防衛庁、中東まで及ぶ通信衛星システムを構想

防衛庁が、中東から東アジアにわたる、アメリカが勝手に「不安定の弧」と名付けた地域をカバーする自衛隊のための映像通信システムを構築する「情報戦略計画」をすすめていることが明らかになりました。これは「毎日新聞」13日付が一面トップで報道したもの。

これはもう、自衛隊が米軍と一体となって、中東地域でも活動しようという魂胆があからさまですね。この計画は2005年度からの5カ年計画ですすめられるもの。同時に、海上自衛隊のイージス艦と米艦船との情報交換システムや、海自・陸自・空自の情報共有化=統合運用もすすめる予定としています。

防衛大綱:衛星で不安定の弧カバー 国際活動に対応――防衛庁・情報戦略計画全容(毎日新聞)

防衛大綱:衛星で不安定の弧カバー 国際活動に対応――防衛庁・情報戦略計画全容

 国際平和協力活動を自衛隊の活動の柱とした防衛大綱を受け防衛庁が策定した情報戦略計画の全容が12日、明らかになった。中東から東アジアにかけた「不安定の弧」の全域をカバーする映像通信システムを構築するとともに、自衛隊と米軍の情報の共有化推進が狙いだ。司令部レベルでもデータ共有化がいっそう進む可能性があり、米軍との武力行使の一体化の恐れが増すことから論議を呼びそうだ。(2面に解説)

◇米軍と共有化進める

 昨年12月に閣議決定した防衛大綱は、テロなどの「新たな脅威」に迅速に対処するため、最先端の情報技術(IT)を防衛力に反映させる方針を打ち出した。
 「今後の情報通信政策」と題する戦略計画は、この方針を具体化するための5カ年計画(05?09年度)。防衛庁は初年度にあたる05年度予算案で、2115億円(前年度比607億円増)の情報通信関係費を計上。このうち、戦略計画を前提とした新規の整備予算は1394億円(同751億円増)となっている。
 衛星通信については、現在も自衛隊専用の回線はあるが、音声中心の低速・小容量で、使用できる範囲も日本周辺に限定されている。新たに導入する通信システムは、テレビの衛星放送などで使用されている大容量の商業衛星(Kuバンド衛星)を利用、自衛隊の派遣先の海外から映像がリアルタイムで日本に送られるようになる。使用範囲は米国防総省がテロの温床地帯として名付けた「不安定の弧」とほぼ重なる地域で、日本周辺はもちろん極東の範囲を大きく越え中東やアフリカの一部も含まれる。01年の9・11テロを境にイラクやペルシャ湾に自衛隊が派遣されたが、今後もこの地域で自衛隊が活動することを念頭に置いていることを裏付けた形だ。
 米軍との情報共有については、海自のイージス艦と米艦船の間で情報交換するデータリンク・システムをさらに拡充するとともに、空自、陸自でも情報共有化を進める方針。近く米軍との協議を始める。陸海空自衛隊の統合運用に関しては、防衛庁、陸自の各方面総監部、空自の航空総隊司令部、海自の自衛艦隊司令部で、映像やデータを共有する専用回線を整備する。【古本陽荘】
[毎日新聞 2005年3月13日 東京朝刊]

解説:防衛大綱 情報戦略計画、議論不足に危うさ 防衛庁ペース、警戒も(毎日新聞)

解説:防衛大綱 情報戦略計画、議論不足に危うさ 防衛庁ペース、警戒も

 防衛庁が策定した自衛隊の情報戦略計画は、防衛大綱で打ち出した国際平和協力活動の推進と日米同盟強化の方向性を情報通信の分野で実現するためのものだ。しかし、国民の間には、自衛隊が海外で活動することに慎重な意見も依然として根強く、海外派遣をめぐる国民の議論が煮詰まらないまま体制作りが進められることには危惧(きぐ)の声も上がりそうだ。
 戦略計画に盛り込まれた映像通信システムは、中東や北アフリカも含めた「不安定の弧」と呼ばれるテロや大量破壊兵器の温床地帯と見られている地域を広くカバーする。この地域で自衛隊が今後、国連平和維持活動(PKO)や米軍の後方支援を行うことを想定している。
 しかし、実際には、防衛大綱が提示した自衛隊の国際協力を付随的任務から本来任務に格上げする自衛隊法改正案の提出は難航している。自衛隊のイラク派遣やスマトラ沖大地震・大津波の国際緊急援助活動で国際的評価を得て、勢いづく防衛庁ペースを世論全体が必ずしも容認しているわけではない。自衛隊の海外での任務が急速に広がることへの慎重論は、与党では特に公明党の支持者に多く、自衛隊の海外派遣のための恒久法の整備も作業が進んでいない。
 また防衛庁は、自衛隊と米軍の情報共有についても、一層進める方針だが、情報の共有化が進めば進むほど、米軍の武力行使との一体化の恐れが高まる。海外での武力行使は憲法で禁じられている。どういうレベルの情報をどういう場合に共有するかという指針を明示しないままの情報共有化の推進は、国民の間に不信感を高めることになりかねない。【古本陽荘】
[毎日新聞 2005年3月13日 東京朝刊]

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