教科書採択の特殊指定廃止問題

教科書採択について、公取委が特殊指定廃止の方向を打ち出した問題について、関連記事をまとめてみました。

教科書採択について、通常の範囲内で接待を認めるなどということになれば、販売合戦が泥沼化し、混乱を助長するだけ。とくに、最近は、「つくる会」の歴史教科書採択をめぐって、学校現場の教員の意見を周到に排除して、数名の教育委員会だけで採択を決定する傾向が強まっています。そこに、特殊指定廃止で教科書出版社の売り込みが「自由化」されたら、文字どおり「密室採択」になりかねません。

教科書採択は、本来は、実際に教科書を使って教育する先生方の意見を中心にして学校単位で自主的に決定するべきだと僕は思います。

特殊指定廃止に反対意見、教科書協会提出へ(読売新聞 3/24)
特殊指定で解決しない 教科書の廃止方針で公取委(共同通信 3/22)
教科書売り込みの規制緩和 公取委、特殊指定廃止へ(朝日新聞3/16)

特殊指定廃止に反対意見、教科書協会提出へ
[読売新聞 2006年 3月24日 (金) 21:54]

 公正取引委員会が独占禁止法に基づいて、教科書販売の不公正取引を規制した特殊指定の廃止手続きに入ったことについて、教科書会社でつくる社団法人教科書協会は24日、連絡会議を開き、公取委に反対意見を出す方針を確認した。
 近く文案をまとめ、会員などに協力を要請する。
          ◇
 日本出版労働組合連合会(出版労連)は24日、教科書の特殊指定廃止に反対する声明を発表した。

特殊指定で解決しない 教科書の廃止方針で公取委
[共同通信 2006年 3月22日 (水) 21:31]

 教科書採択のため出版社が教育委員会関係者に利益供与するなどの不公正取引を規制する特殊指定廃止の方針を打ち出した公正取引委員会の上杉秋則事務総長は22日の定例会見で、個々の利益供与など企業倫理にかかわる問題は特殊指定で解決できることではないとの考えを示した。
上杉総長は「誤解されているようだが、少しでも利益供与などがあれば独禁法違反になるというわけではない」と説明。特殊指定は個々の行為ではなく、市場に影響を及ぼすような公正な競争を妨げるケースを取り締まるものだと強調した。

教科書売り込みの規制緩和 公取委、特殊指定廃止へ
[asahi.com 2006年 3月17日 (金) 01:16]

 公正取引委員会は16日、教科書の採択に絡んで出版社が教育委員会関係者らに行う営業活動を強く規制した「特殊指定」を廃止する方針を発表した。商習慣の範囲での贈答や接待、出版社が採択関係者に説明会を開いたりすることが大幅に自由化される見通しだ。資金力がある大手出版社が競争で有利になるなど、透明性が優先される教科書選びへの影響を懸念する声が出ている。
 公取委は「規制緩和は時代の流れ」として、不正には国家公務員倫理法や刑法の贈収賄罪などが歯止めになるとしている。4月17日まで一般から意見を募った上で手続きを進める。
 特殊指定は、過剰な競争がふさわしくない商品やサービスで公取委が独占禁止法に基づき行う告示で、7分野が指定されていた。公取委は競争促進の観点から昨年11月、食品缶詰・瓶詰、海運、オープン懸賞、教科書、新聞の5分野で指定廃止の検討に入った。2月末までに教科書と新聞以外は廃止や廃止方針が決まった。見直されていないのは物流と大規模小売業。
 教科書の特殊指定は1956年に告示され、具体的な禁止事項を定めた運用指針で、小中高校などの教科書採択に関連して金品の供与や接待を行うことや、供与を申し出ることなどを禁じている。「教科書では特にそのような行為を排除すべきだとの考えで指定された」(公取委取引企画課)
 しかし、公取委は「教科書の売り込み競争や取引実態も変化し、利益供与などで教科書採択がゆがめられる恐れは著しく減少し、特殊指定の必要性がなくなった」として、規制の簡素化の観点から廃止するという。
 指定が廃止されると、通常の商習慣の範囲内で業者が教委関係者に中元や歳暮を贈ったり、出版社が教科書を紹介する研修会などを自由に開けるようになる。
 教科書の出版社で作る教科書協会は「教科書は内容で選ばれるべきなのに、出版社の資金力に影響される恐れがある」と廃止に反発している。
 これに対し、公取委は一定額以上の接待・贈答を規制した国家公務員倫理法や刑法の贈収賄罪なども歯止めになる、と判断しており、「決して利益供与を奨励するわけではない」と強調している。
 公取委への意見は電子メール(kyoukasho-torihiki@jftc.go.jp)などで募集する。
      ◇
 《教科書の特殊指定が運用基準で禁じている主な行為》

  • 教科書の採択を勧誘依頼するための金銭の提供
  • 採択関係者等の刊行物などへの過大な広告代支払い
  • 物品(教材や書籍なども含む)を贈ること
  • 宴会への招待、接待
  • 観劇、旅行、催し物などへの招待
  • 他社教科書との比較対照を公表すること
  • 他社教科書の内容を批判すること

ほいでもって、これが公正取引委員会の「『教科書業における特定の不公正な取引方法』の廃止についての意見募集」。国民の意見を広く募集すると言いながら、期限は4月17日まで。ちょうど年度始まりで、学校の先生はいちばん忙しい時期です。もっと時間をかけて、きちんと教科書執筆者や教科書出版社、それに各地の学校教員の意見を聞くことができるようにすべきです。

http://www.jftc.go.jp/pressrelease/06.march/060316.pdf

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