財界はどう動いたか 総選挙の結果をどう見るか(4)

トヨタが、愛知・自民党を全面応援。「東京」も「自民躍進に“トヨタ効果”?」の記事を載せているが、「読売」はもう少し詳しい。15の選挙区すべてに部課長クラスを派遣、決起集会に幹部社員1万人を動員、奥田会長自身がグループ企業に出向いて支援を依頼した、等々。

「王国 愛知」揺らぐ 小選挙区 自民、名古屋でも議席(読売新聞)

「王国 愛知」揺らぐ 小選挙区 自民、名古屋でも議席

 自民党は愛知県でも躍進した。6区で新人の丹羽秀樹さん(32)が1996年の小選挙区導入後初めて議席を獲得するなど、小選挙区で解散時に比べ、4議席増やした。名古屋市では前々回(2000年)、前回(2003年)の2回連続で5選挙区を民主党に独占されるなど「民主王国」を許してきたが、5区で木村隆秀さん(50)が勝つなど、ようやく県内で逆転を果たした。
 愛知県春日井市の丹羽さんの事務所では、選対幹部が「公明党やトヨタ自動車、皆さんの応援で、地元から自民党の衆院議員が生まれた」と勝利宣言し、バンザイ三唱した。
 元首相の海部俊樹さん(74)の稲沢市の事務所では、壇上に上がったトヨタグループ企業の幹部が「全力で応援してきた。強い日本を作って」と祝福し、海部さんとがっちり握手した。
 自民躍進の原動力となったのは、小泉人気の風だけでなく、元気な中部経済界による強力なバックアップもあった。
 トヨタ自動車は、愛知の15区すべてに部課長クラスを派遣した。決起集会には、グループの幹部社員約1万人を動員するだけでなく、関連企業や取引先にも支援を依頼した。実は8月下旬、奥田碩会長が県内のグループ企業を回り、支援を依頼していた。トヨタ自動車の幹部は「今まで名古屋市内と尾張地区ではそれほど真剣にやってこなかったが、今回は全選挙区で力を入れた」と振り返った。
 一方、愛知県で民主党を支えてきたのは、全トヨタ労連などを擁する連合愛知。だが、各地の単組が十分な支援態勢を取れなかった、と指摘される。古川元久県連代表の選対幹部は「影響力のあるトヨタの奥田さんが自民支持を打ち出したことで、ほかの企業にまで自民支持の空気を生み出してしまった」と話した。[2005年9月12日 読売新聞]

産経新聞も、経団連が自民党支持の表明だけでなく、実際に足を運んで支持を依頼していたと報じている。

自民圧勝 経団連、側面支援 発言力高まり、つきあいも緊密化?(産経新聞)

自民圧勝 経団連、側面支援 発言力高まり、つきあいも緊密化?

 総選挙での自民党の圧勝をうけて、支持を打ち出した日本経団連の今後の対応に視線が集まっている。経団連は今回、自民支持を打ち出して圧勝を側面支援。発言力拡大の好機を獲得した。一方で、日本の総資本の代表を自負する経団連が、特定政党との過度な接近は禁物だ。奥田碩会長は12日の会見で、「選挙でなくても、政権与党を支持し、協調していく」と、今後も自民党との関係の緊密化を進める考えを示したが、実際には繊細なかじ取りが要求されそうだ。(村山繁) 
 今回の総選挙の舞台裏で、経団連の幹部たちはかなりの奔走をみせた。
 第1に「自民支持」。それまで対外的に政治的な中立を装ってきた姿勢を転換し、奥田会長らが「自民を支持する」と相次いで口にした。「経団連による支持」は「大きな支援材料」(企業幹部)との見方は多い。
 また、ある経団連幹部は自分の選挙区に戻れない自民党幹部の選挙区に出向き地元商工業者に支援の輪の維持・拡大を呼びかけた。
 背景には、政治関与を強め、経団連の望む政策を実現する狙いがある。
 経団連は年々、政治関与を強めている。かつては政治献金の斡旋(あつせん)を打ち切ったこともあったが、現在では参院に議員を送り込み、昨年から各党の政策を判定する「政策評価」を開始。政治献金拡大にも努めた。今春には、政党幹部と意見交換をする集会も開いた。
 選挙での側面支援も発言力拡大策の一環だ。
 会見で奥田会長は、自民圧勝の理由について「小泉首相の圧倒的なリーダーシップ」と述べ、経団連とのかかわりに触れなかった。しかし、同時に自民党が圧勝におごった場合には、「経済界に冷たくすれば仕返しされるという話がでるかもしれない」とクギを刺すことも忘れなかった。
 発言力は高まった。しかし、同時に政党とのつきあいかたはいっそう難しさを増した。ある企業幹部は経団連の自民支持を「政党による資本の支配につながる恐れを連想させる」と指摘する。発言力を行使できる立場に近づいただけに、経団連は今後、自民との距離の保ち方に神経をとがらせることになりそうだ。[産経新聞 2005年9月13日]

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