音楽のすばらしさ 「ベルリン・フィルと子どもたち」

ベルリン・フィルと?どもたちプ?グラム

不覚にも泣いてしまいました。なんで、こんな映画で涙が出てきたのか? われながら不思議です。(^^;)

僕は、タイトルから、ベルリン・フィルがどこかの子ども相手にオーケストラの練習をする、というNHK「ようこそ課外授業」的な映画を勝手に想像していました。しかし、実際に見て、全然違っていて、引き込まれてしまいました。まず登場する子どもたちが、本当にいろんな困難な条件におかれていること。そして、クラシックなんて一度も聞いたことがないし、ダンスをしたこともないという、その子どもたちが、ロイストン・マルドゥームによる練習を通して、少しずつ変わっていく様子が、サイモン・ラトルとベルリン・フィルの練習風景と片身代わりに登場しながら、映画はすすんでいきます。

見事だなあと思ったことは2つ。1つは、ラトルが、この「ダンス・プログラム」のために、ストラヴィンスキーの《春の祭典》を新しくつくり出していく様子。ラトルが「フランス人のストラヴィンスキーではなく、ロシア人のストラヴィンスキーを」とか、「2オクターブの低音を響かせて」といった指示を出すと、オケのメンバーが見事にこたえていく。クラシックの演奏というのが、けっして同じことの繰り返しでないということがよく分かります。

もう1つは、わずか6週間の練習の中で、自分を表現するとはどういうことかを学び、“踊る”ことに真剣に向き合う術(すべ)を自覚していくこと。練習は厳しいし、いつまでたっても真剣に練習しようとしない子どもたちに、マルドゥームは、けっして妥協しない。しかしだからといって、マルドゥームは、厳しいだけなのではなく、子どもたちの「可能性」に信頼をおいて、自分の可能性に真正面から向き合うことを「まだ恐れている」子どもがいると、子どもたちを励ましつづけます。「規律を身につけることが必要。最初、規律は外から与えられる」と言われるけれど、けっしてその規律は一方的に押しつけられるのではなく、子どもたち自身が、自分のもっている可能性を見つけ出し、それと真剣に向き合う――ふざけたり、笑ってごまかしたり、逃げたりせずに――やり方を自ら身につけていく、そういう様子が、マリー、マルティン、オラインカなどのモノローグを重ねながら、丹念に追いかけられています。それが感動的でちょっとぐっと来てしまった…。

ということで、ラトルの前歯はやっぱり変だ! (^^;)
今年映画6本目。渋谷・ユーロスペース

公式サイト

【映画情報】監督:トマス・グルベ、エンリケ・サンチェス・ランチ/出演:ベルリン在住250人の子どもたち、サイモン・ラトル、ロイストン・マルドゥーム、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団/ドイツ、2004年

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21 Comments.

  1. Pocket Warmer - trackback on 2005/02/01 at 00:44:20
  2. TBありがとうございます。
    良いドキュメンタリーでした。

    俯いてインタビューに答えていた子が前を向いて話せるようになる。
    表情が、言葉がどんどん変わっていく・・・全員がこうなったとは思えません。
    今までどおり、何も変わらなかった子も多いと思います。
    でもまっすぐに自分たちと大人がひとつの目標に向かっていく、
    大人たちが真正面から自分たちと向き合ってくれる。
    この子達はものすごい経験を手にしたんだと思います。

    それだけに《完成品》をもっと見たかった。
    『過程』のドキュメンタリーということは解りますが、
    バレー映画じゃないということは解りますが、
    集大成としての作品がもっと見たかった・・・それだけがちょっと・・・。

  3. TBどうもありがとうございます。

    私も観てて、胸があつくなる感じがしましたよ。陳腐だけど、「人間っていいなー」なんて思いながら見てました。
    誰の中にもあるはずの可能性を信じることで、人は変われるし成長することができるんだなと。
    真剣に生きることを楽しんでいる大人たちが増えていけば、子供たちも夢を持ちやすくなるのかも。

    心の状態がダンスのときの体の形に表れるとか、オーケストラの音がラトルの言葉だけで変化していくのはとても興味深かったです。プロの力を見た気がしました。

  4. 玉野シンジケート - trackback on 2005/02/07 at 12:54:41
  5. A Confucian Confusion - trackback on 2005/02/07 at 18:19:22
  6. 独り静かに遊ぶ部屋 - trackback on 2005/02/07 at 19:48:59
  7. ぱんだ協会 - trackback on 2005/02/08 at 23:59:45
  8. この映画について書いてから 沢山の出逢いが生まれました。
    玉野さんからTBいただきまして こちらに辿り着いた次第です。
    はじめまして。
    ドキュメンタリーフィルムですから、どうしても編集する際の
    演出といいますか 方向もあっての作品なのですが、
    ベル・フィル、そしてラトルのファンとしましては 大変に素敵な
    フィルムでした。(はい 泣きました)

    >ラトルの前歯はやっぱり変だ! (^^;)

    実は読み逃げ?できなかったのは↑このつぶやきに魅かれた
    からでした(笑)
    私は ラトルさんのあのふわふわ巻髪の中に手をつっこんで
    みたいと 常々思ってしまうのですね。
    ええ 純粋に好奇心からなのですが。

    ホント チャーミングな天才ラトルです。

  9. 徒然と(美術と本と映画好き...) - trackback on 2005/02/10 at 00:43:25
  10. こんにちは。はじめまして。TB、ありがとうございました。

    お友達のSaさんと同じく
      ラトルさんの前歯、ヘンですか??
    と、ワタシも思っちゃいました。

    こうやってGAKUさんのBLOGを拝見してると、
    同じような感想を持たれたことがなぜか嬉しくなります。
    ステキな映画でしたよね。

    わたしは関西在住なのですが、来月、関西でも上映が始まります。今度は春の祭典、オーケストラ編とダンス編も両方絶対観ようと今からわくわくしております。うっふっふ。

  11. 花のいろ - trackback on 2005/02/10 at 17:43:41
  12. Chicken's Everyday - trackback on 2005/02/14 at 14:34:42
  13. 初めまして。私も不覚にも泣いてしまった者です(笑)
    書かれているようにラトルが子どもたちとコラボレートするための「春の祭典」を新たに造りだそうとしている姿、私も感動しました!(そうそう、前歯変ですね!でも最高に魅力的!)

  14. GAKUさん、こんばんは。
    はろるど・わーどです。
    TBどうもありがとうございました。

    >不覚にも泣いてしまいました

    そうですね。
    子どもたちの生き生きとした表情はもちろんのこと、
    ラトルやロイストンの真剣な生き様が圧巻でした。

    また、リハーサルのシーンなどもあって、
    クラシックファンにもたまらない内容でした。
    美しい余韻の残る、素晴らしい映画でしたね。

  15. はろるど・わーど - trackback on 2005/02/14 at 22:56:37
  16. 確証はない。それを信じるしかない。 - trackback on 2005/03/16 at 23:26:23
  17. YOSSY's SYMPHONY@WebryBlog - trackback on 2005/03/27 at 13:22:16
  18. コンポーザーXの怒涛のクラシックCD批評 - trackback on 2005/06/30 at 09:27:34
  19. 白百合姉妹 - trackback on 2005/10/07 at 00:08:35
  20. こんにちは。最近、ベルリンフィルと子どもたちを観たばかりで、あまりにもいい映画だったので、自分のブログで簡単に紹介しようと思いました。ネットで検索していたらsakuraさんのブログを見つけました。映画に対する感想を書いた日記の部分のリンクをはらせていただいたのですが、よろしいでしょうか。トラックバックの方法が良く分からないので…

  21. MEDITATE ONLINE - trackback on 2006/02/01 at 17:51:15

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