今週の「九条の会」(12月3日まで)

全国各地の「九条の会」の活動をピックアップしました。これ以外にも、各地で取り組みがあったと思いますが、とりあえずネットで流れているニュースから拾いました。

九条の会:結成へ山口でも準備進む―8日に「結成の夕べ」/山口

 憲法9条を守る「九条の会」が山口市でも結成準備を進めている。サビエルセンター所長のルドルフ・プロット神父や内田一郎・九州大名誉教授ら15人が呼びかけ人となり、8日午後6時半、山口市緑町の県労福協会館で「結成の夕べ」を開く。防府市在住の児童文学作家、那須正幹さんが平和について話す。入場無料。
 「九条の会」は、憲法改正の動きが活発化する中、昨年6月に作家の井上ひさし氏らの呼びかけで始まり、全国的な広がりを見せている。県内では今年5月に全県的な「九条の会山口」が、那須さんらの呼びかけで発足。その後、下関市や防府市などでも結成されており、山口市は県内8番目となる。会では署名活動や憲法に関する学習会などを行い、1年前後で住民の過半数の署名を集めたいという。問い合わせは事務局の谷本育紀さん。【住田里花】[毎日新聞12月3日朝刊 17時26分更新]

早稲田大学講演会に700人/“戦争か平和か”考える力を/9条の会 加藤周一さんが訴え

 「学生の間で憲法を語れる場が少ない。この講演をきっかけに議論が発展することを願います」―。早稲田大学の「早大九条の会 article9」と、平和サークルの「Waseda Peace Walk」が11月30日夜、早稲田大学大隈講堂で、加藤周一氏(評論家・医師、九条の会呼びかけ人)の講演会を開きました。
 「加藤周一という著名な人が来るからと友人に誘われて、話を聞いてみようと思ってきた」男子学生(22)など学生を中心に約700人が参加しました。高校生の姿も。
 「『2つの学生時代』?戦争または平和とともに?」をテーマにした加藤氏の話に、物音も立てずに聞き入りました。
 加藤氏は、“学生が持つ自由の使い方のひとつは、戦争か、平和かの選択だ”と語り、「すべての学生に、九条を守ろうと頼みたい」とアピールしました。
 加藤氏は、中学校までは、家族や知り合いなどの影響が強く、就職して社会に出れば会社などの組織の中で影響を受けるようになると指摘。「集団の圧力が比較的少ないところで、個人は生まれる」とのべ、「学生時代が自由な時代」と話しました。
 また、憲法九条を変えれば戦争をしやすくなるのは確実で、「変えるか変えないかを選ぶのは、主権を持った国民」と強調。新聞やテレビなどのメディアや、学校の先生にも惑わされないように、学生時代に自分で考えてほしいと訴えました。
 加藤氏は、戦前は警察が出版物を検閲し、伏せ字のある本を読んだことを紹介しながら、学生時代の体験を語りました。
 講演後、加藤氏は参加者の質問に答えました。
 高校生は「テレビや先生に影響されやすい。九条は守りたいが、どうすればいいか」と質問。加藤氏は「九条を守ろうという人と付き合うのがいい」と回答。「同年輩でも、老人でもいい。老人は役に立つ」と話すと、会場は笑いに包まれました。
 東京・小平市の大学2年の女子学生(21)は「何かやらなきゃいけないと思いました。戦争は反対です。学生である、いましかできないことがあると思う」と話しました。
[しんぶん赤旗 2005年12月02日11時38分]

農山漁村の多大な犠牲を忘れない―憲法改悪阻止を農林水産「9条の会」がアピール(11/23)

 9条を中心とした改憲への動きが強まっていることから、農林水産関係者からも憲法改悪を阻止するための運動を広げようと今年5月に結成された農林水産「9条の会」が11月23日、初の呼びかけ人会を開き、憲法改正阻止と運動への賛同を訴えた。
 呼びかけ人は農政改革と憲法改正の動きが結びついていることを指摘。「自給率向上につながらない特定層だけ支援する農政は、食料確保のためには軍事力強化が必要だという話になるのではないか」(暉峻衆三・元東京教育大教授)、「かつて農林予算と防衛予算は同規模だったが、今、農林予算は3兆円を切り、一方防衛費は5兆円。9条を守らねば、が実感となってきた」(坂本進一郎・農業)、「農政は強きを助け、弱きを挫く方向になっている。農政の変化と9条改正が結びついている問題の深刻さを理解してほしい」(梶井功・東京農工大名誉教授)、「改正案では愛国心を持て、というが自給率を見ればまったく愛国心がないではないか。暮らしのなかに憲法を生かす説得力ある運動をしていきたい」(宮村光重・農業農協問題研究所理事長)などの声が相次いだ。
 また、「農家には犠牲者の写真が必ずといっていいほどある」(佐々木健三・農民連会長)と太平洋戦争では農村部から多大な犠牲者を出したことや「海に囲まれた日本では軍事訓練でも漁業は圧迫される。戦争となれば船は徴用。漁業は平和でなければ成り立たない」(河井智康・海洋サイエンティスト)との指摘もあった。
 「9条の会」は昨年6月に井上ひさし氏、大江健三郎氏らが結成した。その後、各分野、地域で約3000の組織が結成されている。
 農林水産「9条の会」賛同者は443名(11月22日現在)。今後、県別の会の結成よびかけや署名運動、ブックレット「私と憲法」(来年1月予定)発行などに取り組み、憲法改正を問う国民投票がかりに行われた場合でも、農山漁村で過半数の人が「ノー」を突きつけることを目標に運動を展開する。[農業協同組合新聞 2005/11/30]

「憲法九条の重要性考えよう」 来月3日 宮崎市でフォーラム

 【宮崎】 憲法九条の重要性を市民と一緒に考えようと、「憲法九条フォーラム」が12月3日午後2時?同4時半、宮崎市花山手東3丁目の宮崎市民文化ホールで開かれる。
 フォーラムでは、憲法学が専門の小栗実・鹿児島大教授が「改憲論の本質と九条を守る展望」と題して基調報告。
 その後、「みやざき九条の会」代表世話人で元宮崎大学長の藤原宏志さんをコーディネーターに、九条の重要性とその生かし方について考えるシンポジウムを開く。
 パネリストは、小栗さんのほか、広島原爆被爆者で元宮崎大学長の池田一さん▽幼少期に沖縄戦を体験した宮崎大名誉教授の新城敏晴さん▽中国出身で宮崎公立大教授の王智新さん。
 シンポジウム実行委員長で宮崎大教授の戸島信一さんは「改憲論議が盛んになっているが、平和を守る立場から市民と一緒に考えたい」と話す。
 日本科学者会議宮崎支部などの主催。今回は日本科学者会議の九州各支部が毎年、持ち回りで開いている九州地区シンポジウムの一環として開催する。入場無料で事前予約も不要。問い合わせは同支部事務局長の木下さん(宮崎大農学部木下研究室)。
 また、県退職教職員9条の会も、「自民党の改憲案に反対し、憲法九条を守ろう」と、12月3日から同8日にかけて、県内各地でチラシ配布や街頭宣伝活動を予定している。[西日本新聞 11月30日2時18分更新]

改憲案は戦争準備 「九条の会」 自民案批判でシンポ

■加藤・奥平・山内の3氏語る

 作家の大江健三郎さんや評論家の加藤周一さんら九氏がよびかけた「九条の会」が27日、「自民党改憲案は日本をどこに導くか」をテーマに東京都内でシンポジウムを開きました。「九条の会」がシンポジウムを開くのは初めてで、260人が参加しました。
 あいさつした同会呼びかけ人の加藤氏は、改憲論の中心点は九条にあると指摘。「戦争の準備をすることが平和のために役立つというのは間違っている」とのべ、「殺し殺されない平和主義を確立した方がより安全だ」として九条改憲への動きを批判しました。
 奥平康弘東大名誉教授(「九条の会」呼びかけ人)と山内敏弘龍谷大教授が報告。奥平氏は自民党改憲案の内容について「前文で国民主権、基本的人権、平和主義をばっさり切っている」「九条を含めた全面改正をのませようとの目くらましがちりばめられている」とのべました。
 軍事裁判所についての質問に答え、「軍事裁判所の設置は、陸軍刑法、スパイ防止法、憲兵などの軍事警察など特別なものができる効果が大きい。戦前をよみがえらせてはいけない」とのべました。
 山内氏は、九条改定の狙いは、(1)集団的自衛権行使を可能にする(2)徴兵制をはじめ国防義務が違憲とされない根拠をつくる――と指摘。背景として米国が武力行使をともなう海外派兵を日本に求めていることを明らかにしました。徴兵制も可能となる自民党改憲案の前文について解説し、「若い人たちにこの問題をよく考えてほしい」と訴えました。
 また、九条があるからできることについて(1)これからも平和を維持できる(2)国防義務を課されず自由や民主主義を享受できる(3)環境・資源の保護に役立つ(4)平和的生存権によって、不平等や格差社会を是正することも可能になる――などとのべました。
 千葉県からきた男子学生(21)は「今まで政治に興味がありませんでしたが、これからは憲法問題も考えてみます」と感想をのべました。

■全国で3600超える

 「九条の会」事務局は27日、全国の地域、職場、分野別などの「九条の会」が3614に達したことを発表しました。
 小森陽一事務局長によれば1カ月に100を超えるペースだといいます。[しんぶん赤旗 2005/11/28]

商社九条の会が講演会 品川正治経済同友会元副代表幹事語る 東京

 商社で働く労働者と退職者などでつくる商社九条の会・東京は26日、東京・港区で講演会を開き、230人が参加しました。
 経済同友会の元副代表幹事で国際開発センター会長の品川正治さんが講演。戦争の体験者、現役の財界人としての活動を踏まえて、憲法九条への思いを縦横に語りました。
 このなかで品川さんは、戦争は勝つことをすべての価値観に優先させるようになり、科学も歴史もすべてを動員する力を持つと指摘。「戦争を起こすのも、それを防ぐのも人間であるというのが、戦中派の1人としての憲法に対する基本的な信条である」とのべました。そのうえで、改憲の動きにふれ、さまざまな紛争はあってもそれを戦争にしないもっとも確実な力になっているのが9条2項の戦力放棄の原則だと力説しました。
 また、「国民の側が改憲に『ノー』の声を突きつければそれは世界史的にも大きな意味を持つことになる」とのべ、九条を守るたたかいの重要性を強調しました。
 講演会では、劇団「ぐるーぷ・ふらいぱん」の山崎勢津子さんが、沖縄の三線(さんしん)と沖縄戦で孤児となった少女の物語の朗読を披露しました。
 参加した学生(22)は「経済界も含めた世の中の改憲の動きに危うさを感じてきましたが、きょうの話を聞いて希望が持てました。黙っていてはいけないと思う」と話していました。[しんぶん赤旗 2005年11月28日]

「憲法九条を子どもたちに」?ある作家の体験から
[JANJAN 2005/11/28]

 明治大学九条の会と千代田九条の会共催による「千代田九条の会講演会」が11月19日午後6時より、明治大学リバティータワーにて開催されました。講師は作家の早乙女勝元さんと弁護士の島田修一さんです。2人の話を紹介します。

早乙女勝元さん「憲法九条を子どもたちに」?ある作家の体験から

 自民党が新憲法草案を出し、国民投票法案が審議入りされたことを踏まえ、早乙女さんは、「憲法の平和条項を守れるのか、それとも、いつでもどこでも戦争のできる国にするのか、この1年が正念場」と述べ、いま戦後民主主義が岐路に立っているとの認識を示しました。8月15日が終戦記念日であることを知らない人もいるなど、一般の人たちがこの問題に対して関心が低いことに懸念を示しながら、「戦争は、忘れたころ、無関心からやってくる」と警鐘を鳴らしました。
 早乙女さんは60年前の8月15日を下町向島で迎えました。当時13歳だった早乙女さんは、生まれた時はすでに日中戦争が始まっており、平和を知らずに育ったので、大人たちの話から戦争が終わったことを知っても実感はなかったそうです。平和を実感したのは、灯火管制公式解除の日(昭和20年・1945年8月20日)と、日本国憲法公布の日(昭和21年・1946年11月3日)でした。明かりが点き、黒い覆いを外して裸電球の下で家族の顔を見たとき、「平和は明るい。まぶしい。今夜から防空壕に入らないで、ぐっすり寝て朝を迎えられるんだなあ」と思ったそうです。
 日本国憲法が公布された1946年は、早乙女さんはすでに町工場で働いていました。戦後の日々を早乙女さんは「自分で自分が可哀相に思える日々だった」と述懐しながら、9歳年長の兄から日本国憲法の条文を教えてもらい、九条を読んで「感動した」と述べました。「1項の絶対戦争はしない。2項のそのための軍事力は持たない。国の交戦権は認めない。これからどこで戦争が起きても日本は戦争をしないのだ」と思い、戦地から生きて戻った兄と、大空襲を生き延びた自分に思いを致し、感慨深いものがあったそうです。
 あの戦争はどうして起きたのか。なぜ食い止めることができなかったのか。この目で見極めたいと思い、早乙女さんは独学に入りました。改めて憲法を読んでみて、読み違えていたことに気がつきます。それは、自民党の新憲法草案からそぎ落とされている部分の「政府の行為によって戦争は始まる。その戦争が起こらないように決意をするのはだれか。国民である」という箇所でした。早乙女さんは、主権者である国民は戦争に参加しようとする政府にストップをかける使命がある、と強く訴えました。
 東京大空襲の体験を、早乙女さんは次のように語りました。
 「61年前の11月半ばから、日本の国土は戦場と化した。100回以上にわたる東京空襲のすべてに立ち会った。学校も町も焼けた。大勢の友達がまるで神隠しにあったようにいなくなった。B29の登場。アメリカが日本攻撃のために開発した戦闘機。サイパン、グァムに基地を置き、北海道と九州を除く日本の町々を爆撃した。サイレンの鳴り止まぬ日々の中で最後の年を迎えた。昭和20年3月10日の明け方、東京大空襲があった。真夜中に300機の大連隊。圧倒的な焼夷弾攻撃。高度2000mからの無差別攻撃。隅田川を中心とする東京の下町。密集地を無差別爆撃。2時間で終わった。東京の歴史と運命を一変させた。100万人以上の罹災者と10万人の命が失われた。数時間前まで灯火管制の下で、乏しい食事を分け合い、語り合ったり、ため息を吐いていた1人ひとりの人格が破壊された。人命が虫けらのように奪われていく日々。この10万人からの尊い命に対しての大本営の発表は、『都内各所に火災を生じたるも宮内庁主馬寮は2時35分、その他は8時ごろまで鎮火せり』だった。「その他」の3文字の中に、100万人からの罹災者と、10万人からの命が含まれていた」と述べ、無差別攻撃によって人々が虫けらのように死んでいったことに対する憤りと、国民を欺き、空襲を火災と報じた大本営の情報操作を厳しく非難しました。
 「戦争で犠牲になった日本人は、公式発表では国内で310万人、外地で失われた人命は約2000万人であるが、厚生労働省のデータによると、昭和20年の平均寿命は男子23.9歳。女子37.5歳。翌21年は男子42.6歳、女子51.5歳。明治維新以来、はじめて日本人の平均寿命が50歳を超えた。平和というものはすごいパワーがあることがこのデータからわかる。ちなみに、2004年の日本の平均寿命は、男78.6歳、女85.6歳。女性は世界1、男性は世界2位。戦後60年に渡って曲がりなりにも平和が続いたのは、根本のところに九条があったからといっても言いすぎではない」と述べ、「憲法九条が私どもに与えてくれた贈り物はそんじょそこらのなまやさしいものではない」と九条がかけがえのない国民の財産であることを力説しました。
 早乙女さんにとって座標軸となる言葉は、宮沢賢治の「世界全体が幸福にならないうちは、個人の幸福はない」という言葉でした。この人のあとに続きたいと思い、書くことで戦争勢力と対峙してきた早乙女さんは、「グローバルな理想を実現するために九条がある」と述べ、九条が世界平和にもたらしてくれる役割の重要性について訴えました。
 戦争の犠牲になった民間人に対する保障が置き去りにされていることに触れながら、「軍人、軍属に対する恩給は約1兆円。空襲で身内を亡くした人や体が不自由な人にはビタ一文ない。民間置き去りはいまも続いている。原爆や空襲の犠牲者は靖国神社に祀られていない。東京都慰霊堂には105,400体眠っている。そこに総理がきたことはない」と述べ、人道的施策が欠落している政府の対応を厳しく批判しました。
 憲法制定1年目からアメリカは極東政策の見直しを考え、日本に再軍備を求めてきました。自衛隊の前身の警察予備隊はアメリカに押し付けられたものであり、1950年の朝鮮戦争によって日本は再軍備体制となりました。「日本の軍事費はアメリカに次いで世界で2番目か、3番目。自民党が一番狙っているのは、九条の2項。自衛隊を自衛軍にし、自衛のためと称して国の交戦権を認め、武力行使を認めるのが政府の狙い。2項の改正は、不戦の誓いを捨てて日本をふたたび戦争のできる国にすること。集団的自衛権は集団的交戦権。有事法制は戦時法制。言葉に惑わされてはいけない」と改憲の狙いが九条の2項にあるとの認識を示しました。自衛隊がイラクに出動したことを踏まえ、「日本は銃後に入った」と述べ、法律をごまかしていく流れの中でブレーキとなっている九条を外し、戦争のできる国にするために、軍事力、法整備、教育を法整備する狙いがあることを指摘しながら、なし崩し的に既成事実が先行している現状に警鐘を鳴らしました。「教育基本法の狙いは若者をその気にさせること」と述べ、若者を戦場に送り出すための教育をすることが教育基本法の狙いであることを明らかにしました。
 「5月3日に行われた朝日新聞の世論調査では、改憲する必要があると答えた人は56%(前年53%)ですが、九条に関しては変えないほうがいいと答えた人は51%(前年60%)。10月の毎日新聞の世論調査でも、九条を変えないほうがいいと答えた人は62%。九条に関しては変えないほうがいいと思っている人が半数を超えている。一方、知る権利、プライバシー権、環境権などを憲法に盛り込むべきとする世論調査は賛成が53%(前年46%)。国民の2人に1人は新しい人権を憲法に盛り込むことで憲法を変えたほうがよいと考えている。だが、人権が盛り込まれても九条が壊れてしまうと、扇の要が壊れる。紙を張り替えても、元も子もなくなる。そのことをわかっていない」と述べ、人権が盛り込まれても扇の要である九条が壊れてしまえば人権も壊れてしまうことをわかっていない人が多いとしながら、そのことをきちんと伝えてこなかった戦争体験者の人たちと、学ぶ努力をしてこなかった人たちの双方に責任があると苦言を呈しました。
 どこかの国が攻撃してきたらどうするかという議論に対し、軍隊を捨てた国コスタリカが、隣国ニカラグアの内戦のときも平和主義を守ってきたことに言及しながら、コスタリカのアリアス大統領が中米和平をまとめてノーベル平和賞を受賞したのは、「アリアス大統領の外交が丸腰だったからである」と述べ、「片手に武器を構え、片手に人道支援はありえない。日本がとるべき道もそうでなければならない」と丸腰が最大の防御になるとの認識を示しました。
 「いまの日本はむしろ火付け役になっている。軍事力をもって仮想敵国を作ろうとしている。いかに危険かを煽らないと、国民が納得しないからだ。有事法制を作ると、有事を招く。備えがないのが最強の備え。他国が攻めてくるというなら、とっくに攻めている」と述べ、世界最強の国の軍隊が60年もいることに疑問を呈しました。日本は徴兵制のない国を目指すべきとし、「話して話して話しまくる。話すより先に武力をとるべきではない」と武力の行使をしない非武装を説きました。
 「先進国は貧しい国に武器を売りつけている。核弾頭は世界で36,000発。さらに小型化している。戦争によって地球社会はかつてない危険にさらされている。ベトナム戦争でアメリカ軍が使った枯葉剤・ダイオキシンの後遺症は、戦争をまったく知らない二世や三世にも出ている。イラクで使われた劣化ウランの被害もこれから出てくる」と述べ、戦争が地球にもたらす深刻な被害と、何代にも渡って後遺症に苦しめられる人々の悲惨な状況に言及しながら、武力ではなく、知力、外交、言葉、信頼、相互理解によって世界平和の実現を目指さなければならない、と強く訴えました。そのための羅針盤となるのが九条の2項であると述べ、「すべてはこれから始まる」との認識を示しました。
 戦後60年守り続けてきた九条を子どもたちに渡すために、1人ひとりの行動が求められているとしながら、「すべては1人から始まる。1は微力だが、1があるから2、3がある。0ではなにも事態は変わらない。1は2から3になり、100になる可能性をはらんでいる。これからの世代にきちんとバトンを渡す。そのための原点の1であることを期待したい」と述べ、子どもたちの未来のために、「1人ひとりが勇気をもって行動を起こしてほしい」と訴えました。

弁護士の島田修一さんより、自民党の憲法改正草案についての報告

 自民党から改憲草案が出てきたことに対し、島田さんは「全面改正の形をとった改正案ははじめてなので、条文作りに入ってきたことの意味を深刻に受け止めている」と述べ、重大な側面にさしかかってきたとの認識を示しました。改憲草案の中身について、島田さんは次のように述べました。
 「九条2項の全面削除。そのかわり自衛軍を保持し、防衛、国際活動、治安活動を憲法に明記する。平和憲法の真髄である2項をすべて捨てた上で、具体的な行動を明記し、国際活動を強調する。集団的自衛権という言葉を使わず、国際平和活動、国際協力を持ち出してきた。狙いは、戦前とは違うというイメージを作ること。戦前は単独であったが、今度は単独でないことを強調する。国際協調と言いながら、実際は2国間の協調。アメリカとやる。戦前の侵略を、今度は国際平和を守るためと言おうとしている。戦前と同じだと国民とアジアから反発を受ける。トリックがある。派兵に制約がない。国連決議、集団的自衛権に留まらない。国際貢献の名のもとに自由にできる。国際平和を守るためであり、戦争に行くのではないと嘘をつく。国際貢献というときほど危ないことはない。韓国は国際貢献を憲法に規定し、イラクに派兵している。韓国の政治学者が国際貢献は危ないとメッセージを送っている。民主党は国連決議。自民党はフリーハンド。制約を一切認めないのが眼目になっている。協調。だれと協調するのか。アメリカをおいてほかにはない」
 「アメリカは1945年以来、20回以上戦争をしている。戦争の好きな国。日本がそういうアメリカとどう向き合ってきたか。ベトナム戦争のときは基地を提供し、アフガン戦争のときはインド洋で補給、イラク戦争のときは現地に行って補給活動をしている。イラクから陸上自衛隊が戻ってきても、航空自衛隊は残る。アメリカの戦争に協力し、支援の内容が拡大して地球規模になっている。一緒に引き金を引こうという隠された狙いがある。戦力を認めるということは、軍事大国化の歯止めをなくすこと。人権に重大な影響を与える。基本的人権は公益の前に制限される。反戦運動ができなくなる。国家公務員の言論表現が弾圧される事件が相次いでいる。自衛軍という戦力をもつことによって、国民に対して軍が銃を向けてもかまわない。市民に対して、軍法会議にかけられることが可能になる。前文に日本国民は国家を守る責任があると書いてあるので、徴兵制が可能になる。自衛隊の追認に留まらない、恐ろしい結果を招く。先の戦争に対する反省がない。前文と九条をとることで反省を捨てる。アジアは九条を改正することは過去を正当化するもの、と厳しく批判している」
 政教分離については、「靖国参拝を合憲とする。総理大臣の権力強化。改定3分の2から2分の1にできる。改正のハードルを下げようとしている。戦争をしない国を軍事大国化することによって戦争をする国にする。福祉国家から企業国家へ、国家像の転換をはかる。先の選挙で与党が圧勝した。憲法改正に賛成の議員は84%。3分の2を超えている。民主党は国連決議に限定しているが、前原代表は記者クラブで九条改正を公言している」と述べ、与野党が同じ方向を向いていることに懸念を示しました。また、日本国民は新しい憲法を制定すると書いているだけで、なんのために憲法を改正するのか、その理由を書いていないことに言及しながら、「アメリカと一緒に戦争をしようとは死んでも言えない」と述べ、矛盾、弱点を抱えている今回の自民党の改憲草案の問題点を指摘しました。また、アジアから日本は危険な方向にいっているとの指摘を受け、ソウルでも厳しい批判を受けたことを明らかにしました。
 世論調査の結果から国民の過半数が改憲に慎重であることを踏まえ、「九条は変えなくてもいいという国民が62%。国会の議席と世論にズレがある。このズレを突破できないために、予定を立てることができない。丸腰で国を守れるのか。マスコミがキャンペーンをはったら、世論操作をされてしまう危険性がある。マスコミの動きを注視しなければならない。国民の意識をどうみるか。日本社会は解体状況。年間3万人以上の自殺者が続いている。年収200万の層が増え、若者の2分の1が非正規労働者。閉塞感がある。中高年も厳しい。新しい憲法がなにかやってくれるのではないかという期待感に国民がついていく危険性を否定できない」と述べ、格差社会が広がり、閉塞感にとらわれている国民が、郵政民営化のようにマスコミの世論操作によって惑わされる危険性を指摘しました。全国各地で九条の会が増えていることにもふれながら、草の根運動が広がっていることが同じ過ちを繰り返さない手立てになるとの認識を示しました。
 「いまの日本は人々が孤立し、話し合う場をもたない人がたくさんいるのではないか。支配層の戦略によって、国民の1人ひとりを結びつけない。集団化しない。切り離すことによって、自分の生活のことだけ考える人が増えている。たくさんの人に声をかけ、たくさんの九条の会ができれば、郵政の二の舞を食い止めることができる。九条の会は1年間で3,000を超えた。草の根の運動が広がっている。平和の結集をどう求めていくかが問われている」と述べ、情報操作によって国民があやまった判断をしないように、草の根運動を広げていくことが重要であることを訴えました。
 千代田九条の会の浅野さんから、マスコミ各社に「憲法改正報道に関する要請書」を渡し、憲法改正報道に関し、マスコミが公正な報道をするように要請したとの報告がありました。NHKに行ったとき、「NHKがこのような要請を受けるのは今回がはじめて」と言ったそうです。自民党の改憲草案が出たいま、「正念場を迎えている」と浅野さんは述べ、各方面に積極的に働きかけを行ってほしいと呼びかけました。(ひらのゆきこ)

「平和守る」運動の輪を 「九条の会九重」が発足

 「戦争反対、九条を守りたい」―。一人の少女が話したのをきっかけに親たちが立ち上がり、日本国憲法の改憲を阻むために活動する「九条の会九重」(増田裕子代表、13人)が26日夜、九重町で発足した。
 「九条の会」は、戦争放棄と戦力を持たないことをうたった日本国憲法第九条を守るため、作家の井上ひさしさんや大江健三郎さんらが結成した会。考えに賛同する人たちが全国各地でグループを結成している。
 町内麻生釣で、フリースクール「友愛スクール 大自然」を運営する増田さんが、中学生の娘が漏らした言葉を聞き、「今、憲法改正をすると実際に戦争に行くのは娘たちの世代。そうならないために、声を挙げていかなければ」と一念発起。増田さんが主宰している、母親や養護教諭らの交流グループ「とびらをひらく」のメンバーらに声を掛け、発足に結びつけた。
 この日、町内で開いた会合に13人が参加。ジャン・ユンカーマン監督の「映画日本国憲法」を観賞。参加者から「今の内閣がその気になれば、すぐにでも改憲されてしまいそう。そうなる前に、全国から運動を起こさないと」などの意見が出た。詳しい活動内容はこれから決めるが、ビデオを見たり、話などをしながら憲法の意味や平和社会などの勉強をしていく。
 入会希望者を募集している。平和な世界をつくるため九条を守るという気持ちさえあれば、性別や年齢は問わない。町外の人でもOK。「今ならまだ間に合う。知らないうちに憲法が変わっていたなどとならないように、平和な社会をつくりたいという人が集まって声を挙げていきましょう」と増田代表。入会希望、問い合わせは増田代表へ。[大分合同新聞 2005年11月28日09:55]

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