アメリカは「靖国」をどう見るか

昨日付の「朝日新聞」のオピニオン欄で、ジョン・ホプキンス大学ライシャワー東アジア研究所長のケント・カルダー氏へのインタビューが行われています。「日米同盟の深化」を評価する立場からのものですが、それでも、靖国派の主張が国際的には立場のないものであることがインタビューの端々に表明されています。(カルダー氏は、モンデール、フォーリー両駐日大使の特別補佐官もつとめた人)

一番端的なのはこの部分。

 靖国神社の歴史解釈は、第2次世界大戦における日本の立場を正当化し、美化しているものではないでしょうか。米国内でこれがはっきりとした問題になれば、かつて日本とたたかった米国人には、この歴史観は受け入れにくい。異なった歴史解釈の上に、安定した同盟関係を築くのはむつかしいでしょう。この問題が顕在化して、多くの米国人が靖国神社を知るようになると、日米関係の障害となりかねません。

しかし、カルダー氏は日米関係だけで靖国史観を論じているのではありません。

たとえば、小泉首相の靖国参拝問題が日本外交にとってどういう意味を持つのかとの問いに、次のように指摘しています。

 日本にとっては不利な状況になっています。日中の競争は、日本がもっと道徳的な高みに立てる分野でやるべきです。国際世論の戦いで日本が負ける可能性のある歴史問題をわざわざもちだすことはない。

 歴史問題はこうした戦後日本が築き上げた肯定的なイメージを損なっている。国連安全保障理事会の常任理事国入り問題でも、日本の扱いはフェアでないと思う。日本は責任ある地位を与えられるべきです。だが、歴史問題を抱える限り、現実にはむつかしくなるのではないでしょうか。

歴史問題が、なぜ日本が道徳的な高みに立てない問題であり、「国際世論の戦いで日本が負ける可能性のある」問題であるのかは、直接語られていませんが、それは言うまでもないことだからでしょう。

さらに、“日米関係がよければいい”という考え方について、こんな指摘も。

 歴史問題のために、日本が米国としか話ができないということになると、米国にとって日本の意義はかなり小さくなります。大事なのは、韓国な東南アジアを含め、アジア全体できちんとした役割を日本が果たすことです。

 日本は中国に対する影響力を失っているため、ロシアや東南アジア、他の地域に対する日本の影響力も低下しています。外交とはそういうものです。日本が米国にしか頼れないとなると、日本の米国に対する発言力すら低下します。一つの選択肢しか持たない国は、意見を尊重されなくなる可能性がある。現実主義者ならだれでもわかることでしょう。

さて、この「だれでもわかること」がわからないのはだれでしょう?

※引用はすべて2006年5月4日付「朝日新聞」から。

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