「第九」いろいろ

友人から、「第九」のCDを2枚貸してもらいました。

1枚は、フルトヴェングラーが1942年4月19日にベルリン・フィルを振ったもの。もちろんモノラルで音が相当に悪いのは仕方ありません。実はこれは、ヒトラーの誕生日の前夜祭で演奏されたもので、フルトヴェングラーのナチ協力の「証拠」ともされたものだそうです。

CDジャケット

ライナーノーツ(Michael Tanner)によれば、フルトヴェングラーは、「それまでずっと何とか避けようと努めてきた」にもかかわらず、「ゲッペルスに騙されて」指揮することになった、とのこと。そして、その演奏は、ライナーノーツが「第2楽章のティンパニーは、ジュピターの雷鳴のように響き、第3楽章のファンファーレは黙示的である」と指摘するように、実際、「相当に強烈」なものです。フルトヴェングラーの「第九」は、曲の終わりになると相当に早くなるのですが(僕が持っているのは1951年のバイロイト音楽祭のもの。これも相当に速い)、とくにこの演奏の加速は異常。ライナーノーツ子が「ニヒリズムの悪夢か、奈落の底へ落ち込むよう」と形容するほどです。僕には、1分1秒でも早く、この場から立ち去りたい、というフルトヴェングラーの“うめき”のように聞こえました。文字通り「歴史的」な録音。う〜む、これは買わねばなるまい…。

なおこの録音を含め、フルトヴェングラーの演奏・録音については、shin-pさんのフルトヴェングラー資料室が詳しい。

【CD情報】フルトヴェングラー指揮/ベルリン・フィルハーモニー/ベルリン、1942年4月19日/RRG録音 Private Archive(Decelith disc)/Archipel ARPCD0270

もう1枚は、1991年に発売されたなかにし礼訳で、合唱を日本語で歌っているという「第九」のCD。日本語というのは、どう聞いても、音楽に乗りにくい言語だと思うのですが、それでも、この訳詞は、ところどころ日本語として生硬いところもありますが、とても良くできていると思いました。「曲を聴きながら意味が分かる」というのはこういうことかと、聞き慣れた第九が新鮮に聞こえてきました。

【CD情報】堤俊作指揮/東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団/なかにし礼訳日本語版+マルケヴィッチ改訂版/BMGファンハウス TWCL-1006

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