佐々木先生の本の紹介を書きました。

佐々木潤之介先生の『民衆史を学ぶということ』(吉川弘文館、2006年5月刊、本体2300円+税)の短い紹介を2本、雑誌に書きました。

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佐々木潤之介著『民衆史を学ぶということ』

 二年前に亡くなった著者の論文集です。単行本未収録の論文が「近世の国家と天皇」「近世社会の展開と民衆」「近世の技術と社会」「現代と歴史学」の四つのテーマにまとめられています。それらを読むと、社会をささえる民衆たちの営みと、社会経済史的あるいは国家史的な枠組みとを結びつける著者の歴史の構想力の大きさをあらためて強く感じます。
 また、学生を前にした講演「現代が見えてくる歴史学」(本誌97年2月号掲載)では、歴史学が現実との深いかかわりのなかで発展してきたことを、みずからの体験をとおして説き明かしています。そこで言及された侵略戦争と歴史学の問題は、「靖国史観」が問題となっている現在でも、非常に新鮮に伝わってきます。
(『前衛』2006年7月号掲載)

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佐々木潤之介『民衆史を学ぶということ』

 本書でえがかれる民衆の姿は、力強く、また大変生きいきしています。たとえば、「松の愬(うった)え」「『名子抜け』をめぐって」で紹介された、中世来の隷属的身分から抜け出そうとする農民たちの姿。幕藩体制のもとで「小農自立」がはかれたといっても、それは自立を求める隷属農民たちの努力なしにはありえなかったものです。また、古老・篤農の手による農書が広く普及していった事実は、在来技術の発展をささえた民衆の日々の営々とした努力を感じさせてくれます。
 歴史学の課題は、「歴史の変動をになうもの」としての「歴史的民衆」の探究にこそあるのではないか。「戦後歴史学の展開と現在」(本誌97年11月号掲載)と「現代が見えてくる歴史学」(『前衛』同年2月号)からは、2年前に亡くなった著者の思いが強く伝わってきます。
(『経済』2006年8月号)

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