感動!! コバケン&日フィル マーラー交響曲第9番

日本フィルハーモニー交響楽団第587回定期演奏会 小林研一郎指揮:マーラー交響曲第9番

小林研一郎氏の指揮するマーラー交響曲第9番を聴いてきました。実は、もともと木曜日のチケットを買っていたのですが、仕事の都合で15分ほど遅刻し第2楽章からしか聴けませんでした。しかし第1楽章からぜひ聴いてみたくて、金曜日、再びサントリーホールへ出かけてきました。

今回の演奏会は、直前にコバケン音楽監督退任のニュースが流れたため、会場はお客さんで一杯。とくに金曜日は、当日券を求める長蛇の列ができていて、結局、チケットが買えなかった人もいたそうです(僕は金曜日午前中に電話予約)。そして、コバケンさんが登場したときから、普段にない盛り上がりした。

小林研一郎、任期満了にともなう音楽監督退任のお知らせ(日本フィル)

しかし、コバケンさんが指揮棒をかまえると、ざわついていたホールも静まりかえり、ぴんと空気が張りつめます。木曜日、2階席後ろで立ち見したときは、ちょっと弦があっさりしてるかな、もう少し野生じみてもいいのになぁ…と思ったのですが、金曜日は、1階前から3列目(ただし壁際)で、マーラーの薫りたつような弦の広がりにただただ感動して聞いていました。

コバケンさんは、いつものように、楽章が終わるごとに指揮台を降り、楽団にむかって「それでいいんですよ」と確かめるかのように小さく一礼されておりました。中腰になって、背中を丸め、左手をぶらぶらさせ、あるときは指揮台のうえで飛び跳ねる――。見ようによっては、半分立ち上がりかけたチンパンジーみたいなかっこうですが、そんな姿からは音楽に集中するコバケンさんのエネルギーのようなものがあふれていて、僕も聴きに行くたびにぐうっと引き込まれてしまいます。

第4楽章が終わっても、コバケン氏は指揮台の上でぎゅっと固まったように集中したまま。5秒か10秒ほど、フライングブラボーやしわぶきなどもなく、全き静寂がサントリーホールを支配。見事な集中力を見せていただきました。

演奏終了後、コバケン氏がマイクをとり、2006?2007年シーズンの終了への感謝と引き続く日フィルへの支援をお願いするあいさつ。木曜日のときは、「マーラー9番までの道のりは長かった」と感想も述べておられました。さらに、ティンパニの森茂さんが定期演奏会としては今回を最後になることを紹介されると、満場の拍手。そのなかで花束を贈られた森さんは、楽団員のみなさんと握手しながら涙ぐんでおられました。

そして最後に、楽団から小林研一郎氏に花束が贈られましたが、お客さんの熱気冷めやらず、楽団がはけたあとも「コバケン、コバケン」のコールが起こり、燕尾服の上を脱いだ小林研一郎氏が再び登場。大きな歓声を浴びていました。

小林研一郎氏は、1988年から1994年まで日フィル主席指揮者、常任指揮者をつとめ、いったん退任した後、1997年に再び常任指揮者に復活、2004年からは音楽監督として日フィルを率いてこられました。いうなれば、故・渡邉暁雄氏から託された日フィルのために、20年近く本当に粉骨砕身されて来ました。94年に常任指揮者を退任されたときの、肩の荷を下ろして少しほっとされた様子や、97年に再び常任指揮者になられたとき、2004年に音楽監督に就任されたときの悲壮な決意を思い返すと、本当に日フィルのために全精力を注いでこられたのだろうと思います。

しかし、このブログでもたびたび書いてきましたが、最近の日フィル定期の不入りは目を覆うばかりでした。都内で月2回の定期演奏会をやっているオケはいろいろありますが、同じ会場、同じ指揮者、同一プログラムで2晩続けてというのは日フィルのみ。それをどちらも満席にするというのは、もともと至難の業だったのだと思います。日フィルもいろいろ努力をしてきたのだろうと思いますが、もともと不人気だった木曜日[1]などは、最近は半分も埋まらず、興行的なことはもちろん、共演されるソリストの方々にも申し訳ないほどでした。

来季(2007年春季)の定期演奏会は、サントリーホールが改修工事のため、東京オペラシティに移り、さらに、毎回、モーツァルトの交響曲がプログラムに組み込まれ、5回のシーズンを通して、いろんな方の指揮で、36番(リンツ)、38番(プラハ)、39番、40番、41番(ジュピター)が楽しめるようになっています。さらに、2007年秋季からは、定期演奏会の日程も金曜日夜と土曜日午後に変更されることになりました。

森さんのティンパニは、日フィルの演奏を聴きに行く楽しみの1つだったので、退団されるのは本当に残念です。今月には、チェロの奈切敏郎氏も退団され、気がつくと、70年代から日フィルで活躍されてきた方が本当に少なくなってきました。人が歳をとるのは自然のことであり、また楽団もいつまでも「日フィル争議」で団結結束している訳にはゆきません。その意味でも、日フィルの新しい発展が求められている時期なのだろうと思います。

「炎のコバケン」の演奏ぶりには賛否両論、好みも分かれますが、はまったときの日フィルの怪演ぶり?はコンサートの生演奏ならでは楽しみでした。日フィルの新しい挑戦に期待するとともに、長きにわたって日フィルを率いてこられた小林研一郎氏に心からの感謝をおくりたいと思います。本当にご苦労さまでした。これからの活躍を期待しています。

【演奏会情報】日本フィルハーモニー交響楽団第587回定期演奏会
指揮:小林研一郎/コンサートマスター:木野雅之/会場:サントリーホール大ホール/演奏日:2007年1月25日、26日/開演:午後7時?

  1. かつて、2階席に陣取って、どんな曲でも演奏が終わるやいなや「ブラボー」と声をかける傍若無人な客がいたことも木曜日が不人気だった理由の1つ。フォーレの「レクイエム」のときも、最後の歌が消え入るか消え入らないかという、もっとも張りつめた瞬間にブラボーと叫び、ソリストがむっとしたほど。日フィル協会の機関紙「市民と音楽」でも「無頼棒」と批判された有名な事件。 []

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