ブラームスの革新性とは?/都響第607回定期演奏会Aシリーズ

金曜日に続いて、今夜は、上野の文化会館で都響の定期演奏会(Aシリーズ)を聞いてきました。

  • ブラームス:大学祝典序曲 op.80 男声合唱付
  • シェーンベルク:「ワルシャワの生き残り」 op.46
  •     intermission
  • ブラームス(シェーンベルク編):ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 op.25 オーケストラ編曲版

保守的な古典主義者といわれるブラームスと、無調と12音技法のシェーンベルク。この繋がりは?と思ったのですが、プログラムの解説(寺西基之氏)によれば、シェーンベルクは、ブラームスの音楽を好み、彼の音楽の斬新さに注目し、「革新主義者」と呼んでいたそうです。そして、3曲目のブラームスの「ピアノ四重奏曲第1番」をオーケストラ版に編曲したというのです。

それともう1つ。今日のプログラムでは、ブラームスの「大学祝典序曲」の学生歌のところで元の歌を男声合唱で歌わせるという趣向が凝らされています。プログラムの解説には、次のように、若杉氏の意図が紹介されていました。

 若杉氏によると、ビールを飲み交わしつつこれらの学生歌を一緒に歌って青春を謳歌していた若者のうちの半分が、20世紀のあの時代にナチ党員となり、残り半分のユダヤ人がガス室に送られた。そのような過去の現実を次のシェーンベルクの作品と対にすることで省みたいという意図から、本日は敢えて合唱を加えて演奏するということだ。

それでは、なぜいま、ブラームスとシェーンベルクを結ぶ線に、この20世紀の歴史を重ねたのか。そこには、やっぱり日本の「いま」にたいする若杉さんの“思い”が込められているのだろうと思います。

さて、その演奏ですが、痩身長躯で背筋をピンと伸ばした若杉さんの端然とした姿勢がそのまま現れたような感じでした。もう1つ、「大学祝典序曲」の出だしの音がとても“丸く”聞こえて、ちょっとびっくり。これは、若杉さんの音なのか、それとも文化会館のなせる技か、ともかくいままでの都響の音のイメージとかなり違っていました。

でも、1曲目だけでなく、3曲目も、弦と木管との響き合いを中心にした音は、確かにブラームスのもの。シェーンベルクが、自らの編曲版を「ブラームスの第5番」と呼んだのもむべなるかな、と思わせるものでした。ブラームスのこの“安心感”は、ひさびさに心地よいものでした。ということで、3曲目では第2楽章?第3楽章にかけて、爆睡しました。(^^;)

【演奏会情報】指揮:若杉弘/語り:勝部太(「ワルシャワの生き残り」)/男声合唱:晋友会合唱団/合唱指揮:清水敬一/東京文化会館 19:00開演

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