と言っても、日本のような付け焼き刃的なものではなく、2年から3年半、マイスターなど指導資格のある人がみっちり技術を教える本格的なもの。しかも、訓練費用は企業が負担。経営者団体や商工会議所がしっかり支えているという。

「即戦力」ばかり追い求めて、非正規雇用と失業を拡大して平気などこぞの財界団体とは大違いだ。

【ゼミナール】悪化する世界の若年雇用(5)

[日本経済新聞 2012年1月25日付朝刊]

独の職業訓練、ミスマッチ防ぐ

 15?24歳の若者の失業率は欧州連合(EU)27カ国平均で21%である(2011年4?6月期)。このなかで同8.9%とかなり低い水準にあるのがドイツだ。金融危機後、先進国の多くで若年失業率は高止まりしている。しかし、ドイツではいち早く危機前の水準に回復した。

ドイツの若年失業率(「日本経済新聞」2012年1月25日付)

 その理由の一つに、働きながら学ぶ仕組み「デュアルシステム」の存在が挙げられる。義務教育を修了した若者が職業学校に通いながら、主に企業で実践的な職業訓練を受ける制度だ。公認された訓練職種は約350で訓練期間は2年から3年半。マイスターなどの指導員資格者が職種ごとの規定に沿って教える。
 若者や企業に参加義務は課せられていない。しかし、若者の過半数が訓練に参加し、訓練費用は企業が自発的に負担している。若者にとっては失業リスクを減らすことができ、企業にとっては必要な技能労働者を確保できるという利点がある。職業訓練と労働市場が連動しているのが特徴だ。失業率が高止まりしている先進国に多くみられる雇用のミスマッチ解消に役立っている。労使ともこの制度の維持に協力しており、とくに経営者団体や会議所が積極的に関与してシステムを支えている。
 中世の徒弟制度にルーツを持つ伝統的な職業訓練制度だが、技術の変化や産業界の要請に応えて訓練内容や職種を適宜見直している。01年から10年間で163の訓練内容が改定され、45の職種が新設された。時代の変化に対応しながら、若年雇用の促進に寄与しているといえそうだ。(労働政策研究・研修機構)

ドイツの職業訓練システムについては、こちらなども参照ください。

作成者: GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

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