問題は個人消費の回復なのだ

GDPが3期連続で実質マイナスになったということで、各紙が一斉に報道。マイナスの原因として、各紙は、「個人消費の減速が響いた」(日経)、「10?12月期のマイナス成長は、GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.3%減だったのが主因」(毎日)と指摘しています。

先日、衆院予算委員会で日本共産党の志位委員長が、企業収益は回復しても国民の所得が向上していない問題を指摘していましたが、各紙とも、この問題を指摘しています。

毎日新聞
政府はこれまで、「企業の収益回復で所得が上向き、消費が改善される」という自律回復のシナリオを描いていた。ところが企業の利益は労働者に分配されず、企業内部にたまったまま。内閣府の消費動向調査では、雇用不安が薄れたことを受けて堅調だった消費者マインドが、昨夏をピークに悪化する兆しを見せている。
読売新聞
特に、景気回復のカギを握る個人消費が、2・四半期連続でマイナス成長となり、マイナス幅も拡大したのは気がかりだ。企業業績が上がっても、企業は正社員の雇用をパートに切り替えるなどして人件費抑制の動きを強め、家計の所得増にはつながっていないためだ。GDP統計でも、10?12月期の雇用者報酬(名目)は前年同期比0.4%増と、6・四半期ぶりのプラスとなったものの、公務員の賞与の支給方法の変更に伴う特殊要因を除くと0.1%程度の増加となり、ほぼ横ばいだ。
 今後も、定率減税縮小や年金保険料の上昇などの負担の増加が、消費者心理に影響を与え、消費を抑制する懸念が指摘されている。
東京新聞
景気回復を先導してきた個人消費が失速したのも気がかりだ。今後、定率減税の縮減や社会保障制度の見直しによる負担増が、消費者心理にマイナスの影響を与える恐れもある。
水野和夫・三菱証券チーフエコノミスト(日経)
所得環境の悪化により個人消費が景気全体の足を引っ張る構図となった。……個人消費の悪化が目立つ。デジタル家電などの「アテネ五輪特需」の反動はあるが、主因は所得の伸びの鈍化だ。中小企業の社員の賃金が伸びず、全体の増加を阻んでいる面がある。
朝日新聞
最大の焦点は個人消費が復調するかどうかだ。10?12月期の落ち込みは自然災害や暖冬など一時的要因による下押しも大きく、いずれ堅調さを取り戻すとの見方も多い。だが消費の裏付けとなる所得は、下げ止まり傾向だが、明確に増勢に転じているわけではない。……再び景気拡大を展望するためには、企業収益の好調が続くうちに家計部門へのバトンタッチができるかどうかがかぎになる。

竹中平蔵竹中経済財政・郵政民営化担当大臣のように、「景気はやや長い踊り場になっているが、大局的に見ると回復局面が続いている」(NHKニュース)と強弁している場合ではないように思うのですが…。

国内総生産:年率0.5%減、3四半期連続でマイナスに(毎日新聞)

国内総生産:年率0.5%減、3四半期連続でマイナスに(毎日新聞)

 内閣府が16日発表した国民所得統計速報によると、04年10?12月期の国内総生産(GDP、季節調整値)は、物価変動を除く実質で前期(04年7?9月期)に比べ0.1%減、年率換算で0.5%減となった。個人消費が2四半期連続で減少したことが成長率を押し下げ、過去の数値が改定されたことに伴い、3四半期連続でマイナス成長となった。景気が後退局面入りした懸念が強まっていることを裏付けるもので、デフレ脱却を目指す政府・日銀は難しい政策運営を迫られそうだ。
 3四半期連続のマイナス成長は、前回の景気後退期の01年4?6月期から4四半期連続マイナス以来、約3年ぶり。プラス成長と発表されていた04年7?9月期は、昨年12月の改定値公表後にまとまった個人消費が下方修正されたことなどから前期比0.3%減に修正された。一般的には2四半期連続マイナスで景気後退期入りの判断材料になるとの見方があり、景気が転機を迎えている可能性もある。
 物価の動きを反映した名目成長率は同0.02%(年率換算0.1%)増で、わずかながら3四半期ぶりにプラスとなった。
 10?12月期のマイナス成長は、GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.3%減だったのが主因。台風や新潟県中越地震で旅行などの消費が抑制され、暖冬で冬物商品も振るわなかった。一方、景気のもう一つのけん引役の民間設備投資は、企業収益の改善を受けて同0.7%増と3四半期連続で増加したが、景気の先行き不透明感から勢いに欠けた。
 実質成長率をどれだけ押し上げたかを示す寄与度は、内需が3期ぶりにプラスになったが、0.1%にとどまった。輸出から輸入を差し引いた外需の寄与度は、2四半期連続で0.2%のマイナスだった。
 総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比0.3%下落した。公務員ボーナスの増加といった特殊要因もあり、下落幅は前期から1.0ポイント縮小したが、27四半期(6年9カ月)連続の下落で、デフレが続いていることを裏付けた。
 04年暦年の成長率は実質2.6%増、名目1.4%増となり、実質は2年連続、名目は4年ぶりのプラス成長だった。実質成長率が2%台になったのは4年ぶり。【山本明彦】

◇個人消費は2四半期連続マイナス

 04年10?12月期の国内総生産(GDP)が3四半期連続でマイナス成長に転落した。現行のGDP推計方式を採用している80年以降で、景気回復期に3期連続でマイナス成長だったことはなく、政府の景気回復シナリオが崩れる可能性も出てきた。実質成長率で2.1%という04年度の政府見通しを達成するには、05年1?3月期に2.1%(年率換算8.9%)程度の高い成長が必要で、実現は困難な状況だ。
 今回のGDPで注目されるのは、内需を下支えしてきた個人消費が2四半期連続でマイナスとなった点。内需は民間企業の設備投資頼みという状況に陥り、景気は内需主導の自律回復から、輸出の動向に左右されるぜい弱な体質に逆戻りする懸念が増している。
 個人消費が鈍化した背景には、自然災害や暖冬といった一時的な要因もある。しかし、賃金が伸び悩み、社会保険料の引き上げなど国民負担増が控える中、急回復は期待できない。内閣府幹部も「(個人消費が)今後上向くかどうかの見極めは難しい」と認めている。
 政府はこれまで、「企業の収益回復で所得が上向き、消費が改善される」という自律回復のシナリオを描いていた。ところが企業の利益は労働者に分配されず、企業内部にたまったまま。内閣府の消費動向調査では、雇用不安が薄れたことを受けて堅調だった消費者マインドが、昨夏をピークに悪化する兆しを見せている。
 設備投資は、輸出関連企業だけでなく情報通信や建設など内需関連の非製造業で底堅いが、「設備投資の増加には、個人消費が増勢を取り戻すことが必要」(野村証券金融経済研究所)。消費がこのまま悪化を続ければ、企業は設備投資を控えるようになり、景気は失速しかねない。
 消費の低迷が続き、内需が本格的な回復軌道に乗らなければ、せっかく縮まりつつあった国内の供給能力と需要のギャップは拡大に向かう。デフレ圧力が再び強まることも予想され、06年度のデフレ脱却という政府目標の達成も厳しくなりそうだ。【山本明彦】[毎日新聞 2005年2月16日 11時20分]

10-12月期のGDP、実質で年率0.5%マイナス成長(日経新聞)

10-12月期のGDP、実質で年率0.5%マイナス成長(日経新聞)

 内閣府が16日発表した昨年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を調整した実質で前期比0.1%減、年率換算で0.5%減となった。マイナス成長は昨年4―6月期以来、3・四半期(9カ月)連続。設備投資は堅調だったものの、個人消費の減速が響いた。ただ景気の実感により近いとされる名目GDPは前期比0.02%増、年率0.1%増と3・四半期ぶりのプラス成長。名目成長率が実質を上回り、デフレ後退を映す内容となった。
 内閣府が過去にさかのぼって季節調整などを見直した結果、7?9月期の実質成長率は昨年12月の改定値の年率プラス0.2%から、同マイナス1.1%へ下方修正。マイナス成長の期間が長くなった。
 データ改定の影響で、実質成長率が名目を上回る「名実逆転」が7?9月期時点で解消していたことも明らかになった。デフレが緩やかながらも後退していることが背景。総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比0.3%下落した。27・四半期(6年9カ月)連続マイナスだったものの、下落幅が前期の1.3%から大幅に縮小した。[NIKKEI NET 2005/2/16 10:22]

実質GDP3期連続マイナス 10-12月速報値(東京新聞)

実質GDP3期連続マイナス 10-12月速報値(東京新聞)

 内閣府が16日、発表した2004年10?12月期の国内総生産(GDP、季節調整値)速報は、物価変動を除いた実質ベースで前期(04年7?9月期)と比べ0.1%減、年率換算でも0.5%減で、3期連続のマイナス成長となった。台風の影響などで個人消費が弱まり、IT(情報技術)関連商品の在庫調整に伴う生産減速で企業の設備投資も低調だった。
 実質GDPの3期連続マイナスは01年4?6月期から02年1?3月期の四期連続以来。景気の停滞色がより鮮明になったが、竹中平蔵経済財政担当相は「一部に弱い動きはあるが、大局的に見ると景気が回復局面にあるのは変わらない」と述べ、今年半ばには景気が再び回復するとの従来の認識は変えなかった。
 物価変動を反映し企業や家計の実感に近い名目GDPは、前期比0.02%増で、ほぼ横ばい。物価の変動率を示すGDPデフレーターは、前年同期比0.3%の下落で依然、緩やかなデフレが続いていることを裏付けた。
 項目別では、個人消費は、野菜の高騰による買い控え、年末まで続いた暖冬による冬物衣料の販売不振などで伸び悩み、前期比マイナス0.3%だった。
 民間企業の設備投資は、前期比0.7%のプラス。半導体製造、建設機械などが比較的好調だったが、通信機器などの在庫積み上がりもあり伸びは鈍かった。
 輸出は、前期比プラス1.3%で、7?9月期のプラス0.6%を上回った。電気機械、船舶、鉄鋼などが好調だったが、輸入の伸びが大きく、経済成長への寄与度はマイナスだった。
 政府は、本年度の経済動向試算で、実質GDPの成長率を2.1%と見込んでいるが、実現には本年度残り1回の発表で、前期比2.1%程度の伸びの達成が必要となり、実現は難しくなった。

■IT商品の在庫調整カギ【解説】

 内閣府が発表したGDP速報が、3期連続のマイナス成長に終わったことは、景気の踊り場状態が長引いていることをあらためて裏付けた。
 特に昨年1?3月期の回復の原動力になったデジタル家電などIT関連商品は、アテネ・オリンピックの購入ブームが一段落したこともあり、在庫が増えつつある。ITバブル時ほどのだぶつきはないが、内閣府幹部は、景気が再び回復軌道に乗るかどうかは「IT商品の在庫調整がどう進むかがカギ」としている。
 台風や地震、暖冬といった特殊要因があるとはいえ、景気回復を先導してきた個人消費が失速したのも気がかりだ。今後、定率減税の縮減や社会保障制度の見直しによる負担増が、消費者心理にマイナスの影響を与える恐れもある。内閣府は(1)企業が不良債権問題の処理を終え、足腰が強い(2)失業率が下がり有効求人倍率が上がっている(3)企業の利益が消費者の所得に還元されるきざしが見られる?などから、「景気腰折れなどの深刻な事態にはならない」とみる。
 だが輸出先である米国、中国の景気に不測の事態が発生したり、原油価格の再高騰、急激な円高進行などが起きれば前提は狂う。市場では景気が「後退を始めた」との懸念さえ出ている。政府は、景気腰折れ回避に向け、一層微妙なかじ取りを要求されることになる。(経済部・上田融)[東京新聞 2005年2月16日]

竹中大臣 景気回復局面続く(NHKニュース)

竹中大臣 景気回復局面続く(NHKニュース)

GDP・国内総生産の伸び率が3期連続のマイナス成長になったことについて、竹中経済財政・郵政民営化担当大臣は、「景気はやや長い踊り場になっているが、大局的に見ると回復局面が続いている」と述べました。[NHKニュース 02/16 11:19]

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