GDP、年率5.3%増

今朝発表された、今年1-3月期のGDP(国内総生産)速報値で、実質成長率が年率換算で5.3%、2期連続のプラス成長に。

とはいえ、各紙論評では、「消費の本格回復はまだ見通せない」(日経)など、依然として渋い論評が並んでいます。なぜそうなるのか、そこにいまの日本経済の問題を見ることができると思います。

実質 名目
GDP 1.3 0.6
個人消費 1.2 0.7
住宅投資 ▲1.4 ▲1.4
設備投資 2.0 1.1
政府消費 0.8 ▲0.3
公共投資 ▲1.7 ▲2.3
輸出 ▲0.2 ▲2.3
輸入 0.5 ▲0.8

1-3月期の実質GDP、年率5.3%増(日経新聞)

1-3月期の実質GDP、年率5.3%増

 内閣府が17日朝発表した1-3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.3%増、年率換算で5.3%増だった。2四半期連続のプラス成長。成長率は前期(2004年10-12月期)の前期比0.0%増、年率0.1%増を上回り、2004年1-3月期以来の大きさとなった。輸出が落ち込んだものの、個人消費が堅調だったほか、民間設備投資も伸びた。
 名目GDP成長率は前期比で0.6%増、年率換算で2.3%増となった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比1.2%下落で、下落幅は前期の0.4%の下落から拡大した。
 同時に発表した2004年度のGDP成長率は実質で前年度比1.9%増で、政府見通しの2.1%増を下回った。名目では0.7%増だった。
 1-3月期の実質GDP成長率をどれだけ押し上げたかを表す寄与度は、国内需要がプラス1.4%、輸出から輸入を差し引いた海外需要はマイナス0.1%だった。〔NQN〕 (08:54)

で、各紙夕刊の論評から。

再浮揚へ調整続く(日経新聞)
統計のマジックの一つ目は個人消費の反動増。昨年10-12月期は台風や地震など自然災害に加え、暖冬で冬物衣料などが不振だった。その落ち込み分が年明けになって消費を一時的に押し上げたことが1-3月期の統計に表れている。
 雇用情勢の改善もあって、景気回復の恩恵は徐々に家計にも広がっている。だが雇用者報酬(名目)の前年同期比が再びマイナスに転じるなど、消費の本格回復はまだ見通せない。
「踊り場」脱出はまだ(毎日新聞)
個人消費の伸びは、天候不順と自然災害が相次いだ前期の落ち込みからの反動増という要素が強く、「実力を伴ったものではない」(飯塚尚己・第一生命経済研究所主席エコノミスト)という見方がある。所得も「底堅くなっているが、なかなか伸びない」(内閣府幹部)のが現状だ。
消費 伸び持続疑問(朝日新聞)
企業の雇用過剰感が薄れ、毎月勤労統計によるとフルタイムで働く労働者も1月、7年4カ月ぶりに増勢に転じた。……堅調な企業経営が雇用や所得の改善につながる歯車がゆっくり回り始めたといえる。だが、消費の本格的な増加にたどりつくか否かは、エコノミストの間でも半田が割れる。4月の雇用保険料率引き上げに続き、個人所得課税の定率減税縮小など将来の負担増が見え始めたからだ。
「踊り場脱却」は早計(東京新聞)
1-3月期の実質GDPは、内需を中心にプラスの項目が並び、底堅さを確認するには十分な材料を示した。中でも個人消費が貢献したが、本来の力は「雇用者所得に見合った横ばい圏内が妥当な水準」(民間調査機関)と言えそうだ。

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