ひきつづき永原先生の本を読んでいます

永原先生の『荘園』(吉川弘文館、1998年)は、土曜日のシンポジウムの帰りに読み終えました。この本は、荘園に焦点をあてて、8世紀半ばの初期荘園から16世紀末の荘園の事実上の消滅までをフォローしています。いろいろおもしろい話もたくさん登場します。たとえば、荘園を寄進するとき、普通は、在地領主が自分の得ている地代の一部を寄進先の貴族に上納すると思われていますが、そうではなくて、国衙からの公租部分を寄進していたというのは、けっこう穴かも知れません。もう少し詳しくまとめたいのですが、おいそれといかないので四苦八苦しています。

で、いまは『日本封建社会論』(東京大学出版会、新装版2001年)を読んでいます。

この本は初版1955年。読んでいても、当時の“時代の息吹”のようなものを感じます。それから、ひじょうに理論的・概念的に展開しているのも特徴的です。まず先に理論的・概念的な展開があって、それに続いて、それを裏づける事実が提示されるという書き方になっています。だから、概念的展開のところを読むときには、それがどういう事実を念頭に置いて論じているのか、ちょっと想像力を働かせる必要があります。

で、この本は、領主制=封建制の形成、発展、それに封建国家論という組み立てです。序説では、封建制をめぐる“理論”と“論争”を整理していますが、驚くのは、その後半大部分が、戦後の農地改革で基本的に解体される寄生地主制の問題にあてられていることです。中世と近代――、一見すると、すごく飛び離れているように見えますが、50年代にはそれが現実的な結びつきをもった課題だったということです。同時に、中世の荘園制やら封建制=領主制の成立を論ずるときに、永原先生が、そういうところまで見通して議論していたということで、そうした大きな視野で研究をとらえることを心がけなければいけないことを痛感しました。

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