いわゆる1つのど展開 山崎圭一『リオのビーチから経済学』

山崎圭一『リオのビーチから経済学』(新日本出版社)

ラテン続きということで、新藤通弘『革命のベネズエラ紀行』のあと、山崎圭一・横浜国大教授の『リオのビーチから経済学 市場万能主義との決別』(新日本出版社)を読みました。

タイトルから、ブラジル経済を分析した本、あるいは開発経済学の立場からの新自由主義経済学批判という印象を持たれるかも知れませんが、読んでみると、いま経済学を勉強するなら、これぐらいのことを視野に入れて考えてほしいという著者の熱いメッセージ、という感じでした。経済学というと、数式や理論が飛び交うけれど、そういう数式や理論が経済学なのではない。それぞれの地域で、どんな人たちがどんなふうに働き、どんな生活を送っているか、そういう具体的なことを調べ、考えるのが経済学なのだ、ということを、発展途上国の貧困の問題やブラジルの実態を織り交ぜながら、くり返しくり返し強調されています。

1962年生まれと言うから、大学の先生としてはまだまだ若手の著者が、大学の講義で、いまどきの学生に向かって、口角泡を飛ばしながらど展開している、そんな光景が目に浮かびそうです。(^_^;)

第1章では、著者自身の初めての海外渡航(ブラジル行き)の体験を紹介しながら、勉強の目的は「何かが分かるようになる」ことではなく、「何が分からないかが分かるようになる」ことだということが強調されています。世の中、「○×式発想」では片づかない、自分で問題を発見して、自分で答えを探す。それが「大人の考え方」だと強調しながら、著者は、「難しいとは知りつつも、高校生ぐらいの読者には少し背伸びをしてもらおうと思った」と書いています。

え、これで高校生に読ませようっていうのはちょっとあまりに大胆じゃないのかなぁ、と思ったりもしますが、ともかく、この本は、そういう「大人の考え方」の世界に読者をぐいぐいと引きずり込んでゆく魅力にあふれています。

というわけで、途上国の実態やブラジル経済の話もいろいろ登場しますが、そういう現実問題だけでなくて、新古典派経済学の基本的な考え方に対する批判もちゃんと登場していて、現実→理論→現実の往復運動を意識して書かれているところが、「リオのビーチから経済学」というタイトルの理由になっているのだと思います。

ということで、ベネズエラ紀行の新藤さんもそうだけれど、ラテンアメリカを研究する人って、どうしてこんなに熱いんだろう、と、ついつい余計なことを考えてしまう一冊でした。(^_^;)

【書誌情報】著者:山崎圭一/書名:リオのビーチから経済学―市場万能主義との決別/出版社:新日本出版社/発行年:2006年3月/定価:本体1600円+税/ISBN4-406-03254-1

ということで、こんどは、水岡不二雄『グローバリズム』(八朔社、2006年5月刊)を読み始めています。水岡先生の専攻はもともと地域経済論だったはず、いったいいつグローバリズム論に変わったんだろう?などと思いつつ。
↑とりあえず第4章まで読みましたが、率直に言って、新自由主義に対する批判は、たんなるぶっ叩き批判で役に立ちません。わざわざ読んでみる必要はないと思います。(^_^;)

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