経済同友会が靖国参拝再考を求める提言

経済同友会が、小泉首相の靖国参拝の再考を求める提言を発表。財界首脳部から再考を求められて、さて小泉首相はどうするつもりでしょう?

経済同友会の提言は、これ。
今後の日中関係への提言―日中両国政府へのメッセージ―:経済同友会

で、提言を読むと、まず現在の日中の経済的関係について、次のように指摘しています。(※以下、引用は経済同友会の提言から。)

 現在、中国における在留邦人数は、香港を含め10万人近く、日本からの対中直接投資は、2005年度末までの累計で533億米ドル(実行ベース)、設立された企業数は3万5千社に及んでいる。また、中国側統計によれば、日系企業による中国での納税額は04年度ベース490億元、日系企業による直接・間接雇用人員は920万人と発表されている。
 日本政府の統計でも2005年は対中貿易額が24兆9491億円、対米貿易額が21兆8761億円で、2004年以来、中国は我が国にとって最大の貿易パートナーとなっている。

このように、日中両国の経済・貿易関係が拡大してきている事実をふまえて、次のように、現下の日中の政治的関係(いわゆる「政冷経熱」)について、次のような認識を明らかにしています。

 このように、互いの経済の発展ならびに両国間の経済・貿易の緊密度の深化にもかかわらず、一方、その政治面および両国の国民感情という面に於いては、極めて憂慮すべき情勢にあり、深刻に受け止めねばならない。いずれこの政治関係の冷却化が、両国間の経済・貿易面にも負の影響を及ぼすであろ
うことは想像に難くない。
 この状況を打開するためには、日本と中国が両国関係の明確なスタンスを改めて共有し、両国の共通利益を追求・拡大し、WIN-WIN(互恵・共栄)の関係を構築することが肝要である。

ここから、首相の靖国参拝の再考を求めるという提言が出てくるわけです。関係部分は、以下の通りです。

 第一の首脳レベルでの交流を早急に実現する上で大きな障害となっているのは、総理の靖国神社参拝問題である。この問題については、わが国が国際社会の中で占めている重要な地位と担っている責任に鑑み、自らの問題として主体的かつ積極的に解決すべきことであると考える。
 参拝の目的が、「心ならずも家族を残し国のために命を捧げられた方々全体に対する衷心からの追悼を行なうことであり、また将来にわたって平和を守り二度と悲惨な戦争を起こしてはならないという不戦の誓いを堅持すること」にあるとの小泉総理の考えは日本国民に広く支持されるものである。
 しかし、「不戦の誓い」をする場として、政教分離の問題を含めて、靖国神社が適切か否か、日本国民の間にもコンセンサスは得られていないものと思われる。総理の靖国参拝の再考が求められると共に、総理の想いを国民と共に分かち合うべく、戦争による犠牲者すべてを慰霊し、不戦の誓いを行う追悼碑を国として建立することを要請したい。

「首相の靖国参拝再考を」 経済同友会が提言(朝日新聞)

「首相の靖国参拝再考を」 経済同友会が提言
[asahi.com 2006年05月09日21時20分]

 経済同友会は9日、小泉首相の靖国神社参拝に再考を促すことなどを盛り込んだ「今後の日中関係への提言」を発表した。経済団体が政策提言として、首相の靖国参拝に異議を唱えるのは異例だ。民間人を含む戦争犠牲者すべてを慰霊する無宗教の追悼碑を、国が建立することも提案。福田康夫氏が官房長官時代につくった私的諮問機関が提言した国立追悼施設構想が下敷きになっているという。9月の自民党総裁選にも影響を与える可能性がある。
 提言は、日中の首脳会談が開けない現状に対して「極めて憂慮すべき情勢」との認識を示し、「中国等アジア諸国に少しでも疑義を抱かせる言動を取ることは、戦後の日本の否定につながりかねず、日本の国益にとってもプラスにならないことを自戒すべきだ」とした。
 そのうえで、小泉首相の靖国参拝が、首脳レベルでの交流再開の障害となっていると指摘。「『不戦の誓い』をする場として、政教分離の問題を含めて、靖国神社が適切か否か、日本国民の間にもコンセンサスは得られていないものと思われ、総理の靖国参拝の再考が求められる」と明記した。
 中国にも、日本の反省やアジアへの貢献についての理解、客観・公平な愛国教育などを求めた。
 北城恪太郎代表幹事(日本IBM会長)は会見で「参拝は日本が自主的に判断する問題で、日本独自の見解として、参拝を控えた方がいいということで提言した。日中両国の国民が対立的な感情を持つことは安全保障の観点でも好ましくなく、経済の安定的な発展もない」と述べた。
 同友会は4月21日の幹事会で提言を議論。北城氏は「約270人の幹事のうち約70人が出席し、賛成が約60人、反対が11〜12人程度の賛成多数で了承した」と説明。提言を採決にかけるのは異例で、北城氏が代表幹事になって初めてという。
 議論では「9月の首相交代を前にした時期にこうした提言を出すべきではない」「首相の靖国参拝に賛成」などの意見もあったという。
 首相の靖国参拝を巡っては、前経済同友会代表幹事の小林陽太郎氏(富士ゼロックス相談役最高顧問)が04年、記者会見で「個人的にはやめていただきたい」と発言。自宅に火炎瓶が置かれたり、実弾が郵送されたりする事件が起きた。
 日本経団連の奥田碩会長も、首相の靖国参拝には「近隣諸国への配慮が必要」などと、懸念を表明している。

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  1. かわうそ実記 - trackback on 2006/05/11 at 14:11:03

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