グレッグ・ルッカ『耽溺者』

グレッグ・ルッカ『耽溺者』

同じ作者のボディガード・アティカス・シリーズの番外編。アティカスの彼女・私立探偵のブリジッド・ローガンを主人公にしたお話。薬物中毒だった頃の親友に助けを求められ、自ら囮となって麻薬密売組織に単身乗り込む…。

ということで、女性が主人公となったミステリーもの好きな私としては、アティカス・シリーズにはまったく手をつけなかったのですが、この番外編にはちょい期待して手に取ってみました。お話自身はなかなか面白いし、元ジャンキーで、現在は私立探偵というヒロインは、そうとうぶっ飛んだキャラで、なかなか魅力的。

なのですが、やっぱり男性作家の書いた作品ですね。本当に女性がヒロインとしてあれこれ苦闘しつつ活躍するという小説にはなっていません。ヒロインのブリジッド・ローガンのキャラクターは、あくまで男性からみて格好いい女性キャラになっているということです。

ブリジッドは、元ヘロイン中毒者として、自分の過去に立ち向かうことになり、そのへんはなかなか書き込んであるのですが、その彼女が、私立探偵として、自立して生きていこうとしたときに、女性としていろんな問題やトラブルにぶつかる――そういうストーリー展開が全くないんですよね。彼氏であるはずのアティカスに知らせずに、事件に取り組もうとするのも、けっして女性としての自立ということでなく、結局、アティカスには頼り切ってる訳で、そのあたりが不満に残りました。

僕は、女性作家が女性を主人公にして書くミステリーというのは、まだまだ、いろいろ面白い話が書ける分野だと思うのですが、同じように女性を主人公にしていても、作家が男性だと、全然別物になるという、いい見本のような結末になりました。残念…

【書誌情報】作者:グレッグ・ルッカ/訳者:吉沢嘉通/書名:耽溺者(ジャンキー)/原題:Shooting at Midnight/刊行:原作1999年、邦訳2005年/講談社文庫/定価:952円(税別)

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