中国・中央党学校が貧富の格差拡大を警告

全体として市場化、経済の拡大を認めつつ、貧富の格差拡大に対策を求めたもの。社会保障の確立を求めているのも注目される。

【中国】中央党校:政策に注文、貧富の格差を強く警告(サーチナ・中国情報局)

【中国】中央党校:政策に注文、貧富の格差を強く警告

 中国共産党中央党校が発行する「学習時報」が、労働・社会保障部労働給与研究所が発表した報告書を掲載した。この報告書は、貧富の格差の拡大を強く警告している。中央党校は中国共産党の理論面における最高権威であり、政策への影響が注目される。19日付で中国新聞社が報じた。
 報告書は、「中国における収入の格差は2003年以来、急速に拡大し、すでに『イエロー・ゾーン』の状態だ。有効な措置をとらなければ、5年以内に『レッド・ゾーン』に突入する」と、きびしい調子で警告した。
 人口の20%を占める貧困層の収入及び支出は全人口の収入及び支出の4.7%。その一方で、人口の20%を占める富裕層の収入及び支出は全人口の収入及び支出の50%に達している。国際的に貧富の格差を示すジニ係数の「警戒ライン」は0.4とされているが、中国のジニ係数はすでに0.45。しかも、さらに上昇する傾向が明白だ。
 報告書では、「隠し立てせずに直言すれば、このような状況は市場化という改革にともなって出現したのであり、歴史的な必然性と合理性を伴うものだ」「改革開放の初期の段階では、農民が恩恵を受けた。その後、改革が企業と都市部に広がり、チャンスをものにした民間企業経営者や金融投資者が富裕層となった」などと、改革開放の本格化以降の流れを総括している。
 その上で、「多くの国と地域の経験を見ても、一人あたりのGDP(国内総生産)が1000ドルから3000ドルに向かう段階は、社会矛盾の多発期となる」「中国はまさにこの段階であり、政策決定者は貧富の格差の問題を特に重視しなければならない」などと、政権担当者に警告している。
 また、中国の富裕層に関して、「かなりの人、特に最も富んでいる人たちが、『官』と癒着している」ことを指摘。また、「大企業は行政と結託して独占的地位を築き、新規参入者を排除している」「国有企業の経営者と公務員は、各種の不正な手段を用いて、国有資産を蚕食している」などとして、豊かになるための「機会の平等」が失われていることを強調した。
 報告書は、「中国は社会主義の初歩的段階であり、社会全体に富を蓄積しなければならないという大前提がある。当面は『効率』と『公平さ』の関係を見直すべきでなない」としながらも、「効率を優先しながらも、公平さに目配りすることが必要だ」として、「この問題の鍵となるのは政府だ。政府は公平さの維持という職責を確実に果たし、その上で市場化を完成させて効率を引き上げるという任務がある」と論じた。
 また所得税に関して、徴収の対象となる年収の最低ラインを引き上げ、中程度の収入のサラリーマンの多くを課税対象からはずしたことに関しては、「よいシグナルだ」と評価したが、「政府のやるべき仕事は、これ以外にも非常に多い」と主張。国有資産権の改革の秩序ある推や、各種の行政がらみの独占を排除して、健全な社会保障のを確立することなどを求めた。
 報告書は最後に、市場化の流れそのものを抑制する選択は考えられないことを強調した。「『汚水と一緒に子どもを捨ててしまう』ことは、絶対に避けるべきだ」として、法治がゆきとどき、公正で健全な市場経済は「我々の不動の目標であり、この大きな方向性が揺らぐことは受け入れられない」と結論づけた。(編集担当:如月隼人・田村まどか)[サーチナ・中国情報局 9月19日16時13分更新]

「多くの国と地域の経験を見ても、一人あたりのGDP(国内総生産)が1000ドルから3000ドルに向かう段階は、社会矛盾の多発期となる」という指摘がありますが、そういえば、むかし、日本経済史の中村政則先生が「2000ドル理論」というのを唱えたことがありましたなぁ…。中村先生がこれを言い出した当初は、「なっちゅう没理論。ロストウ理論の焼き直しじゃん…」などと思ったもんですが、今となってみれば、なかなか先見性のあるご指摘でした…。m(_’_)m

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