民主主義の根幹を守る大事な判決

名古屋高裁で、電子投票のトラブルで選挙無効の判決が下されました。

電子投票は、もともと、何らかのトラブルがあった時に票を照合して再点検するということができないシステムになっています。したがって、電子投票システムが広がると、民主主義政治の根幹を支える選挙への信頼そのものが揺るがされることになりかねません。だから、私は電子投票システムには反対です。

岐阜県可児市議選、電子投票トラブルで無効判決・名古屋高裁(日経新聞)

岐阜県可児市議選、電子投票トラブルで無効判決・名古屋高裁

 2003年7月の岐阜県可児市議選で実施された電子投票のトラブルを巡り、同市の住民が選挙無効の申し立てを棄却した同県選挙管理委員会の決定の取り消しを求めた訴訟の判決が9日、名古屋高裁であった。青山邦夫裁判長は同選管の決定を取り消し、選挙を無効とする判決を言い渡した。電子投票を巡る訴訟で、選挙を無効と判断したのは初めて。
 青山裁判長は判決理由で、投票機のトラブルによって二重投票が行われていたことなどで、選挙が一時的な違法状態にあったと指摘。さらに、電子投票での投票用紙に替わる投票カードの再交付などを巡ってトラブルへの選管の対応に不備があったとした。
 同裁判長は「多数の選挙人が、投票機に異常が発生したことにより、投票を断念せざるを得なかった」とし、最下位当選と次点の得票数が35票差だったことから「選挙の結果が変わるおそれがある」との判断を示した。[NIKKEI NET 2005/03/09 20:00]

電子投票システムをめぐるこれまでのトラブル・裁判については、「毎日新聞」が解説を書いています。ただし、「普及のブレーキに」という評価はあべこべだと思います。

電子投票トラブル:選挙無効判決 普及のブレーキに(毎日新聞)

電子投票トラブル:選挙無効判決 普及のブレーキに

 電子投票は導入後3年が経過しても、実施例は伸び悩んでおり、懸案の国政選挙への適用拡大も道筋は見えていない。今回、岐阜県可児(かに)市議選の電子投票トラブルをめぐって選挙無効を認める判決が出たことで普及がさらにペースダウンするのは必至だ。
 電子投票制度は開票が迅速化し、疑問票や無効票がなくなる利点がある。02年2月の電子投票法(電磁的記録式投票特例法)施行で地方選挙を対象に認められ、同年6月の岡山県新見市長・市議のダブル選で初めて実施された。
 しかし、その後実施されたのは03年の6例と04年の5例のみで全体でも12例にとどまっている。選挙費用が割高になり、国政選挙は自署式に戻す必要がある点が自治体から敬遠されている。
 さらに12例のうち9例は、投票の際に使うカードが読み取れなくなったり、コンピューターがダウンするなどのトラブルが発生。選管に選挙無効の審査申し立てがあった選挙も可児市議選の他に、東京高裁まで争われて棄却された神奈川県海老名市長選・市議選(03年11月実施)、県選管で棄却する裁決が出た宮城県白石市長選(04年10月)の2例があり、イメージダウンにつながっている。
 国会では国政選挙へ拡大を目指す超党派の推進議員連盟がある一方で、投票機画面上の氏名の表示位置で損得が出るのを懸念するなど抵抗感を持つ議員も少なくない。昨春には自民党の選挙制度調査会で参院選での導入について議論されたが「時期尚早」と見送られた。総務省幹部は「自治体や議員が消極的になる可能性はある」と判決の影響を懸念している。【宮田哲】
[毎日新聞 2005年3月9日 20時29分]

今回の判決は、具体的に起きたトラブルに即して選挙結果が変わっていた可能性があると判断して無効としたもので、電子投票システム一般を否定したのではありません。しかし、電子投票システムの安易な導入に警鐘を鳴らしたことは間違いないでしょう。

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