愛媛新聞社説「国民投票法案 世論に耳を傾けて慎重審議を」

愛媛新聞(9/25付)は、自民、民主、公明3党が特別国会で国民投票法案を審議する憲法調査特別委の設置を決めたことに、懸念を表明する社説を掲載しました。

社説 国民投票法案 世論に耳を傾けて慎重審議を(愛媛新聞)

社説 国民投票法案 世論に耳を傾けて慎重審議を

 憲法改正の手続きを定める国民投票法案を審議する「憲法に関する調査特別委員会」が、自民、民主、公明などの賛成多数で衆院に設置された。
 今春、衆参両院の憲法調査会は約五年にわたる議論を集約した最終報告書をまとめ、自民、民主、公明三党の賛成多数で議決した。いずれも、改正対象に違いはあるものの改憲の必要性を打ち出した。特別委設置はその流れに沿ったものだ。
 しかし、その後の国会審議や衆院選で論議の的になったのは郵政民営化や年金、財政再建などの問題だ。憲法論議は深まったとはいえず、国民の関心もそれほど高いとは思えない。
 それだけに、特別国会の開会直後の委員会設置には違和感もある。そんなに審議を急ぐ必要があるのだろうか。
 憲法九六条は、憲法改正には国民投票などで過半数の賛成が必要だとしている。こうした国民投票制度はないため、法制化の必要性は理解できる。が、果たしてその機が熟したのかどうか、疑念もつきまとう。
 法案を審議するにしても、改憲機運を盛り上げる材料にすべきではない。当然ながら国民投票制度と憲法改正の是非は全く別の問題であり、なし崩しに改憲審議へとつなげるのは厳に慎む必要がある。
 その意味で、与党が当初は常任委員会を設置する方針だったのを、特別委に改めたのは賢明だったといえる。
 というのも、改憲案の審議権を委員会に付与する場合、常任委の場合は国会法を改正する必要がなく衆院本会議の議決だけで可能になる。改憲へのハードルが低くなるからだ。
 自民、公明の与党は衆院で三分の二を超え、民主党が加われば衆院の九割を超える。だからといって三党で何でもできると考えるのは危険だ。護憲を訴え特別委設置にも反対した共産、社民両党などの少数意見にも十分耳を傾ける必要がある。
 法案の中身にも問題がある。与党が従来論議してきたのは▽二十歳以上が投票権者▽有効投票数の過半数で決定▽国政選挙とは別の日に実施―などの内容で、予想報道の禁止などメディア規制も盛り込んでいる。
 これに対し、民主党は投票権者を十八歳以上とし、報道の自由を原則として保障する、などの案を発表している。
 与党案で特に問題なのはメディア規制だ。国民に十分な知識や情報があってこそ正確な判断が下せるわけで、国民の知る権利を制限するようなことは決してあってはならない。
 時事通信社の七月の世論調査では、国民投票法について「国民の意見を十分聞いてから法案を作るべきだ」が42%と多数を占め、「法律を準備しておいていい」は29%、「憲法改正案が固まってから準備すればいい」は13%だった。国民は慎重な論議を求めているといえる。
 とりわけ特別国会は会期が短く、十分な審議ができるかどうかは疑問だ。国民の意見をよく聞き、会期内成立にこだわらず慎重に審議すべきだ。[愛媛新聞 2005/09/25(日)付]

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  1. 国民投票法案は非常に危険でしょう。
    それは、報道規制と公務員等の反対運動を規制する
    内容をもつているからです。

    つまり改憲反対をふうじこめることを意図としているからです。

    このようなことまでしておこなう、改憲とは?

    浦部法穂・名古屋大学教授によれば、「自民党や民主党の新憲法制定論は『憲法制定権力』のさん奪行為だ。『憲法制定権力』は『国民』にあるのであって、『国民の代表』に委ねられているのではない」、「新憲法制定はふつう革命や戦争、内乱などで統治体制の根本的変革があったときに行われる。いまの日本で『新憲法制定』を唱えることは、統治体制の根本的変更を今の権力者が企てている証拠だ」、「自民党の新憲法案では『戦争の放棄』ではなく『(戦争を)行わないこととする』と変えられている。法律用語で『行わないこととする』は、行う場合もあるという意味になる」、「『公共の福祉』を『公益および公の秩序』と書き換えているが、まったく意味が違ってくる」ということだそうです。

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