公調委の存在理由が問われる裁定

諫早湾干拓事業で、公害等調整委員会(公調委)が、漁業者側の申請を却下する裁定を下しました。

しかし実は、3日前に、調査を依頼された専門委員らが、潮受け堤防の閉め切りと諫早湾の赤潮発生、ノリ不作との因果関係を強く示唆した報告書が出されていました。つまり、専門委員から因果関係が強く示唆されていたにもかかわらず、漁業者側の申請を棄却した訳で、公調委の存在理由そのものが問われる裁定と言わざるを得ません。

事実、公調委の棄却理由は「漁業被害と干拓事業の因果関係を、高度のがい然性をもって肯定するに至らなかった」という苦しいもの。しかし、誰が見たってはっきりしているほど「高い蓋然性」があるときしか裁定を下さないような機関なら、そんな機関にわざわざ専門調査を申し立てる必要もないはず。公調委は、自身の無用・無能ぶりを、自ら証明したと言われても仕方ないでしょう。

諫早湾干拓事業で被害、漁業者側申請を棄却 公調委裁定(読売新聞)

諫早湾干拓事業で被害、漁業者側申請を棄却 公調委裁定

 有明海の漁業被害は、国営諫早湾干拓事業(長崎県)が原因として、沿岸の漁業者らから干拓事業との因果関係の解明を求められていた総務省の公害等調整委員会(公調委、加藤和夫委員長)は30日、「漁民と福岡県漁連の申請をいずれも棄却する」とする裁定を出した。
 事業を巡っては、漁業者が工事差し止め仮処分を求めて最高裁に抗告中で、その行方にも大きな影響を与えそうだ。
 棄却した理由について、「漁業被害と干拓事業の因果関係を、高度のがい然性をもって肯定するに至らなかった」としている。
 裁定は2003年4、5月、漁業者17人と福岡県有明海漁連が申し立てていた。公調委は計10回の審問や現地視察などを行った。
 漁業者側は、干拓事業の影響で潮流が弱まったり、赤潮が大規模化するなどして、漁業被害が出たと主張。農水省は「干拓事業の影響は諫早湾内にとどまる」と、因果関係を否定していた。
 一方、公調委は科学的な見地から因果関係を検証するため、大学教授ら4人で構成する専門委員会を設置。委員も審問に出席し、2004年末、報告書をまとめた。関係者によると、報告書は一部因果関係を示唆する内容になっていたという。
 干拓事業は、農地造成や高潮などの防災を目的に1986年に着手。97年4月、全長約7キロの潮受け堤防で諫早湾奥部が閉め切られた。内側は干拓地約650ヘクタールと調整池約2600ヘクタール。総事業費は約2530億円で、07年度の完成を目指している。[読売新聞 2005年8月30日]

諫早湾干拓とノリ不作の因果関係示唆・公害等調整委(日経新聞)

諫早湾干拓とノリ不作の因果関係示唆・公害等調整委

 総務省の公害等調整委員会専門委員は27日までに、国営諫早湾干拓事業(長崎県)に伴う潮受け堤防の閉め切りで、諫早湾とその周辺などで赤潮の発生が増え、ノリ不作など漁業被害を引き起こした可能性があることを強く示唆した報告書をまとめた。
 公調委はこの報告書を基礎資料に使い、30日に干拓事業と漁業被害の因果関係を判断する裁定を出す。公調委が因果関係を認めれば、2007年度完成予定の干拓事業にも影響を与えそうだ。
 報告書は公調委が選任した清水誠東大名誉教授(水産資源学)ら4人の専門委員が漁業者と農水省など国の意見や現地調査などを基に作成した。
 報告書では、公調委の審理でも争点になっているノリ不作の直接的な原因は「ノリと栄養塩(窒素、リン)摂取で競合する植物プランクトンの異常増殖である赤潮の発生」と断定、堤防閉め切りと赤潮の発生に深い関係があるかを検証した。〔共同〕[NIKKEI NET 2005/08/27 22:14]

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