追悼 峯岸賢太郎先生

都立大学の峯岸賢太郎先生が、11日、亡くなられていたことを新聞で知りました。

峯岸先生とは、学生の頃から部落研の研究会でしばしばお世話になりました。最近は僕が研究活動を離れたため、年賀状のやりとりをさせていただいていただけでしたが、2年前、佐々木潤之介先生の偲ぶ会で久しぶりにお会いしたら、すっかり頭が白くなって背中が曲がってしまっておられて、びっくりしました。それでも、お酒を片手に佐々木先生の研究について熱弁をふわれておられたのが印象的でした。また、最近の年賀状に「最近、地域の九条の会を始めました」などと楽しいそうに書かれていて、まさに意気軒昂という感じでした。

日本近世史が専攻だったのに、2000年には『皇軍慰安所とおんなたち』(吉川弘文館)を出版。こういうところにも、積極的に研究を切り開いていく先生の姿勢が現われていたと思います。

まだ62歳。まったくもって残念でなりません。

峯岸賢太郎氏著作一覧

【著書】

  1. 『一揆』3(青木美智男編、東京大学出版会、1981年5月)
  2. 『日本史研究の新視点』(日本歴史学会編、吉川弘文館、1986年11月)
  3. 『近世身分論』(単著、校倉書房、1989年6月)
  4. 『近代に残った習俗的差別』(単著、兵庫部落問題研究所<ヒューマンブックレットNo.5>、1990年11月)
  5. 『近世被差別民史の研究』(単著、校倉書房、1996年9月)
  6. 『皇軍慰安所とおんなたち』(単著、吉川弘文館<歴史文化ライブラリー87>、2000年3月)

【論文】

  1. 幕藩制前期における年貢百姓払制――信州佐久地方を事例として(『人文学報』通巻89号、1972年3月)
  2. 幕藩制的賎民身分の成立?1?(『歴史評論』通巻307号、1975年11月)
  3. 幕藩制的賎民身分の成立?2完?(『歴史評論』通巻309号、1976年1月)
  4. 江戸における「非人」支配の確立(『人文学報』北島正元教授記念論文集、通巻114号、1976年3月)
  5. 報告 幕藩制的賎民身分の成立について(『部落問題研究』第13回部落問題研究者全国集会報告、通巻48号、1976年06月)
  6. 元号問題と国民の歴史意識(『歴史評論』< 特集>近・現代史における天皇、通巻315号、1976年07月)
  7. 「道頓堀非人関係文書」と幕藩制賎民史研究(『部落問題研究』通巻51号、1976年10月)
  8. 前近代部落史研究の成果と課題(『部落問題研究』< 特集>1976年部落問題研究の成果と課題、通巻55号、1977年10月)
  9. 日本史資料センター問題(『地方史研究』<150号記念特集>戦後地方史研究・運動の綜括と展望通巻27巻6号、1977年12月)
  10. 近世史部会――今野真「藩体制と知行制度」、池勇夫「外圧と「蝦夷地」支配」、高埜利彦「幕藩制国家と本末体制」(『歴史学研究』1979年度歴史学研究会大会報告批判、通巻475号、1979年12月)
  11. 日本史(『歴史評論』< 特集>歴史学とのであい、通巻361号、1980年05月)
  12. 身分論覚書――大会討論を深めるために(『歴史評論』歴史科学協議会第14回大会準備号――歴史における身分と社会、通巻364号、1980年08月)
  13. 部落の生活史?22?弾左衛門役所の経済支配とその動揺(『部落』通巻36巻5号、1984年05月)
  14. 近世前期の門屋・名子について(『人文学報』通巻185号、1986年3月)
  15. 報告 近世における部落差別の習俗的形態――部落差別の態様とその変化?1?(歴史1(前近代)分科会)(『部落問題研究』第23回部落問題研究者全国集会報告、通巻87号、1986年06月)
  16. 近世賎民制の基礎構造(『部落問題研究』通巻89号、1986年12月)
  17. 近世身分論再説――高木昭作氏の反批判に答える(『歴史評論』通巻459号、1988年07月)
  18. 近世の賎民史研究の方法について――畑中敏之氏の批判に答える(『部落問題研究』通巻96号、1988年12月)
  19. 近世賎民と旦那場(『日本歴史』通巻492号、1989年05月)
  20. 近世国家の人身売買禁令――安良城盛昭氏の奴隷制否定説への批判(『歴史学研究』通巻617号、1991年3月)
  21. 報告 近代日本の部落問題(『部落問題研究』< シンポジウム>近代社会と身分問題、通巻124号、1993年07月)
  22. 「身分制社会と市民社会――近世日本の社会と法」塚田孝(『歴史学研究』通巻659号、1994年06月)
  23. 江戸の被差別民(『歴史評論』< 特集>近世のなかの江戸、通巻536号、1994年12月)
  24. 虚妄の部落史――畑中敏之氏の議論への批判(1)(『人文学報』通巻287号、1998年3月)
  25. 報告1 部落問題の過去・現在・未来(シンポジウム――差別と人権と歴史学)(『人文学報』通巻287号、1998年3月)
  26. 批判と反省 下重清氏の批判に答える――近世国家の人身売買禁令をめぐって(『歴史学研究』通巻737号、2000年06月)
  27. 「慰安婦」問題と将兵の加害責任(『本郷』通巻29号、2000年9月)
  28. 歴史のひろば:部落問題についての旧理論の最終的解体(『歴史評論』619号、2001年11月)
  29. 穢れ観念と部落差別(上)――その不可分性と穢れ観念の位置(『部落問題研究』通巻161号、2002年8月)
  30. 穢れ観念と部落差別(下)――その不可分性と穢れ観念の位置(『部落問題研究』通巻162号、2002年10月)

※国立国会図書館のデータを検索。

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  1. 多元主義者

    「都立大学部落研」に所属されていたのでしょうか?実は私は、83〜85年に付属高校にいました。当時生協の入り口のところから、大学の部室棟の窓に「部落研」の文字がみえたことを思い出します。
    都立大付属高卒業後、地方の国立大学に進学して、私自身も部落研に入ったのです。
    「部落研」を通じて、部落差別に限らず、人権や環境・反戦運動に関わった当時が懐かしいです(学内には『セクト』もいなかったので余計な気遣いも不要でしたし)。

    その都立大学も、数年前にかなり強引に「首都大学」に、付属高校も「中高一貫化」されて「桜修高校」になってしまいました(中学部ではなんとあの『つくる会の教科書』が採用されました)。

  2. 多元主義者さん、初めまして。
    残念ながら都立大部落研ではなく、峯岸先生にお世話になったのは「東京部落問題研究会」というところです(研究者だけでなく、働いている人や院生もいて、なかなかユニークな研究会です)。
    でも都立大には何度も通ったことがあります。そういえば、附属高校も併設されてましたね。都立大学前駅からの坂が、けっこう急で、登るのが面倒だったのを覚えています。

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