指定管理者制度で自殺?

指定管理者制度の導入にともなって、この4月から、鎌倉市の鎌倉芸術館の管理運営が民間に移りましたが、それまで管理運営にあたっていた市外郭団体の事務局長が自殺していたそうです。

<官から民へ>指定管理者制度で犠牲者:神奈川県鎌倉市(JANJAN)

<官から民へ>指定管理者制度で犠牲者:神奈川県鎌倉市
[JANJAN 2006/04/19]

 指定管理者制度の導入に伴い4月1日から鎌倉市の文化ホール「鎌倉芸術館」の管理運営を民間会社に譲ることになった鎌倉市の外郭団体「財団法人鎌倉市芸術文化振興財団」の常務理事・事務局長 田邊順弌さん(64歳)が同日朝、自宅で自殺していたことが明らかになった。一部の財団理事から民間会社との競争に敗れたことを責められ、親元の市からは財政支援を断られる四面楚歌のなかで、職員の大量解雇に追い込まれたことに責任を感じての自殺だった。
 同財団は鎌倉芸術館が開館した1993年に鎌倉市の100%出資で設立、それ以来16年間にわたって芸術館の管理運営に当たってきた。2003年の地方自治法の改正で、公の施設の管理運営に民間事業者が参入できる指定管理者制度が制定されたのを受けて、鎌倉市は今年度から福祉や文化、公園などの11施設に指定管理者制度を導入することにした。それぞれの施設ごとに昨年秋までに公募、選考審査をして指定管理者を決定した。
 鎌倉芸術館については、鎌倉市から年間2億3000万円を超える委託料が約束されており、同財団のほか3団体が指定管理者に応募した。そして、昨年11月の選考審査で、サントリー(株)の子会社サントリーパブリシティサービス((株)、本社・東京)のグループが今年度から5年間の指定管理者に選ばれた。同財団は芸術館とともにこれまでも手掛けてきた鎌倉文学館と鏑木清方記念美術館(いずれも鎌倉市立)の指定管理者は取ったが、鎌倉市からの委託料は芸術館が外れたことで3分の1に激減することになり、13人いた職員のうち7人を整理退職させることになった。

城明け渡しの朝に

 田邊常務は鎌倉市の職員OBで、人員削減など組織・運営の見直しを仕切る実務責任者の立場にあった。関係者の話によると、財団側は市に対して「地域の芸術文化振興という財団固有の役割は残るのだから、組織を維持するために助成金を出してほしい」と要請したが、市側は「指定管理者の仕事」と冷ややかだった。田邊常務は芸術館の指定管理者を逃してから、支援拒否の態度を貫く市幹部と減員が避けられない財団職員との板挟みになって苦しんでいたという。
 財団は芸術館のなかに事務局を置いていたが、4月1日にはサントリーパブリシティサービスに部屋を明け渡すため、前日の3月31日夜11時過ぎまで職員が後片づけに当たっていた。このため田邊常務もこの夜は帰宅が深夜になった。翌4月1日昼過ぎ、田邊さんが起きてこないことを不審に思った夫人が自室で自殺しているのを発見した。「迷惑をかけて申し訳ない」と財団職員に謝罪する趣旨の遺書があった。指定管理者制度導入に伴う軋轢のなかで起こった犠牲者といえる。
 指定管理者制度は、小泉首相の構造改革が目指す「官から民へ」の一環として地方自治体に導入された。経費節減という目的の一方で、「利益優先の民間会社に文化事業や福祉活動の公益性を追求できるのか」「税金でつくった施設で民間会社が儲けていいのか」などとさまざまな議論がある。(赤城隆夫)

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