ノート:宮地正人『日本通史<III> 国際政治下の近代日本』(2)

本書の篇別構成。

近代日本の成立(開国?日清戦争まで)
日本帝国の確立(日清戦後経営?満州事変の勃発まで)
軍部ファシズムと太平洋戦争(満州事変?日本の降伏まで)
戦後日本の展開(敗戦?)

それぞれの時代の大枠的な特徴は、それぞれの篇の冒頭に置かれている「時代の扉」で明らかにされている。著者が、「基本的歴動向の論理的展開」をどうとらえているかが示されている。

近代日本の成立「時代の扉」

  • 「非欧米型社会における前近代的諸機構の解体過程と国民国家の形成、社会の資本主義化を考えよう」とする場合、日本の過程は「ひとつの古典的な典型例となっている」。
  • 東アジア地域で欧米列強が対峙したのは「相当に民族的結集をとげた強固な封建国家」だった。全国的な国内市場。豪農層の存在と社会的文化的力量。「封建支配層は民衆の犠牲において外国勢力と取引きすることはもうできなかった」。
  • 維新変革期の諸事件の必然的展開――ペリー来航と幕政改革、ハリスの条約改交渉と条約勅許拒否、井伊政権の誕生と安政の大獄、桜田門外の変と宥和政策の再浮上、島津久光の挙兵上京と幕府権威の崩壊。一つ一つの事件を経るたびに、「事態はより広い舞台で展開してゆくようになり」、後戻り不可能に。
  • 維新政権の内部矛盾の急速な展開。→廃藩置県クーデターでいちおうの終止符。その後、征韓論分裂、台湾出兵・日朝修好条規締結=東アジアにおける国家威信の確立を権力政治的に実現した岩倉・大久保政権による藩閥権力の確立。
  • そこから完全に排除された諸勢力の連合・提携、藩閥官僚的国家構造の改革運動の展開(=自由民権運動)。
  • 自由民権運動の要求=国会開設、国民代表による予算・法律の審議制度を国家機構の中にとり込むことによる、天皇制国家の基盤安定化。
  • このときまでに民権運動内部から急進主義的・民主主義的勢力は除去。→国権主義に主導権
  • 日清戦争の勝利→帝国主義世界体制を作りあげる上で大きな役割を果たす。帝国主義列強の矛盾を利用して、不平等条約を廃棄。日本が積極的に加わることによって、帝国主義世界体制がはじめて成立した。それ以降、被抑圧諸民族の独立・解放にとって最大の障害物に。

幕末に欧米列強が対峙したのが強力な封建国家だったという問題については、最近、「日本の科学者」に宮地さん自身が書いている。参照すべし。

豪農の力量の評価について。佐々木さんとの関係は? どこかで言及してないか?

日清戦争で日本が勝ったことが、帝国主義世界体制を作りあげる上で大きな役割を果たした、日本が積極的に加わることで帝国主義世界体制がはじめて成立した、という視点の重要性。

ちなみに、宮地さんの明治維新論は、有隣堂書店の月刊情報誌「有隣」No.547の座談会「明治を読み解く ―『ビジュアル・ワイド 明治時代館』刊行にちなんで」のなかで、宮地さん自身が分かりやすく、イメージ豊かに語っている。

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