「赤ちゃんポスト」設置へ

賛否両論、喧喧囂囂ですが、その理由の1つは「赤ちゃんポスト」というネーミングがあると思います。

どうしても育てられず、新生児が捨てられて、そのまま死んでしまう、ということがないように24時間で受け入れよう、という話には、ほんらい誰も反対できないはず。ところが、それが「ポスト」と名づけられると、なんだか気軽にポンポン新生児を放り込んでいくみたいなイメージになって、いろんな反対論が飛び出してきているのではないでしょうか。

赤ちゃんポスト 5月受け入れ開始 慈恵病院 熊本市きょう許可(西日本新聞)

赤ちゃんポスト 5月受け入れ開始 慈恵病院 熊本市きょう許可
[2007/04/05付 西日本新聞夕刊 2007年04月05日14時41分]

 熊本市の慈恵病院が計画している「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)について、同市の幸山政史市長は5日午後記者会見を開き、同病院が申請していた医療法に基づく施設変更を許可すると発表する。許可を受け、同病院は1カ月程度で施設の改造など準備を整える方針で、来月上旬にも国内初の「赤ちゃんポスト」の運用が開始する予定になった。
 同病院の「ゆりかご」は、1階に新設する「新生児相談室」の壁に窓を設け、保育器を設置。新生児を置くとブザーと監視カメラが作動。24時間態勢で職員が駆け付けて新生児を保護する。
 病院が保護した新生児は体調などを考慮しながら原則的に県の児童相談所に引き渡され一時的に保護、その後は県内の乳児院などで養育する。
 同病院は昨年12月、市に施設変更申請を提出。市は医療法に判断する規定がないことや、「市にとどまらない問題」として厚労省と協議を開始。並行して関連する法令の検討を進めてきた。
 厚労省が「設置に違法性はない」としたことから、市は「子どもの命を救う緊急避難措置になりうる」と前向きな姿勢を示してきたが、一方で安倍晋三首相が抵抗感を示すなど、育児放棄を助長するとの批判も出た。
 このため熊本市は病院、県との連携を強化。(1)市は独自に妊婦などの相談に応じる24時間体制の相談窓口を新設するため相談員を増員する(2)病院は新生児相談室を設置して相談体制を充実させる?など、安易な利用を防ぐ態勢を整備し許可に踏み切ることにした。
 厚労省は設置に違法性はないものの、市が求めた文書回答は拒否。国が全国的にお墨付きを与えたものではないとの立場をとっている。

 ●ワードBOX=赤ちゃんポスト

 親が養育できない新生児を匿名で預けられる施設。慈恵病院は「こうのとりのゆりかご」と名付けている。ドイツなどで導入され、オーストリアでは合法化されている。日本では設置の手続きは現行法令上、病院の構造を変更する医療法上の申請しかない。実際に新生児が預けられた場合は刑法の保護責任者遺棄罪に当たるかどうかを個々の事例ごとに県警が判断することになる。

ここの病院は、名前からも分かるように、キリスト教の信仰にもとづくもの。これまでも、望まない妊娠をした女性をささえ、なおかつ中絶をしないように、さまざまな活動をやってきた病院のようです。今回の「赤ちゃんポスト」についても、「捨て子をせずにすむように、いろいろやることはあるはずだ」という批判を聞きますが、少なくともこの病院は、そうした努力をしています。それでもなお、昨年、熊本で、20歳の女性が妊娠を誰にも相談できず、子どもをトイレで産み落とし、そのまま死なせてしまった事件をきっかけに、なんとか新生児の命を救いたいといってはじめたもの。そういう病院の努力をふまえた議論を望みます。

『赤ちゃんポスト』許可 熊本市 法令違反と言えず(東京新聞)

「赤ちゃんポスト」許可 熊本市 法令違反と言えず
[東京新聞 2007年4月6日 朝刊]

 親が育てられない新生児を匿名で受け入れようと、熊本市の慈恵病院が計画している「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)について、同市の幸山政史市長は5日、同日付で設置を許可したと発表した。ドイツなど欧州を中心に同様の取り組みが既にあるが、国内での本格的な施設は初めて。同病院は近く工事を始め、早ければ今月末にも運用を始める。 
 「命を救うための緊急措置」と評価する声がある一方、「捨て子の助長につながる」との批判も根強く賛否は分かれている。市は赤ちゃんを置く行為が保護責任者遺棄罪に当たらないかなどを国に確認した上で許可を判断。「(設置が)ただちに関係法令に違反しているとは言い切れない。許可しない合理的理由はない」としている。
 市の許可を受けて厚生労働省は同日、「子どもを置き去りにする行為は本来あってはならない」として、出産や育児に悩む人向けの相談窓口の周知を図るよう、都道府県などに緊急に通知した。
 慈恵病院が計画する「ポスト」は、病院の外壁の扉を開け、温度などを保った台に赤ちゃんを匿名で預けられる設備で、赤ちゃんが置かれると警報でスタッフが駆け付ける。
 同病院は新生児の産み捨てなどを少しでも減らそうと、ドイツの施設などを視察した上で昨年12月、医療法に基づく施設の変更許可を熊本市保健所に申請していた。
 幸山市長は会見で「現実に遺棄される赤ちゃんがおり、最終手段としてこういう施設が必要」と説明。子どもの安全の確保など3点に留意して運用するよう病院側に求めた。
 できるだけポストが使われないよう努力すべきだとも強調、市役所に「妊娠に関する悩み相談電話」を月内にも設置し、24時間体制で相談を受け付ける。

乳児院後、養子縁組も

 慈恵病院が「赤ちゃんポスト」で預かった赤ちゃんはどうなるのか。
 熊本市や地元の児童相談所などによると、通常は乳児院に移されるが、その後は生みの親が判明するかどうかで、里親に引き取られる時期などに違いが出てくるという。
 慈恵病院は警察に連絡するとともに、赤ちゃんを診察し病気にかかっていないかなどを確認。警察は本当に親に放置されたのか、保護責任者遺棄罪に当たらないかなどを捜査する。1週間ほどで、児童相談所が児童福祉法に基づき乳児院に入所させることになる。慈恵病院での入院中や乳児院での養育中に、生みの親が名乗り出れば引き取られるが、養育が困難な場合は里親や児童養護施設に預けられることも。生みの親が希望すれば里親との特別養子縁組が認められ、戸籍上も実子となる。
 一方、生みの親が分からない場合は熊本市長が名前を付け、戸籍の作成後、親が名乗り出るのを待つ。養子縁組の希望者がいても児童相談所は親が判明する可能性を考え、しばらくは赤ちゃんの紹介はしないという。
 6カ月?1年経過して初めて紹介が行われ、希望者は数カ月間、乳児院を訪問するなどして子どもと慣れ、さらに里親として半年間ほどの同居を経て、生みの親の同意なしで家庭裁判所に特別養子縁組を申し立てることができる。

<メモ> 慈恵病院 1898(明治31)年にカトリックの神父らが熊本市に創設した慈善診療所を母体に、1978年に「医療法人聖粒会慈恵病院」として設立。病床数98。産婦人科、内科、小児科などがある総合病院。妊娠中絶手術は行わず、2000年から妊娠に関する相談を24時間受け付ける取り組みを行っている。

 保護責任者遺棄罪 高齢者や幼い子ども、身体障害者、病気の人らを保護する責任のある者が、こうした人たちを遺棄、または生存に必要な保護をしなかったときは3月以上5年以下の懲役に処すと、刑法218条で規定している。「赤ちゃんポスト」に新生児を預ける行為が同罪に当たるかについて、長勢甚遠法相は「生命、身体に危険が生じる恐れがなければ罪の成立は認めにくい」とする一方、適用については実際の運用を見極め捜査機関が判断すると国会で答弁した。

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