朝日新聞の検証記事

朝日新聞が、NHK特番への介入問題で、取材・報道の詳しい検証記事を載せています。

中川昭一氏とのやり取りを読むかぎり、中川氏が、放送前にNHKにたいし放送中止を含めた圧力をかけたことは明白。安倍晋三氏についても、10日の段階で「正確を期すために」として出したコメントを読むかぎり、NHKから放送内容の説明を聞いたうえで番組内容に具体的に踏み込んで「言うべき意見を言った」ことも動かしがたいように思います。

19日からのNHK内部での再編集作業がどうしておこなわれることになったのかは、依然として不明です。しかし、再編集作業が始まった直後から、右翼の抗議などが始まっているのは、偶然と言うのには余りにタイミングが良すぎると思います。

NHK番組改変問題、本社の取材・報道の詳細(朝日新聞)

中川昭一氏との一問一答 NHK番組改変問題(朝日新聞)

安倍晋三氏の主な発言 NHK番組改変問題(朝日新聞)

↓これは検証記事ではありませんが、関連記事として。

「NHK側から放送前に説明」自民・考える議員の会幹部(朝日新聞)

NHK番組改変問題、本社の取材・報道の詳細

 NHKの番組をめぐって、安倍晋三・自民党幹事長代理と中川昭一・経産相が01年1月の放送前に「偏った内容だ」などとNHK幹部に指摘し、その後、NHKが番組内容を変えて放送していたという本紙報道(12日付朝刊)に対し、両氏やNHKは「事実と異なる」と反論、抗議している。報道は当事者も含む多くの関係者の証言を得てなされた。その詳細を報告する。
      ◇
 本紙の12日付朝刊記事は、報道前に記者の取材に応じたNHK幹部や中川昭一、安倍晋三両衆院議員が述べた内容などを総合した結果だった。NHK幹部は「放送前に両衆院議員と面会した際、圧力と感じた」などと約2時間にわたって詳細に語った。中川氏も事前の取材に対しては、放送前に会ったことを認めていた。

●NHK幹部「両議員と放送前に面会」

 NHK幹部の一人は、番組放送前日の01年1月29日にNHK側が中川昭一、安倍晋三両衆院議員と相次いで会ったことを認めていた。

《面談日》

 この幹部によると、NHK側のメンバーは当時の松尾武・放送総局長と国会担当の野島直樹・担当局長ら数人。
 面会した日について「29日だけですか」との質問に、この幹部は「そのときです。それ1回きりです」と明確に答えていた。
 幹部によると、当日は車で国会周辺をまわった。まず議員会館に中川氏を訪ね、「途中どなたかにお会いしてから、自民党本部だったか、ちょっと広い応接室で安倍氏に会った」という。
 中川氏は当時、慰安婦問題を教科書で扱うことに批判的な「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の代表。安倍氏は同会元事務局長だった。
 放送前の番組をめぐって国会議員と面談することについて、この幹部は「大河(ドラマ)とかではあるけど、今回のような(教養)特集的要素のものにはない」と話した。

《面談の中身》

 この幹部は一貫して「自民党に呼ばれた」との認識を示し、これを「圧力と感じた」と証言した。「もし呼ばれて行かないとどうなるか?」との質問にも「3、4倍の圧力(がかかる)。放送中止になったかもしれない」と答えた。
 面会では、一方的な報道をするなという内容の話が出たという。それができないなら中止すべきだという趣旨の発言も、議員の中にはあったと、この幹部は話した。
 中川氏の話しぶりについては、「注意しろ、見ているぞという示唆を与えられた」と幹部は受け止めた。

《影響》

 議員らの発言の影響について、この幹部は「ただの脅しとは思ったけど、より公平性、中立性、そういうものを責任持って作らねばならないという気持ちを持った。つけいるすきを与えてはいけないとの緊張感が出てきた」と説明した。
 その直後から放送内容の大幅削除が始まったことについて「切る切らないという議論もあるが、どれが正論というのもなく、皆が不安になった。何回もの詰め作業が行われた。これを切ろうとかいうのは結果論だ」と説明している。

●放送当日、さらにカット―制作過程は

 特集番組「問われる戦時性暴力」はどう作られたのか。関係者の証言やNHKの内部資料などから制作過程を再現する。
《企画と制作作業》
 NHKは00年11月、「戦争をどう裁くか」シリーズの中で取り上げようと制作を関連会社「NHKエンタープライズ21」に委託。同社は「ドキュメンタリー・ジャパン」(DJ)に再委託した。当初の企画案には「民衆法廷の過程をつぶさに追い、半世紀前の戦時性暴力が世界の専門家によってどのように裁かれるのかを見届ける」などとあった。
 民衆法廷は同年12月、東京で開かれ、昭和天皇を有罪とする判決が言い渡された。DJが取材した。
 番組編集作業が進み、翌01年1月13日から試写が始まった。NHKの番組制作局教養番組部長は19日、「取材対象との距離が近すぎる」と指摘。それを受けて修正が重ねられた。24日、部長は「改善がみられない」とし、以後の制作作業はNHKが引き取り、直接進めることになった。26日には、民衆法廷に批判的な秦郁彦氏(当時は日本大学教授=日本近代史)をインタビューすることを決めた。
 当時、番組内容の一部が右翼団体などに漏れ、20日すぎからNHKに対して放送中止を求める電話やメールが殺到。27日には、政治団体のメンバーが応対に出た職員ともみ合いになり、別の団体も街宣車で乗りつけた。
 こうした事実は当時、朝日新聞も詳しく記事にしている。
《放送直前の改変》
 編集作業が終わり、教養番組部長からOKが出たのは28日午後11時ごろ。番組は44分。
 それが再び大幅変更されたのは29日夕。番組制作局の局長室で松尾氏と国会対策の野島氏も参加した「異例の局長試写」(NHK関係者)があった。開始前、番組制作局長はスタッフに「(国会での予算審議の)この時期にNHKは政治と戦えない。天皇有罪とかは一切なしにしてよ。番組尺(長さ)が短くなったら、ミニ番組で埋めるように手配して」と述べたという。
 試写後、松尾、野島氏らが指示した主な修正点は次の3点。
 (1)秦氏のインタビューを大幅に増やす(2)民衆法廷を支持する米カリフォルニア大学の米山リサ準教授の話を短くする(3)「日本と昭和天皇に慰安婦制度の責任がある」とした法廷の判決部分のナレーションなど全面削除
 放送当日の30日午後6時半ごろ、43分版が完成。松尾放送総局長はさらに3分のカットを命じた。これにはスタッフが反対。「通常より短い時間で放送すると視聴者は異常性を感じる」と申し入れたが、放送総局長は「自分が全責任を取る」と応じなかった。
 放送3時間前の同7時ごろから再編集の作業が再開された。削除されたのは次の3点。(1)中国人被害者の証言(2)東ティモールの慰安所の紹介と元慰安婦の証言(3)慰安所や強姦(ごうかん)についての元日本兵の加害証言
 こうしてつくられた40分版が、夜10時から放送された。 (asahi.com 01/18 03:02)

中川昭一氏との一問一答 NHK番組改変問題

 中川昭一氏は10日、朝日新聞記者の取材に対し、番組の放送前にNHK幹部と面会したことを認めた上で「(番組内容を)直しますから、というからダメだと言った」などと話していた。
 取材当日、記者は中川氏が出張していた長崎県に出向き、同氏の秘書に連絡。2度にわたって取材内容の確認を受けた後、中川氏側から電話で連絡があり、そのまま取材となった。一問一答の要旨は次の通り。

 ――放送内容がどうして事前に分かったか。
 「同じような問題意識をもっている我々の仲間が知らせてくれた」
 ――それで放送直前の1月29日に、NHKの野島、松尾両氏に会われたわけですね?
 「会った、会った。議員会館でね」
 ――何と言われたのですか。
 「番組が偏向していると言った。それでも『放送する』と言うから、おかしいんじゃないかと言ったんだ。だって(民衆法廷は)『天皇死刑』って言っている」
 ――「天皇有罪」と言っていましたが。
 「おれはそう聞いた。何をやろうと勝手だが、その偏向した内容を公共放送のNHKが流すのは、放送法上の公正の面から言ってもおかしい。向こう(NHK)は教育テレビでやりますからとか、あそこを直します、ここを直しますから、やりたいと。それで『だめだ』と」
 ――(NHKは)どこをどう直すと?
 「細かいことは覚えてはいない」
 ――放送中止を求めたのですか。
 「まあそりゃそうだ」
 ――報道や放送への介入にあたりませんか。
 「全然そう思わない。当然のことをやった」
 ――NHKの予算は通さないとは言われた?
 「向こう(NHK)の方が『こういう大事な時期ですから』って言ってきた。それで、おれが『予算の時期だろ』って。おれは(自民党の)部会でも、こんなNHKの予算は通すべきではないという趣旨のことを堂々と言っている」
 ――放送内容は放送法に違反すると?
 「違反する」
 ――(番組は)元のものと比べてよくなった?
 「よくなったんだろうけど、元がよく分からないから。しかし連中も、そんなもん毅然(きぜん)として拒否したらいいじゃないか。その方が筋が通ってるんじゃないの?」
     ◇
 中川氏はその後、2度にわたって報道陣へのコメントを出した。当初は番組放映前の面談を前提としたコメントで、2度目でそれが変化した。概要は以下の通り。
 《1月12日、本紙報道後》「模擬裁判につき、教育テレビで放送するとの情報があった。市民団体の行うことは自由であるが、公共放送は放送法に基づき放送を行うべきところ、NHKより当方に当番組につき説明があった。当方は公正中立の立場で放送すべきであることを指摘したものであり、政治的圧力をかけて中止を強制したものではない。また、当方への説明の前後における番組制作の経緯については関知していない」
 《1月13日、内部告発者の会見後》「先方がNHK予算に関して説明に来た際に番組についても話が出たのであって、当方がNHKを呼んだわけではない。来たのは当方の記録では放送後の2月2日。当方から放送内容の変更や放送中止に関しては一切いってない」 (asahi.com 01/18 03:05)

安倍晋三氏の主な発言 NHK番組改変問題

 安倍晋三氏は、次のようにコメントしている。なお、報道前の1月10日、記者は安倍氏の自宅を訪問して取材をしたが、「正確を期すためにきちんとコメントしたい」として、同日夜、安倍氏側から改めてコメントが出された。概要は以下の通り。
 《1月10日、朝日新聞の取材に対するコメント》「偏っている報道と知るに至り、NHKから話を聞いた。中立的な立場で報道されなければならないのであり、反対側の立場の意見も当然、紹介しなければいけない。時間的な配分も中立性が保たれなければいけないと考えている、ということを申し上げた。NHK側も、中立な立場での報道を心がけていると考えている、ということだった。国会議員として当然、言うべき意見を言ったと思っている。政治的圧力をかけたこととは違う」
 《1月12日の報道後》「この模擬裁判は、主催者側の意図通りの報道をしようとしているとの情報が寄せられたため、事実関係を聴いた。その結果、明確に偏った内容であることが分かり私は、NHKがとりわけ求められている公正中立の立場で報道すべきではないかと指摘した」
 《1月12日の追加コメント》「先方から進んで説明に来たのであって、当方がNHK側を呼びつけた事実は全くない」
 《1月13日のコメント》「面会は、NHK側の『NHK予算の説明に伺いたい』との要望に応じたもので、こちらからNHKを呼んだ事実は全くない。NHK側から、自主的に番組内容に対する説明がなされたものであって、こちらから『偏った内容だ』などと指摘した事実も全くなく、番組内容を変更するように申し入れたり、注文をつけたりした事実もない」 (asahi.com 01/18 03:05)

「NHK側から放送前に説明」自民・考える議員の会幹部

 自民党の国会議員でつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の下村博文事務局長は17日、「私のところにも、放送前に、呼び出したわけではなく、NHKの方から、『このまま放送するのは問題があると思っているので、もう一度、編集を含めて検討したい』と言ってきた」と明らかにした。党本部で開かれた議連の幹事会後、記者団に語った。
 同会の古屋圭司会長も「いろいろお騒がせしているようですが、ということで、向こうから話が来ていたのは事実」と語った。(asahi.com 01/18 03:10)

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