京都議定書発効

京都議定書の発効で、各紙とも詳しい記事や論説を載せていますが、やはり一番の課題は、日本自身が90年比で6%の削減の約束をどうやって達成するかでしょう。すでに90年比で8%も増えてしまっているので、上下14%の削減は、一般的な「節約」「省エネ」で片づく問題ではなくなっています。

海外からの排出権買い取りで辻褄合わせをするのでなく、ヨーロッパ諸国のように、例えば冬場に、屋内でもいろいろ着込んで、その分、暖房温度を下げるとか、公共交通の整備で自家用車の利用を制限する、コンビニの24時間営業をやめる、深夜のテレビ放映は休止するなど、私たちの生活タイルそのものの根本的見直しに踏み込む必要があります。

京都議定書:発効 追加対策でも目標遠く 「海外分」算入、模索(毎日新聞)

京都議定書:発効 追加対策でも目標遠く 「海外分」算入、模索

 地球温暖化防止のための京都議定書が16日、発効し、日本は温室効果ガスを08?12年の間に、90年比6%削減することを義務付けられた。しかし、03年度実績で同8%増えており、03年度比の削減目標は14%に膨らんでいて、「目標達成への道のりは険しい」(経済産業省)状況に変わりはなく、環境税導入論議などが高まる可能性もある。

◇不確定要素、多く――「国民努力」や「技術革新

 京都議定書の発効を受け政府は、家庭やオフィスなどの「民生」部門や「運輸」部門など、排出量の増加が目立っている分野を中心にした追加対策により、目標達成を図る考えだ。追加対策は3月をめどにまとめる「京都議定書目標達成計画」案に盛り込む。
 柱になるのは、省エネによる二酸化炭素(CO2)排出量の削減。経済産業省は省エネ法を改正し、運輸部門を初めて同法上の規制対象に加える。一定規模以上の運送事業者や荷主、旅客運送事業者に配送の効率化計画の策定やエネルギー使用量の報告を義務付ける。また、国土交通省と連携し「流通・物流効率化法(仮称)」案をまとめ、物流拠点の整備や共同配送、ICタグ導入による効率化支援に乗り出す。
 また環境省は、一定量以上のエネルギーを消費する工場やオフィスなどが、温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告することを義務付ける地球温暖化対策推進法改正案を提出、05年度にも導入を目指している。
 CO2以外の代替フロンなどの温室効果ガスの削減対策も強化。今年1月スタートした自動車リサイクル法によって、車のエアコンからの代替フロン回収率が向上することなどを根拠に、1.5?2%分の削減率上積みを見込む。
 しかしこれら国内対策を総動員しても削減目標には1.6%分届かない。このため、海外での排出削減量を自国分に算入できる「京都メカニズム」を「最後の頼みの綱」として活用する。現在、経産、環境省が共同で、途上国での省エネ推進事業など、海外での削減実績作りを模索している。
 ただ、国民の努力や技術革新など、政府の計画は不確定な要素を前提にしている。【須佐美玲子】

◇「環境税」思惑が交錯

 環境税の創設は06年度税制改正作業の大きなテーマだが「既存税制の振り替えでやるのか、新税でやるのか決着していない」(政府税制調査会の石弘光会長)。議定書発効を機に、議論が本格化する。
 環境省は昨年、石油や石炭などの化石燃料から発生する炭素1トン当たりに2400円を課税する環境税の創設を提案した。課税により、温室効果ガス5200万トン(90年基準で約4%に相当)の削減を想定。税収約4900億円のうち、温暖化対策3400億円、企業の社会保険料1500億円と大枠は限定するものの、使い道を厳密に定めない「一般財源」とする考えを示した。
 税の一般財源化を求める政府税調、国際競争力低下を懸念する経済界への配慮をにじませた内容だが、環境税の位置付けがあいまいになったとして、推進・反対両派が反発。政府税調と与党税制調査会は05年度税制改正での結論を先送りした。
 各方面の思惑の違いが問題を複雑にしている。小泉純一郎首相は昨年末、石会長に道路特定財源の見直しと絡めた議論を促した。揮発油税(ガソリンに課税)などの税収を道路整備に充てる「特定財源」を一般財源化することは小泉首相の持論。環境税を、道路族の既得権化している道路特定財源の見直しの突破口にする狙いがちらつく。
 石会長はこれに呼応する形で「ガソリン税の一部を(環境税に)振り替えると、アナウンス効果が強い」と発言している。ただ、中川昭一経済産業相は2月15日の会見で消極姿勢を改めて表明。反対する経済界や道路族の意向と併せ、環境税の見通しは予測がつかない状況だ。【後藤逸郎】

◇途上国支援を訴え――世銀

 【ワシントン木村旬】世界銀行は15日、温室効果ガスの国際的な排出枠について「ひっ迫する恐れがある」と警告する声明を発表。途上国の排出枠供給拡大に向け、先進国による途上国向け温室効果ガス削減の支援拡充を求めている。世銀によるとスペインやイタリアなど欧州各国に続き、カナダや日本が排出枠取得を拡大すると、途上国の排出枠供給が追いつかない恐れがある。

◇「外交政策の失敗」――日商会頭が厳しく批判

 京都議定書の発効を受け日本商工会議所の山口信夫会頭は16日、「米国は参加せず、欧州と比べても日本が極めて不利な条件で条約が発効する事態になったのは、外交政策の失敗とも言うべきものだ」と政府を厳しく批判するコメントを発表した。
 日本経団連の奥田碩会長、経済同友会の北城恪太郎代表幹事も談話をそれぞれ発表、米国や中国が参加する国際的枠組みの早期構築などを求めた。【荒木功】[毎日新聞 2005年2月17日 東京朝刊]

京都議定書発効:日本、目標達成へ難題(毎日新聞)

京都議定書発効:日本、目標達成へ難題

 16日の京都議定書の発効で、90年比6%減という日本の温室効果ガス排出削減目標が国際的に義務付けられた。日本の排出量は90年水準を超えており、現状より14%も減らさなければならない。細田博之官房長官は「ぎりぎりいける」と達成の見通しを示すが、家庭や運輸部門での排出量は増え続けている。個別に検証すると、達成のめどは立っていないのが実情だ。困難な道が予測される日本とは対照的に、欧州連合(EU)は目標達成が確実視され、米国は議定書に背を向けたままだ。

■森林吸収にも不確定要素

 「京都議定書の目標は達成できる。日本に重要なのはやり遂げるという強い意志だ」。16日夜の記念行事に参加した太平洋の島国、ミクロネシアのマサオ・ナカヤマ特命全権大使は、日本への大きな期待をこう表した。
 ナカヤマ大使は「今日は島しょ諸国の人々にとって重要な日。発効を待ちわびていた。世界が温室効果ガスを減らさなければ、気候変動で島国は海の下に沈む」と訴える。
 日本は議定書誕生時の議長国で、目標達成ができなければ、世界の信用を失いかねない。
 細田官房長官は16日の会見で、02、03年に温室効果ガス排出量の伸びが高かった理由をトラブル隠しなどが原因で原発が相次いで運転を停止したためと指摘。省エネ推進や森林による二酸化炭素(CO2)の吸収を考慮すれば「(目標達成は)不可能とは一切考えていない」と述べた。
 しかし、原発の運転停止で排出が増えたCO2は年間約4000万トン。日本の03年度の温室効果ガスの総排出量は13億3600万トン(CO2換算)で90年に比べ8%も増えた。4000万トンは全体の約3%に過ぎない。
 森林によるCO2の吸収も不確定要素が多い。
 京都議定書で日本は、森林の吸収によるCO2の排出削減枠として、90年の排出量の3.9%が認められた。しかし、農水省の試算によると、2010年度に達成可能な森林の吸収量は2.6%だけだ。林業の不振や人手不足から手入れが行き届かず、森が育たないためだ。農水省環境政策課は「目標達成には06?12年の7年間で森林整備費に総額約1兆4000億円必要だが、一般財源だけでは賄えない」と話す。
 経済産業省は省エネ法を改正し、省エネ対策の義務を負う工場や事業所を拡大する方針だ。家電製品の省エネ性能の向上も各メーカーに促す。
 ただ、これらは過去にもとられた対策だ。家電製品の大型化やパソコンなどの導入が進み、03年の家庭からの排出は90年比で29%増、オフィス部門なども同37%増になった。経産省資源エネルギー庁省エネルギー対策課は「省エネ性能の向上が排出削減にどれだけ効果があったかのデータはない」と言う。
 環境省は、環境税の導入で4%の排出削減が可能とするが、他の対策については経産省と大きな違いがない。両省とも先進国などから排出量を買い取る「京都メカニズム」の活用で1.6%の削減を見込むが、環境省内部にすら「活用拡大は避けられない」と、京都メカニズム頼りの声がある。
 日本の目標達成が難しいことについて、記念行事に出席した国連気候変動枠組み条約事務局のヨーケ・ウォラーハンター事務局長は「だからこそ、今日、法的拘束力のある議定書が発効した。日本が必ず目標を達成すると信じている」と話した。【河内敏康、足立旬子】

■EU「達成は可能」

 京都議定書発効に合わせ、世界39カ国(気候変動枠組み条約事務局調べ)で記念行事が行われる。世界最大の温室効果ガス排出国(全体の4分の1)でありながらブッシュ政権下で議定書から離脱した米国でも、郡と郡内全市が排出削減を決議したカリフォルニア州ソノマ郡で、市議らが祝賀パーティーを開く予定だ。
 EUは16日、ブリュッセルで記念式典を行い、議定書参加各国の大使が列席。朝海和夫・日本EU代表部大使は「議定書までの道は平易ではなかったが、EUは発効に重要な役割を演じた」と感謝した。
 EUの欧州委員会は排出削減目標について、加盟25カ国全体での達成は可能とする見通しを昨年末、早々と発表した。背景に「共同達成」方式がある。議定書調印時のEU加盟は15カ国で、90年比8%削減を全体で実現すればよい。スペインなど排出増が目立つ国もあるが、旧東ドイツ地域の経済停滞でドイツが排出量を減らすなど、全体では90年比で既にマイナスとなっている。
 昨年5月の東欧諸国加盟のメリットも大きい。経済停滞でかなりの排出余剰枠がある国々だ。共同達成の対象外だが、排出量取引制度を活用し、EU域内の企業は排出枠を購入できる。
 EUは、ポスト議定書交渉でも主導権を狙う。今月9日には、米国や排出削減義務を負わない中国などを巻き込む戦略を発表。議定書で規制外の航空・海運業界の参加や、太陽電池などの導入も推進する。新規参加国の反発を懸念し、議定書で定めがない13年以降の削減目標明示を避ける柔軟な姿勢も見せた。
 一方、米国は、12年までの10年間に国内総生産に対する二酸化炭素排出量の比率を18%削減する独自目標を設定している。米国務省によると、05年で58億ドル(6070億円)を支出し、気候変動の研究(20億ドル)や関連技術開発(30億ドル)などを推進するという。【ブリュッセル福原直樹、ワシントン和田浩明】[毎日新聞 2005年2月17日 1時50分]

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