『使い捨てられる若者たち』

スチュアート・タノック著『使い捨てられる若者たち』(岩波書店)

『ニッケル・アンド・ダイムド』に続けて、アメリカの下流労働者の実態を取り上げた本です。取り上げられているのは、米国の大都市「ボックスヒル」のスーパーマーケットとカナダの大都市「グレンウッド」のファーストフード店で働く若者たちです。

大学生なら、卒業後、自分が本当に就職する仕事は別にあって、スーパーマーケットやファーストフードでの労働は、文字通り「腰かけ仕事」です。他方、生活のために、こうした職場で働くことを余儀なくされている人たちもいます。短期のアルバイトで、安い時給で、若者たちが次々と入れ替わりながら働いていく、そうしたことを前提にして成り立っている職場、ということもできます。
しかし、本書で取り上げられた職場は、1つの点で、日本の同じようなスーパーマーケットやファーストフード店とは大きく違っています。それは、職場に労働組合があること。もともと、本書の原題は、「働く若者たち――労働組合が結成されたファーストフード店とスーパーマーケットの職場」というもので、著者の考察の1つは、それぞれの労働組合が若者の組織化にどのように取り組んでいるか、それは成功しているかどうか、成功しているとしたら成功の要因は何か、うまくいってないとしたらその原因は何か、というところに置かれています。その意味では、『使い捨てられる若者たち』という邦訳題名から想像するものと、ちょっと中身が違っているかも知れません。

若者たちが、店のマネージャーなどから、小突き回されるように働かされている様子がリアルに描かれています。また、こういう若者の仕事って、一番の単純労働だと思われているし、ファーストフードの仕事なんかまるきりマニュアル通りにやるだけに思えますが、実際には、それなりに、いろんな“熟練”があって、意外となれるまで大変だったりするのが細かく取材されています。それを読むだけでも、結構面白いです。(^_^;)

【書誌情報】著者:スチュアート・タノック/訳者:大石徹/書名:使い捨てられる若者たち――アメリカのフリーターと学生アルバイト/出版社:岩波書店/刊行年:2006年3月/定価:本体2600円+税/ISBN4-00-001400-5

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