置塩信雄『蓄積論』(3)

第3章 資本制的蓄積と恐慌

1、不均衡の累積過程

b、総需要と蓄積需要

「不均衡過程が何故に一方向に累積的に進行してゆくのかが、本節の課題である」(189ページ)

過剰生産の2つのケース。(1)生産された商品が需要より大である場合、(2)生産された商品と需要は一致しているが、その生産水準が生産能力を下回っている場合。(189?190ページ)

現実の生産水準x1、x2は次の方程式によって表わされる。

x1=a1x1+a2x2+I1+I2………………(1)
x2=w/p2(τ1x1+τ2x2)+C……………(2)

※x1、x2は、生産財、消費財の生産量。a1x1+a2x2は生産財への補填需要、I1、I2は生産財、消費財の蓄積需要、w/p2は実質賃金率、Cは資本家の消費需要を表わす。

(1)(2)を見ると分かるように、生産財、消費財にたいする需要の家、この期の生産水準に依存しない部分がある。それは、資本家の蓄積需要I1、I2と個人消費Cである。
資本家は蓄積需要、個人消費を今期の生産物の実現を待って支出するのではなく、それらによって得られるであろう利潤を見越して支出する。したがって、それらは今期の生産水準と事前的な関係をもたない。(190?191ページ)

かくして、総需要、生産水準は

  1. 生産技術
  2. 実質賃金率
  3. 資本家の蓄積需要
  4. 資本家の個人消費の大きさ

で決まる。(191ページ)

したがって、

  1. 生産技術の変化。τ1とτ2が減少すれば、他の事情が変化しない限り、x1、x2は減少する。すなわち総需要、総生産水準は下落する。これは、労働者の雇用減少によるもの。
  2. 実質賃金率の変化。実質賃金率が上昇すれば、x1とx2は上昇する。これは労働者の消費上昇によるもの。
  3. 資本家の蓄積需要の増大。I1+I2の増大は、x1、x2を上昇させる。
  4. 資本家の消費需要の変化についても同じ。

この4つの要因のうち、最も主要な要因は、資本家の蓄積需要である。(192ページ)

ケインズの「乗数効果」について

蓄積需要の変化が総需要、総生産水準に「常数」的影響を及ぼす、とくに蓄積需要の減退が大幅な総需要、総生産水準の減少をもたらすというのは、資本制に固有のことである。(193ページ)
社会主義社会では、一定期間、生産拡大のために追加的生産財の高めの生産がおこなわれていたが、ある時点で追加的生産財のそれ以上の必要がないことが決定されれば、その時点以後において、拡大した生産財を消費財生産にふりむけ、したがって労働者の時間あたりの消費財の割当量の増大を決定する。こうして蓄積軌道の切り替えはおこなわれ、総需要、総生産水準の収縮は生じない。(194ページ)

  • 資本家の蓄積需要が、諸商品にたいする総需要の最も主要な決定要因であること。
  • 資本家の蓄積需要の変動は、総需要、総生産水準に大幅な変動をもたらすこと。
  • このような事態が生じるのは、資本制の生産関係にもとづくものであること。

この3点を明確に理解することは、資本制の蓄積過程における不均衡を生み出す要因を理解し、その累積性と逆転の必然性を理解するために、そしてそれらが資本制の根本的な生産関係に根ざしていることを理解するために絶対必要である。(194ページ)

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