日韓歴史共同研究

日韓歴史共同研究の報告書を読み始めましたが、古代だけで400ページ近く、近現代は400ページ以上という膨大なもので、印刷するだけで大変…。

しかし、パラパラ近現代史の部分から読み始めたのですが、韓国側が、日本の植民地支配の問題を正面から問うているのにたいし、日本側の立論は細部、末節の問題へと逃げているように読めて仕方ありません。

→日韓歴史共同研究報告書は、日韓歴史共同研究委員会 から、日本側・韓国側両報告の全文がダウンロードできます。

日韓歴史共同研究:報告書を公表 歴史認識の違い浮き彫り(毎日新聞)

日韓歴史共同研究:報告書を公表 歴史認識の違い浮き彫り

 日韓両政府は1日、02年5月から行われた両国有識者による日韓歴史共同研究の報告書を、外務省や韓国外交通商省などのホームページを通じて公表した。しかし、日本の植民地支配に至る日韓併合条約の有効性の解釈などをめぐって両国の意見が折り合わず、両論併記となるなど、両国の歴史認識の違いが改めて浮き彫りとなった。両政府が継続で合意した第2次歴史共同研究の在り方にも影響を与えそうだ。
 歴史共同研究は歴史教科書問題を契機に、両国の歴史認識の相互理解を深めるため01年10月に両政府間で合意。約20人の有識者で日韓歴史共同研究委員会を発足させ、「古代」「中近世」「近現代」の分科会に分かれて議論した。
 最大の焦点は、日本が韓国を保護国とした第2次日韓協約(1905年)と日韓併合条約(1910年)の有効性の解釈。韓国側が「当時の韓国内の法手続きを踏んでおらず無効」としたのに対し、日本側は「当時の国際法によって許容された行為で、英国など列強各国から異論はなかった」と正当性を主張した。また、朝鮮人の強制動員▽植民地支配による朝鮮半島の近代化▽日韓条約(1965年)と補償問題??などの解釈をめぐっても意見が対立した。
 両政府は報告書がまとまったことを受け、第2次共同研究の人選やテーマの調整を急ぐ。だが韓国側が歴史教科書問題を新たな研究課題とするよう求めているのに対し、日本側は「教科書問題をテーマにすれば問題が複雑化するだけだ」(政府筋)と難色を示している。【高山祐】[毎日新聞 2005年6月1日 21時15分]

しかも、日本政府側は、さらに歴史教科書にも対象を広げて共同研究の継続を提案るというのですが、一体何を考えているのでしょう?

日韓共同研究、歴史教科書も対象 首脳会談で合意めざす(朝日新聞)

日韓共同研究、歴史教科書も対象 首脳会談で合意めざす

 政府は年内開始をめざす第2次日韓歴史共同研究で、新たに両国の歴史教科書の記述を研究対象とする方向で、韓国側と調整に入った。韓国側は共同研究の成果を教科書に反映するよう繰り返し求めている。日本政府は出版社に強制できないとの立場は崩していないが、教科書の記述内容の検証なら問題はないと判断。歴史認識問題への取り組みを強化することで、日韓関係の改善につなげたい考えだ。20日に予定されている日韓首脳会談で合意をめざす。
 日韓両国の専門家による歴史共同研究は02年5月、教科書問題を巡って悪化した日韓関係の修復を目指して始まった。古代史、中近世史、近現代史の3分野で、計19のテーマを取り上げ、今年5月に最終報告書を提出。両国政府は新たな専門家を選んで、第2次共同研究を始めることで一致している。
 韓国側は第2次研究にあたっても、これまで同様、教科書の記述を研究し、成果を教科書に反映させるよう主張している。日本政府は教科書の研究だけなら、現行の検定制度とも矛盾しないとして、韓国側の要求を一部受け入れることにした。
 具体的には、歴史共同研究委員会の中に、教科書記述に関する作業グループを設ける方向で調整している。日本だけでなく韓国の教科書も取り上げることで、互いの歴史教育のあり方についても議論したい考えだ。[朝日新聞 asahi.com 2005年06月08日12時32分]

で、日韓の共同研究がどれぐらい噛み合ってなかったかというのは、この東京新聞の特集を読んだだけでも想像がつくというもの。

日韓歴史共同研究 両国の委員会メンバーに聞く

日韓歴史共同研究 両国の委員会メンバーに聞く

 10日に公表された日韓歴史共同研究委員会の報告書は、近現代部分を中心に双方の歴史認識の隔たりが明らかになった。研究結果を歴史教科書の記述に反映させるかどうかをめぐっても、韓国側の強い要求に対し、日本側は教科書そのものを研究対象にすることに難色を示す。報告書の成果や第2段階となる今後の研究の意義について、近現代分科会メンバーの小此木政夫慶大教授、鄭在貞(チョン・ジェジョン)ソウル市立大教授にそれぞれ聞いた。 

■鄭在貞 ソウル市立大学教授

 ――共同研究はどう進めたか。
 「近現代部会だけでも3年間に15回ほど会合をもった。研究会メンバーのうち、相手国の言葉ができたのは半数ぐらい。正確を期すため通訳を交えて討論した」
 ――歴史解釈ではどの辺に違いがあったか。
 「ほぼ全体といってよいが、日韓保護条約(第2次日韓協約)と日韓併合条約の位置づけが象徴的な事例だ。韓国の研究者は、2つの条約が脅迫まがいに強制的に結ばれたとして、不法であり無効と主張している。無理やり植民地にされたという解釈だ。一方、日本側は、条約自体は当時の国際法からみて合法的に結ばれたとの見解を示していた」
 「日本側の論文に、植民地時代にソウルでいくつも百貨店ができ、民衆の消費生活が向上したとの記述があり、韓国側論文にも、当時の日本・韓国間で貿易が飛躍的に増えたという指摘があった。だが、民族の問題を考慮せず経済発展にだけ目を向けても意味がないと思う。私の論文では、韓国人を日本人に同化しようとした過程をまとめた。欧米諸国の植民地政策と比べ、この皇民化政策が日本の韓国統治の特徴だったからだ」
 ――共通認識は見つかったか。
 「日韓両国の学者が初めて、まとまった形で歴史の実証的研究をしたのが成果だ。個々の史実の解釈は異なっていても、日本の植民地支配は正当化できないという点は共通認識だった」
 ――研究成果を今後、どう生かすべきか。
 「両国の歴史教科書の執筆に反映されればいいが、日本政府にその考えはなさそうだ。だが、日韓ともに、教科書を作る人や学校の先生は、私たちの論文集を読んでくれると信じているし、きっと何かの形で歴史教育に反映されるだろう。これを一つの先例にして、将来の日本・中国、韓国・中国間の歴史共同研究が可能になる時もこよう」
 チョン・ジェジョン 1951年韓国忠清南道生まれ。ソウル大学教育学部卒。82年、東京大大学院修士課程修了。94年からソウル市立大教授。文学博士。韓国近代史、日韓関係史、歴史教育の著書多数。  (聞き手=ソウル支局・山本勇二)

■小此木政夫慶大教授

 ――研究を通じ日韓はどこまで歩み寄れたか。
 「研究会の目的は、互いの歴史観の違いをより正確に深く理解することであり、一致させることではない。最終報告書が出ただけでも大きな成果。共同研究が成立することを実証した」
 ――意見が対立し、議論が円滑に進まなかったこともあったようだ。
 「確かに、第2次日韓協約や日韓併合条約の合法性をめぐる議論は大問題になった。半面、植民地支配の中で多様な大衆社会が出現したことを日本側は明らかにし、韓国側も搾取や独立闘争の明け暮れだけではなかったことを受け入れている」
 ――第二次共同研究で、韓国側は歴史教科書そのものをテーマにするよう求めている。
 「それは難しい。日本には検定制度がある。検定に合格した教科書を再チェックすることは不可能だ。双方の教科書を並べ、欠点を探し合うことも歴史研究の本来の目的から外れている」
 「歴史研究と真相究明は異なる。従軍慰安婦問題でも韓国側は何十万人という数を出してくるが、日本側は認めない。といって生存者の証言を集め、すべてが軍の動員でなかったと実証しても韓国側は認めないだろう」
 ――次はどんな研究方法が考えられるか。
 「教科書そのものではなく、副読本を共同開発した方が建設的だ。今回の研究成果を、現場の先生や生徒たちが使えるよう、分かりやすくまとめられればいい」
 ――中国との歴史共同研究への提言は。
 「いきなり、日中2国間の共同研究では、社会体制も共有していないし、難しい。その点、日韓はアジアの中で民主主義、資本主義体制を土台にした意識を共有できる。日韓を出発点に、中国、モンゴル、東南アジア諸国連合(ASEAN)と多国間で歴史を共有していくことが、東アジア共同体の構築にも不可欠だろう」
 おこのぎ・まさお 1945年群馬県生まれ。75年慶大大学院修了。法学博士。専門は韓国・北朝鮮の国内政治、北東アジアの国際政治。小泉首相に外交方針を助言する「対外関係タスクフォース」の委員も務めた。  (聞き手=政治部・岩田仲弘、篠ケ瀬祐司)
[東京新聞 2005年6月11日長官]

まあ、鄭在貞氏が韓国近現代史の泰斗であるのにたいし、小此木氏は国際関係論が専門で、歴史研究は素人。まあ、格落ちと言われても仕方ないのでは…

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