「即戦力」を求めるのは企業側の怠慢だ

昨日の「日経」夕刊の広告特集のなかで、玄田有史さん(東大助教授)が面白いことを話していました。曰く…

――最近、人材の「即戦力」という言葉がよく言われるが、自分はこの言葉に違和感を持つ。大学で得られるような資格は、社会に出たらすぐ役に立たなくなるし、本当に仕事をする上では、もっと大切なことがある、云々。
――「やりたい仕事」は、実際に存在しているかもしれないが、「やりたい仕事」に執着すると自分の可能性を狭めてしまうのではないか。仕事が3万種あるとしたら、やりたい仕事を見つける確率は3万分の1だ。
――遠藤周作の言い方によれば、仕事には「苦しい仕事」「楽しい仕事」「苦楽しい仕事」の3つしかない。一番長続きするのは、この「苦楽しい仕事」(苦しいけれど楽しい仕事)だ。安定・安心という発想はやめた方がいい。
――大事なことは、「わからない」ことにたいするタフネスだ。そのために、私は大学生に2つのことを勧めている。1つは、ちゃんと恋愛しちゃんと失恋すること。もう1つは芸術でも音楽でも映画でも小説でも良いから、ともかく古典に触れること、云々。

最初の1つは、いまの就職難時代を生み出している企業側にたいするきつい注文。実際、新卒者にたいして「即戦力」を要求するなどというのは、そもそも論理矛盾。自分たちの新人教育能力の欠如を棚に上げ、さらに「使い物にならない」といって新卒者を安く買いたたこうという魂胆は、あまりにさもしいと言えます。実際、最近では英語がしゃべれるぐらいでは、そんなに有利にはなりませんね。何をしゃべるかというその中身を持っているかどうか――あるいは持てるようになるかどうか、が大切だと僕も思います。

あとの3つは、じゃあどうしたらそういう「中身」を持てるようになるか、という“考え方”の問題。「分からない」ことへのタフネスを養うには、古典を学べ。古典は、時代を超えて読みつがれてきただけの値打ちがあるのです。

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