安倍首相、「ホワイトカラー・エグゼンプション」法案、通常国会への提出見送る

速報です!! 安倍首相が、「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」を導入する法案の通常国会への提出を事実上見送ると発言しました。ヽ(^^@)/

最近のことでいえば、ここまで財界、政府、厚労省あげて「やる、やる」と言っていたのに、法案提出を断念させたのは、まさしく世論の勝利です。

ふり返ってみれば、日本経団連「ホワイトカラー・エグゼンプションに関する提言」を発表したのは、一昨年(2005年)の6月21日でした。そのときは、世間的には「ホワイトカラー・エグゼンプションって何?」という雰囲気だったのに、いち早く取り上げて警鐘を鳴らしたのは、日本共産党の志位委員長でした。その年の7月20日の演説会で、「『君も今日からエグゼンプションだね』と言って、肩をたたかれたら、いくら働いても残業代がでない」と、非常に分かりやすく紹介しました。

で、僕は、この話を聞いて「ホワイトカラー・エグゼンプション」って何だろうと思い、日本経団連のホームページなどをさっそく調べて、7月22日にこのブログで取り上げました。いらい、Googleで「ホワイトカラー・エグゼンプション」を検索すると、僕の記事が、3位か4位に上がってくるほど、たくさんのアクセスをいただいてきました。m(_’_)m

首相「労働時間規制除外制、現段階で国民の理解得られず」(NIKKEI NET)
労働時間規制除外、通常国会に提出を=経団連会長(朝日新聞)

それから、約1年半。去年10月の連合の調査では、7割が「全く知らない」と答えるような状況だったのに、ここに来て一気に関心が盛り上がり、スポーツ新聞やSPA!のような軟派な週刊誌でも取り上げられるようになりました。テレビのニュース番組でも、「残業代が出なくなる」などと、当たり前のように報道されています。こうした関心と疑問、不安、反対の声の広がりが、法案提出を見送らせる原動力になったことは明らかです。

しかし、まだ油断はできません。あくまで通常国会への法案提出を見送っただけで、「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」の導入自体をあきらめた訳ではありません。日本経団連会長は、「早く実現してほしい」と重ねて要求しています。だから、これで安心せずに、完全に断念させるまでさらに反対世論を盛り上げてゆきましょう。それと一緒に、「サービス残業は当たり前」という職場のルール違反をなくして、事実上の「ホワイトカラー・エグゼンプション」もなくしましょう。

首相「労働時間規制除外制、現段階で国民の理解得られず」
[NIKKEI NET 2007/01/16 18:28]

 安倍晋三首相は16日夕、首相官邸で記者団に対し、一定条件を満たす会社員を労働時間規制から外す「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制度について、「働き方の問題だから働く人たち、国民の理解が不可欠で、現段階で国民の皆さまの理解が得られているとは思わない」と述べた。同制度を導入するための労働基準法改正案を巡り、自民党の中川秀直幹事長が同日の記者会見で次期通常国会提出は困難との認識を示していた。
 首相は「やはり、国民の皆さま、働く人たちの理解がなければうまくいかない」と語り、通常国会期間中に国民の理解を得られる見通しについては、「今の段階では理解を得られていないと私は考えている」と繰り返した。〔NQN〕

労働時間規制除外、通常国会に提出を=経団連会長
[asahi.com 2007年01月09日18時15分]

 [東京 9日 ロイター] 日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は9日の定例会見で、一定の条件を満たす会社員を労働時間規制の対象から外す「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」について、25日から始まる通常国会において関連法案を提出するよう要望した。同制度を巡っては、与党内から提出見送りを求める声が強まっているが、御手洗会長は、「多様な働き方の一つとして承認してもらいたいと思っている」と述べた。
 同制度では、高収入の一部のホワイトカラーを対象に、1日8時間、週40時間の労働時間規制の対象から外し、残業代の支払い義務をなくす。成果主義の浸透などを背景に経済界が導入を要望。昨年12月末に労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)が導入を適当とする報告書をまとめた。ただ、労働界が猛反発しているほか、民主党も反対姿勢を明確にしており、与党内には、夏の参院選への影響を懸念し、法案提出を先送りすべきとの声が高まっている。
 御手洗会長は、反対の意見が強まっていることについて、「(制度の)乱用への心配があると思うが、そうしたことは排除されるべき」と強調。同制度について「裁量労働をやりやすくする。通常国会への提出を期待しており、早く実現してもらいたい」と語った。

ちなみに、先日公表された日本経団連の「優先政策事項」でも、第7項「個人の多様な力を活かす雇用・就労の促進」で、「ホワイトカラーエグゼンプション制度」の導入などが上がっています(同解説)。また、1月1日に発表された「御手洗ビジョン」でも、「労働事情改革」として、「有期雇用契約の拡大、裁量労働制、ホワイトカラーエグゼンプションなどの推進により、多様な働き方を可能にする」とうたっています。それだけ、財界は簡単にあきらめはしない、ということです。

ところで、NIKKEI NETのIT-PLUSで、宋文洲氏(ソフトブレーン・マネージメントアドバイザー)が、「サービス残業」の横行する「日本は昔からとっくに実質的な『ホワイトカラー・エグゼンプション』になっている」という、ナイスなコラムを書いておられます。
日本はもともとホワイトカラー「エグゼンプション」の国だ【コラム】 ビジネス-最新ニュース:IT-PLUS

「私は『ホワイトカラー・エグゼンプション』の理想自体には賛成です」という立場からのものですが、「基本給をわざと安くし、残業しないと現在の生活を維持できないのは一種の強制残業」「『子供に会いたくない。家族と一緒に居たくない。自分の時間を持ちたくない』と考える日本人は少ないはず」「残業しなくてもこれまでの収入がもらえるならば、反対する労働者はどのくらいいるだろうか」と、安い賃金で長時間労働を強いられる日本の異常な働き方をずばり指摘されています。

その中で、宋氏も「近年、日本にもグローバル化の波が押し寄せ、労働基準法の順守が厳しくなった」と指摘されていますが、この点で興味深いのは、共産党の「しんぶん赤旗」1月6日付にのった昆弘見記者の「焦点論点」という論説です。

昆記者は、「ホワイトカラー・エグゼンプション」が、なぜ2001年7月に政府機関の検討のテーブルに乗せられたのか? という“謎”を解き明かしています。すなわち、その3カ月前の01年4月に、厚生労働省がサービス残業根絶の通達を出したことが、その原因だというのです。

最近、新聞でも、いろんな企業が労働基準監督署の指摘を受けて、未払いの残業代を支払ったというニュースが取り上げられますが、そのきっかけになったのがこの通達です。いらい、2004年度226億円、2005年度233億円など、5年間で561企業851億円の残業代が支払われています。

この通達は、これくらい“威力抜群”の通達なのです。だから、財界・大企業にしてみれば、何としてもこの通達を無きものにしてしまいたい、そこで、そもそも、労働基準法による労働時間規制の枠自体を無くしてしまえ! ということになった、というのが昆記者の“答え”です。

そう考えると、いまここで安倍首相が法案提出を見送ったからといって、これで簡単にあきらめるはずがないことも明白でしょう。

焦点論点 ホワイトカラーエグゼンプション導入/強引な決定の裏にあるもの
[しんぶん赤旗 2006年1月6日]

 厚生労働省の労働政策審議会は昨年末、毎日8時間を超えて働いても残業代が出なくなる「ホワイトカラーエグゼンプション」という新制度の導入を決めました。労使の委員が真っ向から対立し、まとめる状況になかったにもかかわらず、強引に押し通したやり方といい、中身といい、異常としかいいようがありません。
 労働者委員が「新たな制度の導入は認められない」と明確な態度表明をしているのに、まったく聞く耳もたず。厚生労働省の姿勢は、最初から導入ありきで固まっていました。そのことは、新制度がいつ、誰が、何のためにいいだしたのかをみればあきらかです。

閣議決定ありき

 ホワイトカラーエグゼンプションがはじめて政府機関の検討のテーブルに乗ったのは、2001年7月24日、オリックスの宮内義彦氏ら財界人を中心に構成する総合規制改革会議(首相の諮問機関)が出した「重点6分野に関する中間とりまとめ」という文書でした。このなかの人材(労働)の分野で、「多様な就業・雇用形態に対応」するために、「ホワイトカラー・イグザンプションなどの考え方も考慮」した労働基準法の見直しを主張しています。
 それが同年12月の第1次答申、翌02年3月の「規制改革推進3カ年計画」にもりこまれて閣議決定されていきます。「3カ年計画」は、何度か改定されて閣議決定になっています。このようにホワイトカラーエグゼンプションの導入は、財界が仕掛け、閣議決定という強いしばりがかかった状態で労働政策審議会にもちだされたものです。
 しばりだけでなく、規制改革・民間開放推進会議(総合規制改革会議の後身)からの直接の圧力も加えられました。昨年6月に審議会の労働条件分科会で労使の意見が対立し、厚生労働省の対応の不手際もあって、審議がストップしたことがありました。これに怒った推進会議が7月21日、法整備は閣議決定だと主張する異例の「意見」を出しています。
 労働政策審議会は、利害が異なる労使の意見調整の場。そこに途中で政府機関が横やりを入れるのは異常です。しかも審議の中身について「数多くの疑問や懸念をいだかざるを得ず」と文句をいい注文をつけているのがなお異常です。
 たとえば労働契約法制について「労働者の個別同意がない限り、労働条件の変更ができないという趣旨を含むのであれば…疑問がある」と。またホワイトカラーの労働時間法制についても「新たな制度を創設したとしても要件を厳格に規定するあまり、それが利用されない(利用できない)というのでは意味がない」などなど。
 企業の論理をむき出しにして、労働側の主張など聞く必要はないという姿勢がありありです。この威圧的な言動からは、労働のルールを取り仕切るのは、厚生労働相の諮問機関ではなく首相官邸だということを思い知らせる意図がみえます。

衝撃与えた通達

 財界が残業代取り上げのホワイトカラーエグゼンプションの導入に執着するのはなぜか。総合規制改革会議が最初に検討をいいだしたのが01年7月だったことに重要な意味があります。
 その3カ月前の01年4月。厚生労働省がサービス残業根絶の通達を出しました。
 財界・大企業にとって衝撃的な大事件でした。受け入れがたい最大の問題は、労働時間の管理責任が企業にあることを明確にしていることです。しかも労働時間の把握について、タイムカードやICカードを使って始業から終業時刻まで毎日きちんと確認し、記録することなど細かく義務付けています。
 これは労働者と家族の告発の広がりとあわせて、日本共産党が、残業時間を労働者に「自主申告」させるやり方がサービス残業の原因だとして、労働時間の把握と管理を企業に義務付けるよう国会で粘り強く追及してきた結果です。
 この通達は絶大な威力を発揮し、労働基準監督署の指導が強まり、トヨタはじめ大企業の多くが是正を余儀なくされました。この事態を放置しておけないという危機感が財界のなかに広がり、ホワイトカラー労働者を労働時間法制の適用対象から除外(エグゼンプション)する制度をもちだしてきたのです。
 労働者がたたかいとった成果を急いで骨抜きにし、労働時間管理に気を使うことなく労働者を働かせる仕組みをつくりたいという、実に身勝手な動機です。このため世論の批判も強く、通常国会への法案提出に与党内からも慎重論が出始めています。労働法制の改悪を阻止するために、労働者、労働組合、国民のたたかいがますます重要になっています。(昆弘見)

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  1. ありがとうございました。ほんまに こんなのが 通ったら たいへんなことになっていました。志位委員長とgakuさんに感謝。

  2. かわうそ実記 - trackback on 2007/01/18 at 21:38:08

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