trade unionは労働組合じゃない?!

宮前忠夫編訳著『新訳・新解説 マルクスとエンゲルスの労働組合論』(共同企画ヴォーロ)

ぶらりと本屋に立ち寄ったら、『新訳・新解説 マルクスとエンゲルスの労働組合論』という本が出ていました。

著者の宮前忠夫氏は、新聞記者としてドイツ、イタリアに在住したこともある国際労働問題研究者。勉強会で僕も教えてもらったことのあるドイツ語のお師匠様で、よく存じ上げております。

で、ぱらぱら見てみると、たんにマルクス、エンゲルスの労働組合関係の論文を新しく翻訳・編集したというだけではなく、なかなか面白そうな論点を含んでいます。

論点は2つ。

  1. trade unionは「職別組合」であって「労働組合」ではない。
  2. 「労働力価値以下」論は間違いだ。

とくに面白いのは、1つめの論点。trade unionというのは、いってみれば職業別・職能別組合のことで、それはマルクスやエンゲルスが考えていた労働組合ではない、というのが宮前さんの主張。trade unionとかlabour unionとか、こういう言葉で呼ばれているものが、歴史的・社会的にどんなものだったのか、というのは、英和辞典を引いただけではよく分からないところがあって、ヨーロッパの労働事情に詳しい宮前さんならではの解説が期待できそうです。

同時に、これはtrade unionを何と訳すべきかという訳語の問題でもありますが、他面では、マルクス、エンゲルスが労働組合というものをどう考えていたかという、文字通り「マルクスとエンゲルスの労働組合論」そのものでもあります。この点を論じた文献というのを、これまであまり読んだことがないので、そういう意味でも楽しみです。

2番目の論点は、教えてもらったところによると、マルクス経済学の賃金論としては、古くからある論点のようです。僕は、これまで本格的に賃金論を勉強したことがないので、これをきっかけに勉強してみることにします。

【追記】
マルクス、エンゲルスの労働組合論の解説としては大変勉強になりますが、日本の労働組合のあり方について、宮前氏が、現在の労働組合を否定して、その外に、「本来の労働組合」をつくるべきだと主張されている点には、やっぱり賛成できません。もちろん、企業別労働組合でいい、何の問題もないというつもりはありませんが。[2007/05/01]

【書誌情報】
翻訳・編著者:宮前忠夫/書名:新訳・新解説 マルクスとエンゲルスの労働組合論/出版社:共同企画ヴォーロ/発行年:2007年4月/定価:税込み800円/ISBN978-4-9903592-0-1

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  1. よく勉強している。すごい。いつもこのブログを見て元気づけられています。触発されて紹介されている本を買って見るのですがいつも積読です。今職場も新しいところかわって毎日が忙しいです。

  2. 「新訳・新解説 マルクスとエンゲルスの労働組合論」を出版しました「共同企画ヴォーロ」の高根と申します。

    本の宣伝をしていただき、誠に有難うございました。

    ご迷惑でなければ貴ブログの、この記事の内容を本書普及のために使用させていただきたいと思いまして、コメント差し上げました。

    何卒よろしくお願い申し上げます。

  3. 高根勝啓様
    わざわざコメントありがとうございます。
    ブログの記事の利用についてですが、申し訳ありませんが、宣伝等への転用はお断りさせていただいています。コメントは、あくまで私の責任で管理できる範囲でとどめておきたいと思っておりますので。なにとぞご容赦ください。m(_’_)m

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